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企業事例

エターナルアミューズメントの破産から学ぶ教訓

2020/07/04



クレーンゲームなどのアミューズメント機器レンタルや販売をおこなっていた「エターナルアミューズメント(東京都新宿区)」は、負債84億円を抱えて4月1日に自己破産を申請しました。


都内初の新型コロナウイルスの関連倒産となった今回の原因は何なのか?まだ、これからもコロナ関連の倒産は増えていくのかについて解説します。


エターナルアミューズメントの倒産の経緯



エターナルアミューズメントは、ゲームセンターなどの吸収合併や営業譲受を繰り返して事業の拡大を進め、「Asobox(アソボックス)」の店名で全国に約100店舗を展開。しかし、4月3日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けることになりました。


店舗数が増えるにつれて売上も急拡大してきましたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって経営環境が大きく悪化。突然の臨時休業の末に倒産に追い込まれたのです。


2019年5月期には売上高約68億2700万円を計上していましたが、積極的な出店で商品在庫が負担になる中、2019年10月の消費税増税によって店舗の売上が減少。昨年末から取引先への支払いが遅延していました。


そうしたなか2020年になり、新型コロナウイルスの感染拡大で各店舗の売上高と来店客数が大幅にダウン。3月6日に臨時休業することを発表していました。


1.投資家向けのオーナー制度で業績拡大



エターナルアミューズメントは、2007年6月に別会社のアミューズメント部門を聞く形で設立。最初はゲームセンター向けアミューズメント機器のレンタルや卸売業を中心におこなっていましたが、2009年のリーマンショック、さらに2011年の東日本大震災によって業績が低迷し、資金繰りも悪化しました。そうした中、投資家向けのオーナー制度を導入したのです。


オーナー制度とは、投資家を仲介会社に紹介してもらい、エターナルアミューズメントが投資家に対してアミューズメント機器を販売。投資家はエターナルアミューズメントから賃料を受け取るという仕組みになっています。オーナー制度によって機器仕入れの負担が軽減され、資金繰りは改善されました。


一方、多店舗展開にも力を入れ、出店は自社の直営店方式と契約店方式の二通りを使い分けていました。



直営店方式は、エターナルアミューズメントが建物を借り、投資家に販売した機器をその店舗に設置するので、利用者が使ったお金はそのまま同社の売上になります。そして売上代金から投資家へ機械装置の賃料を支払うのです。


また契約店方式は、契約者が所有または借りている店舗にアミューズメント機器をレンタルする形で設置し、機器の利用者が使った金額の何割かを契約者に支払う形になっていました。



契約方式は設置場所の集客力によって売上が左右されてしまうので、次第に直営店方式の出店を積極的に増やしていったのです。


エターナルアミューズメントの直営店舗は、2014年に14店舗ほどだったものの、倒産前には約100店舗弱まで拡大。店舗が拡大するにつれ、売上高も拡大していました。2014年5月期に約9200万円だった売上高は、2019年5月期に約68億2700万円まで増加したのです。


2.エターナルアミューズメントの倒産は新型コロナウイルスだけの影響ではない



エターナルアミューズメント社の倒産は、新型コロナウイルスの感染拡大が一つの要因です。2020年2月以降、新型コロナウイルスの影響から利用者が減少し、これまで業績の拡大に寄与していた外国人観光客の利用が激減したからです。


そして新型コロナウイルスで将来の売上が見込めないことが、破産を決断する決定打となりました。しかし、コロナ以前から経営上の問題も抱えていました。



増加したのは売上高だけではなかったからです。買収や出店の資金を借入に頼っていたため、年々借入金が増えていました


2014年に約2億5900 万円だった借入金は、2019年に約57億1500万円まで膨らんでいました。その結果、2019年5月期の決算書では、年間の支払利息が約9000万にもなっていたのです。



店舗数の増加で従業員の給与支払も増え、そして投資家への支払いなども積み重なり、余裕のない資金繰りをおこなっていたのです。


>>倒産と廃業の違いとは?


エターナルアミューズメントの倒産から学ぶべきものとは



エターナルアミューズメントの倒産は、確かに新型コロナウィルスによる影響もあります。


休業要請なのによる売上の低迷など、アミューズメント関連は休業に関する補助金や給付金では到底賄うことができない多くの固定費が発生する業種です。


その他にもコロナ以前から経営上の問題を抱えており、コロナが最終的なきっかけで倒産という結果になったとも言えます。


それでは、具体期にどういった経営問題があったのでしょうか?

詳しく見ていきましょう。


外部からの資金調達が経営を支えていた



エターナルアミューズメントの倒産に関する情報を見ていると、売上高68億円程度に対して、2019年に約57億1500万円まで膨らんでいたと言います。年間の支払利息が約9000万にもなっていたのです。



ここからは推測ではりますが、恐らく通常の店舗売上だけでは、固定費や利息及び返済をするだけのキャッシュフローを生み出すことができずに、オーナービジネスによるニューマネーの調達という方針転換があったのではないでしょうか。


つまり、既存店舗売上では資金繰りが困難になり、外部のオーナーからの物件投資によるキャッシュインを頼りに経営を継続してきたと想定できます。


借入の返済をオーナー借入で補ってきたという現実



借入が多くなってきた企業などは、銀行返済をとめる(リスケジュールをする)と、利息の支払いや固定費を売上のみで賄うことができないため、借りては返しての繰り返いしをおこなっています。


どこかで金融機関が折り返し融資をストップした段階で、企業の存続が難しくなる構造です。こうした状況になると借入返済のための借入を繰り返いし、次第に借入総額が大きくなり、金融機関が融資を見合わせるようになった段階で倒産ということになります。


エターナルアミューズメントの場合は、金融機関からの借入が難しくなってきた段階で、直接金融(投資家などから資金を直接借り入れる)へと方針転換をし、資金繰りをつないできたと想定されます。


>>リスケジュールで本当に経営改善できるのか?


