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レオパレスが米ファンドから資金支援/第3者割当増資などで資金調達した理由と今後の経営再建の目途




2020年9月30日 経営再建中のレオパレス21は、米投資ファンドであるフォートレス・インベストメント・グループから支援を受けると発表しました。



融資と出資合わせて572億円の資金をファンドから支援を受けました。レオパレス21は、2020年6月末時点で約118億円の債務超過に陥っていましたが、資金調達により債務超過を解消する見通しです。



>>債務超過が経営に与える悪影響とは


レオパレス21の企業概況




レオパレス21は、不動産仲介業として1973年に創業しました。その後、1985年からは都市型アパート「レオパレス21」の販売をはじめました。そして、賃貸住宅の建築から管理まで、土地所有者のアパート経営を支援する「30年一括借り上げシステム」を構築し、現在は賃貸事業が売上の8割を占めています。



単身賃貸住宅の戸数は、57万戸で全国トップ(2019年3月末時点)。需要の高い3大都市圏を中心に全国展開しています。ただ、2018年3月に建築基準法に違反の疑いのある施行物件が判明し、2019年3月期に施行不備にかかる特別損失547億円を計上しました。



レオパレス21が30年一括借り上げで利益を上げていた理由




レオパレスは手抜き工事をおこなっていました。建設費を安く抑えれば、事業者の利益になるからです。レオパレス21のアパートはどれも同じ仕様で、大量に発注することで建設コストを抑えられます。それに加えて手抜き工事をしていればレオパレス側に大きな利益がでていてもおかしくありません。



アパートの建設で大きな利益をだしていれば、30年一括借り上げの初期費用に一部を回しても十分な利益になるのです。そして、途中で家賃を下げたり契約解除をおこなったりすれば、利益を確保することは可能です。



つまり、初期で大きな利益を上げ、物件を建て続けることで利益を確保し、30年一括借り上げというセールストークで新規顧客を獲得し、今日に至るまで財務状況を維持してきたと言えます。



一方、建て続けることで、財務体質を維持していくというビジネスモデルから、自社アパートを近隣に何棟も建設し、そもそもの賃貸需要が減ってきたことを理由に契約から数年で家賃保証の減額や解除をオーナーに迫るなど、何とか自社の財務状況を維持することが会社としての目的となってしまったとも言えます。


レオパレスが苦境に陥った経緯




レオパレスは施工不良問題や新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の停滞により、アパートオーナーから借り上げて転貸するサブリース事業が低迷しています。2020年4~6月期の連結決算は、最終損益が140億円の赤字と、前年同期の57億円の赤字よりも赤字幅が拡大しています。



さらに、5月以降の入居率は、損益分岐点である80%を下回っている状態です。8月に1,000人超の希望退職を実施してコスト削減を図りましたが、コロナ禍で不透明な経営環境は続いています。そのため投資ファンドなどからスポンサー支援を選ぶことにしたのです。



1.「30年一括借り上げ保証」を謳っていたレオパレス21




不動産投資をするときの空室リスクへの対処として「家賃保証」や「30年一括借り上げ」があります。30年一括借り上げは、不動産会社が30年分の家賃を保証するという制度です。不動産投資では入居者がいないという状況も起こりますが、不動産会社が借り上げてくれるので30年は家賃収入がなくならないというメリットがあります。



レオパレス21は「30年一括借り上げ保証」というサブリース契約を謳い、オーナーは入居者がいるかどうかに関わらず、安定した家賃収入を得られるというメリットを前面に打ち出して管理を請け負っていました。サブリースとは、一括借り上げの家賃保証制度です。不動産会社が貸主から賃貸物件を一括で借り上げ、入居者に転貸します。貸主は入居者がいなくても一定の家賃が保証され、入退去に関する手続きや集金などから解放されるというメリットがあります。



ただ、家賃保証では賃料の保証をしてくれるわけではありません。30年の一括借り上げでも、家賃の支払いは保証するものの、同じ家賃が30年間続くわけではないのです。通常、2~3年に1回のペースで家賃の見直しがおこなわれ、空室がある物件は家賃が下げられてしまうリスクもあるのです。



実際、レオパレスも10年も経たないうちに家賃を減額したり、借上契約を解除したりするようオーナーに迫った疑いが持たれています。



また2018年5月に、レオパレスが1996~2009年に建てたアパート38棟に関して欠陥が指摘され、建築基準法違反の疑いが浮上しました。



もともとレオパレスのアパートは壁が薄いなどといわれていましたが、それが事実だったのです。そして、埼玉県や兵庫県など12都道府県で、施行が不十分だったり、天井裏に界壁がなかったりというのをレオパレス側が確認しました。



その後、入居率は急落していたのです。外国人入居者を取り込む営業戦略にシフトしましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により外国人留学生の入国がストップ。その結果、2020年5月と6月の入居率は損益分岐点の80%を下回る状況になりました。



つまり、レオパレスは入居者から受け取る賃料よりも、物件オーナーに支払う金額が大きくなり、キャッシュの流出が続き経営難に至ったのです。



2.不動産オーナーも管理会社に任せになっていた




他に仕事をしながら不動産投資をしている人が、物件のメンテナンスや入居者の募集といった管理業務をおこなうのは困難です。ですから、ほとんど管理会社に委託することになります。



