M&A
2020/07/15
M&Aを行うときには、国の補助金や助成金について確認することが大切です。M&Aの実施には、仲介会社やアドバイザーのサポートが欠かせません。しかし、利用には着手金や成功報酬などの費用が必要です。そこで、積極的に利用したいのが事業承継補助金です。ここでは、事業承継補助金の概要や利用方法などについて詳しくご説明します。
目次
中小企業は、深刻な後継者問題によって存続の危機に晒されています。中小企業庁「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」によると、2025年までに70歳を超える中小企業も経営者は約245万人で、そのうち約半数は後継者が決まっていません。
問題を早期に解決しなければ、中小企業の廃業が急増し、2025年までに約650万人の雇用と約22兆円ものGDPが失われる恐れがあります。このように、日本の中小企業の後継者問題は、日本全体の問題と言えるまでに発展しているのです。
後継者問題を解決する方法の1つがM&Aです。M&Aの事業者数は年々増加傾向にあり、いかにニーズが高まっているかが伺えます。
事業承継補助金とは、M&Aに伴う新たな施策によって企業を存続させようとする会社に支給される補助金です。中小企業の後継者問題による廃業は日本に大きな影響を及ぼす可能性があるため、国が率先して補助金を支給しています。
事業承継補助金は、平成30年に改正されています。事業承継補助金の種類や補助金額、改正内容について詳しくみていきましょう。
事業承継補助金には、I型「後継者承継支援型」とII型「事業再編・事業統合支援型」があります。それぞれの内容は次のとおりです。
経営者を交代して新たな取り組みを始めるとき、経費の一部を補助します。補助率や補助金額は次のとおりです。
補助率とは、補助金の対象となる経費に対する補助金額の割合です。例えば、300万円の経費がかかる場合、小規模事業者では2/3の200万円が補助額となります。また、上限は200万円のため、満額の補助を受けられます。
また、上乗せの条件は、事業所の廃止、事業の集約や廃止を伴うM&Aです。
M&Aに伴い、新たな施策を行うときにかかる経費の一部を補助します。審査結果によって、次のように補助金額や補助率、上乗せ額が異なります。
事業承継補助金は、平成30年に補助金の種類と補助率、公募期間が変更されています。補助金は、以前はI型のみでしたが、現在はII型が設けられています。また、補助率は一律2/3でしたが、事業規模によって1/2と2/3と分けることになっています。
そして、公募期間は本来5月8日~6月2日の1回のみでしたが、I型は3次募集まで、II型は2次募集まで行われるようになりました。
応募できるのは、下記の条件をすべて満たした中小企業、個人事業主、特定非営利活動法人です。
・日本国内で事業を行っている
・地域経済に貢献している
・反社会的勢力ではない、かつ反社会的勢力から資金提供を受けていない
・法令順守上の問題を抱えていない
・経済産業省から補助金指定停止措置をとられていない
・匿名性を確保しているものの公表の可能性があることに同意できる
・補助事業の調査やアンケートなどに協力できる
中小企業の基準は業種によって異なるため注意しましょう。
製造業その他
>>>資本金または出資金の総額3億円以下、常勤従業員300人以下
卸売業
>>>資本金または出資金の総額1億円以下、常勤従業員100人以下
サービス業
>>>資本金または出資金の総額5,000万円以下、常勤従業員100人以下
小売業
>>>資本金または出資金の総額5,000万円以下、常勤従業員50人以下
詳しい募集要項はこちらを確認ください↓
事業承継補助金を受けとるまでの流れを詳しくみていきましょう。
認定経営革新等支援機関は、経営革新のための事業計画に関する相談を受け付けている機関です。該当するのは、中小企業庁が認定した銀行や会計事務所、法律事務所、税理士法人などで、個人・法人を問いません。
それぞれ専門分野が異なるため、悩みに応じて相談先を選ぶことが大切です。選び方がわからない場合は、会社がある区域を担当している経済産業局に相談しましょう。
提出書類を準備して、事務局へ応募してください。提出書類は次のとおりです。
・事業計画書(様式1と様式2)
・住民票(現経営者と後継者)
・認定経営革新等支援機関の確認書
・応募資格を有することを証明する後継者の書類