そもそものビジネスモデルの崩壊



設備投資をして設備の利用料金で投資資金を回収するビジネスモデルは企業与信の問題で必ず行き詰ります。


一般的には3~5年程度で設備投資資金の回収を行いますので、回収期間の資金繰りは当然に厳しくなります


それが店舗拡大と併せて投資資金が嵩んでくれば、当然に資金繰りは厳しくなっていきます。売上増加=資金繰りの悪化というスパイラルに陥っていますので、早期のビジネスモデルの転換が必要です。


そういった観点から多額の投資がかかるアミューズメント業界で、かつ、パチンコなどと比べれば資金回収が長いとされるゲームセンターは、こういったビジネスモデルでの拡大には限界があったと言えます。


キャッシュインとキャッシュアウトのバランス



エターナルアミューズメントの倒産から「キャッシュインとキャッシュアウトのバランス」が経営においては重要であるということを教訓として得ることができます。


どんなに売上高が大きくなっても、その分借入や固定費が嵩んでしまいキャッシュフローが悪化しては意味がありません。


特に設備投資をする際は、 設備投資で生じる損益の改善(キャッシュイン)と 設備投資で生じる支払(キャッシュアウト)のバランスが重要です。


その上で何年で投資が回収できて、何年先から利益となるのか?

最低でもこの辺りの投資計画は考えておく必要があります。


もう1つエターナルアミューズメントの倒産から学べることは、借入に依存した財務体質の脆弱性です。


金融機関からの調達が困難になった場合に倒産の危機になる、もしくは、リスケをしただけでは資金繰りの改善には全くならないほど借入が大きいなど、金融機関への高い依存は経営リスクと考えるべきです。


返済のための借入や借入ありきでの資金繰りなどはリスクと捉え、本業での儲けで会社を継続させていけるようなビジネスモデルの構築や資金繰り計画が必要であると考えます。


>>M&Aを活用した企業再生の方法とは


増える新型コロナウイルス関連倒産



5月8日までに確認された新型コロナウイルスの感染拡大による倒産は、全国で125件になりました。2月2件、3月26件、4月90件と日を追うごとに倒産件数は増えています。


今回の新型コロナウイルス関連倒産で特徴的なのは、業種と事業規模です。大きく影響を受けているのが「泊・食・衣」の3業種。5月8日までに確認された倒産件数125件のうち「旅館・ホテル」が圧倒的に多い33件を占め、「飲食店」12件、「アパレル・雑貨小売」11件と続きます


この3業種が全体に占める割合は44.8%にもなるのです。緊急事態宣言による外出制限によって、おしゃれをして旅行をしたり、食事を楽しんだりといった行動がなくなった影響を受けたことがわかります。


負債額を見てみると、10億円未満が81.1%(86件)と大半を占め、50億円以上はWBFホテル&リゾーツ(160億円)、エターナルアミューズメント(84億1800万円)、旭東電気(62億9800万円)などにとどまりました。体力や蓄えが乏しい中小零細企業への影響が大きくなっていることがわかります。


他にもパチンコホールや学習塾、葬儀屋、自動車部品製造、建設工事など倒産した業種は多岐にわたり、時間が経つにつれて現在の主要3業種以外にも、倒産件数が増えていくでしょう。



6月12日時点の新型コロナウイルス関連倒産は、全国で245件、40都道府県で発生しています。最多は東京の57件,続いて大阪の23件となっています。


出典:帝国データバンク


連鎖倒産が懸念される



売上や来客数が大きく落ち込み、新型コロナウイルスの収束時期の不透明感などで、どうすればいいかわからず混乱している事業者は多いでしょう。



そうした中、事業を続けるために金融機関へ既存融資の返済先延ばし(リスケジュール)や新規融資の相談、従業員への対応を優先しています。自社のことを第一に考えるのは当然ですが、これから警戒しなければいけないのは連鎖倒産です。


新型コロナウイルスの影響は事業規模や業種、エリアを問わず広範囲に広がっており、ほとんどの事業者の経営体力は弱まっています。そんな時に主力取引先が倒産すると、事業が存続できなくなってしまう可能性もあるのです。

エターナルアミューズメント社が倒産したのは、新型コロナウイルスの影響もあります。しかし、身の丈に合った経営をしてこなかったことが大きな原因です。業績拡大を急ぐあまり、外部からの借入に頼る形で店舗拡大を続けていました。


資金もなんとか回っていましたが、企業の安定性を示す自己資本比率は10%程度で、業界平均の26%を大きく下回る状況が続いていたのです。


連鎖倒産を回避するためには、取引先と密に連絡を取り、相手の状況を把握しておくことが大切。さらに自社の状況についても相手にきちんと伝え、不信感や不安を抱かせないようにすることが必要です。


経済活動が徐々に再開され、取引を再開する事業者は多くなっていますが、疑心暗鬼の状態で取引をしている事業者は多く、主力取引先の調査依頼を受ける信用調査会社も多くなるでしょう。


>>レナウンの民事再生から学ぶ4つの教訓とは


まとめ



新型コロナウイルス関連倒産として、都内第1号となったエターナルアミューズメントですが、急激な店舗拡大を推し進め、借入金が多かったことも倒産の大きな原因でした。


新型コロナウイルスの感染拡大は落ちつきつつあるものの、まだ予断を許さない状況です。連鎖倒産を回避するためには、自社だけでなく取引先企業の状況も把握しておくことが大切です。



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