そして、管理会社には主に2種類あります。内装など装飾をおこなっていた会社が管理業務をはじめる場合と、建築を手掛けていた会社が管理部門を作るケースです。



サブリース問題も管理会社が中心にいます。賃貸経営では、まずその地域の賃貸需要を調べ、ファミリー向けにするか単身者向けにするかを決めます。そして採算のとれる範囲内の金額で建物を建築して運営するというのが基本です。建物が劣化すると家賃を下げる必要があるので、それも考慮して投資するかどうかを決める必要があります。



しかし、入居者がいるかどうかにかかわらず、30年間も安定した収入があるという話を受け入れて投資してしまったことが、レオパレスの訴訟問題につながっているのです。



3.国土交通省が賃貸住宅標準契約を改定




相続税の節税対策として賃貸アパートの建築が増えていましたが、賃料減額を巡るトラブルも増えていました。そこで、2018年3月に消費者庁と国土交通省は、サブリース契約に関して注意喚起をおこなったのです。そして、2020年4月の民法改正を踏まえ、国土交通省は賃貸住宅標準契約やサブリース契約に関して改定をおこないました。そして、連帯保証人の保護に関するルールの義務化や敷金および原状回復のルールの明確化、建物の修繕に関するルールの創設などがおこなわれたのです。



レオパレス21が経営難に陥った要因は、ビジネスモデルの限界やサービス提供者への誠意の欠けた対応などありますが、法律の改定による外部環境も影響したと言えます。


>>不動産業界の動向とM&Aの傾向



投資ファンドであるフォートレス・インベストメント・グループとは

投資ファンドであるフォートレス・インベストメント・グループとは




フォートレス・インベストメント・グループは、2017年2月にソフトバンクグループに33億ドル(約3,300億円)で買収されました。ただし、CFIUS(対米外国投資委員会)の投資規制によって、ソフトバンクグループは投資の指示はできません。



フォートレス・インベストメント・グループは不動産系が本業で、リーマン・ショック後に日本の不動産投資に積極投資した1社です。割安な不動産を取得し、高く売るという投資業務をおこなっています。2018年には三菱マテリアル子会社の三菱マテリアル不動産を取得。2020年には、不動産会社ユニゾンホールディングスへのTOB(株式公開買い付け)が不成立となり注目されました。



フォートレスの資産規模は約4兆5,000億円。そのうち、1割ほどを日本に投資しています。日本での投資額が大きいのが「ビレッジハウス」。2017年に制度廃止された雇用促進住宅を取得し、中低所得向け賃貸住宅に改修するビジネスです。



ビレッジハウスは全国に1,000件以上の賃貸住宅を持っており、レオパレスとの協業が期待されています。システム管理やマーケティングにかかるコスト削減でシナジー効果があるからです。



フォートレスと・インベストメントの具体的なレオパレス21の支援内容




レオパレス21は、ソフトバンクグループ傘下の米投資ファンドである、フォートレス・インベストメント・グループからの支援を受け入れると9月30日に発表しまいした。。融資と出資の合計で570億円となる支援によって、レオパレス21は経営の立て直しを目指します。



内訳をみると、第三者割当増資で約120億円、新株予約権付融資で300億円を資金調達。さらに太陽光発電事業を手掛けている連結子会社レオパレス・パワーが150億円の優先株を発行しています。



第三者割当増資とは、株主かどうかを問わず特定の第三者に新株引受権を与え、新株を引き受けさせる増資です。通常は取引金融機関、取引先、自社の役職員など縁故者に権利を与えて発行することが多いので「縁故募集」ともいわれています。第三者割当増資は取引先との関係安定化を図るときや、経営悪化で株価が低くなり通常の増資ができないときに行われるのです。



>>ファンドの種類とM&Aでの有効な活用法とは



これらを実施した後、フォートレス系の企業がレオパレス株の25.71%をもつ筆頭株主になります。300億円の融資の利率は、年14.5%です。「入居率が一定の基準を満たしている場合は年10%」という条件がついているものの、年間30億円~43億5000万円の利払いが発生します。



またレオパレスはレオパレス・パワーの優先株は年率7%なので、年間10億5000万円の支払い。300億円の融資の利払いと合わせて最大で年間約54億円をフォートレスに支払う必要があるのです。



レオパレスが収益を回復させるためには改修工事を急ぎ、入居率を改善する必要があります。

しかし、そのための資金確保とフォートレスへの配当や利払いを両立できるかが課題になりそうです。



フォートレスはリスクを取って投資しているので、レオパレスの収益を吸い上げる形で支援しています



レオパレスが業績を回復させても収益はフォートレスに持っていかれてしまいます。そして十分な資金を改修工事に回せず、経営再建が遅れる可能性もあるのです。



まとめ




レオパレスはフォートレス・インベストメント・グループから支援を受けて経営の立て直しを目指しています。ただ、フォートレスはリスクを取る代わりにレオパレスの収益を吸い上げる形での支援をおこないます。



フォートレスの支援によって、レオパレス21は債務超過に陥る危機は収まりましたが、再び資金繰りが悪化すれば、信用不安に陥る恐れがあるのです。



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