・添付書類
添付書類は、個人事業主、会社、特定非営利活動法人で異なります。会社の場合は、次のような書類が該当します。
・履歴事項全部証明書
・直近の確定申告書
・直近の決算書(貸借対照表・損益計算書)
・役員変更の官報公告や役員等の専任決議の議事録など(事業承継を完了している場合)
事業承継補助金事務局に交付申請をしてください。郵送と電子申請のどちらでも可能です。また、交付申請のタイミングにルールはありませんので、登記簿変更をする前でも申請できます。交付申請後、申請マイページに合否の通知が届きます。
審査に通過できれば、事業承継補助金を受け取れることが決定します。ただし、この時点ですぐに補助金を受け取れるわけではありません。実際に新しい施策を実施し、実績が確定したことの報告が必要です。
報告のタイミングは事業完了から30日以内で、実績報告書の作成が必要です。
補助金の交付にかかる期間は約2~3ヵ月です。それまでに資金が必要な場合は、中小企業庁に相談することで、金融庁を経由して金融機関のつなぎ融資の相談が可能になります。
補助金の交付後5年は、事業の状況や収益の推移などの報告が義務づけられます。収益が一定額を超えている場合は、補助金の一部の返納が必要です。
事業承継補助金が交付されても、肝心のM&Aに失敗すれば元も子もありません。M&Aを上手く進めるためのポイントを詳しくみていきましょう。
経営状況によって、株式譲渡と事業譲渡のどちらを選ぶか慎重に決めることが大切です。株式譲渡は、株式を移転することで経営権を譲渡します。対して事業譲渡は、一部の事業のみ譲渡します。
リタイアを目指しているのであれば、株式譲渡を選びましょう。赤字事業がある場合は、事業を譲渡して、譲渡益を他の事業に投入することも検討してみてください。どちらを選ぶべきか迷ったときは、M&Aアドバイザーに相談することをおすすめします。会社の状況や経営者の希望などを踏まえ、最適な方法を提案してくれるでしょう。
M&Aのサポートは、仲介会社かアドバイザーに依頼することをおすすめします。どちらもM&Aを専門的に扱っているため、充実したサポートが期待できます。また、より高額で売却したい場合は、アドバイザーに依頼しましょう。
M&Aの仲介会社は、あくまでも中立な立場で円滑なM&Aをサポートするのが役割です。対してアドバイザーは、買い手と売り手がそれぞれ依頼して、依頼主の利益の最大化を目指します。
M&Aを実施するときは、譲渡条件を明確に決めることが大切です。従業員の待遇改善や雇用の維持、譲渡額など、さまざまな条件を明確に提示しましょう。契約書にも条件を記載して、違反時の違約金についても明記しておくことがポイントです。
M&Aを行う目的を踏まえて、的確な条件を設定してください。ただし、すべての条件を買い手が承諾するとは限りません。相手が提示する条件も踏まえ、交渉の落としどころを見極めることが大切です。
また、M&Aでは買い手と売り手の経営者の相性がよくなければ成立しません。厳しすぎる条件を設定したうえで横暴な態度をとったり、買い手の希望を突っぱねたりしないことが重要です。
仲介会社やアドバイザーにサポートを依頼すると、複数の買い手候補を選出してくれます。買い手企業は慎重に選びましょう。
・反社会的勢力と繋がりはないか
・世間から信頼されているか
・収益
・従業員数
・コンプライアンスに問題はないか
・経営者は怪しい人物ではないか
・会社に実態はあるか
これらを詳しく確認したうえで、正式に買い手候補に加えることが大切です。また、自分の大切な会社や事業を譲渡する相手になるため、譲渡先として相応しくないと判断した場合は、勇気を出して断りましょう。
納得していないのに譲渡先に選んでしまうと、トラブルが起きたり従業員に不利益がもたらされたりする恐れがあります。そうなれば、経営者として強い責任を感じてしまうでしょう。
M&Aを実施するときは、必ず事業承継補助金を申請することが大切です。補助金をうまく活用すれば、M&Aを伴う新たな施策を速やかに遂行できます。事業承継補助金の交付を受けるには、審査に通過する必要があります。まずは、認定経営革新等支援機関に相談しましょう。
2020/05/10
2020/04/29
2020/04/17
2019/11/23
ご相談は無料です。お気軽にお声かけください。
Copyright© 2021 MAIN.co.ltd. All Rights Reserved.