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赤字会社でも株式譲渡はできるのか?



経営難に陥り、赤字経営となってしまった場合、「どうにか資金繰りを立て直そう」「今の状況から抜け出そう」と考えM&Aを検討される方もいらっしゃるでしょう。


とある買い手経営者の話によると、金融機関から借り入れていた額と売上高が同程度になり、赤字経営が続いていた企業を紹介された時、すぐに買収を決めたそうです。


買い手経営者がなぜ赤字会社を買収したかというと、昔からその会社を知っており、自分自身で経営を立て直せると自信を持っていたためです。


結果的に、買い手経営者は1億円以上もの借金がある赤字会社を、株式譲渡により1円で買収しています。


あくまでも一例に過ぎないものの、このように赤字会社でも株式譲渡を行うことは可能です。


今回は、赤字会社でも売却するポイントや実際の事例についてご説明させて頂きます。


赤字会社の定義とは



皆さんは何を持って「赤字会社」というかご存知でしょうか?


赤字というと経営難に陥っているイメージがありますが、実際には赤字でも全く倒産しない企業もあれば、すぐに倒産してしまう企業もあります。


赤字会社の全てが、経営がダメというわけではないのです。


会社の状況は、キャッシュフロー上でマイナスとなっているのか、それとも黒字なのかで大きく異なってきます。


例えば運送業などの減価償却費が多い業種では、毎期赤字が続いている状態でも、キャッシュフロー上では黒字であるケースが多いです。


そのため、会社売却でも赤字会社だからと言って絶対に売れないわけではないことが分かります。


中身がしっかりと精査され、買い手企業にとって利益を生むものと判断されれば、赤字会社でも売却することは可能なのです。


赤字会社を売却するポイント



赤字会社といえば

・マイナスの営業利益

・借入が大きい

・債務超過が見られる

をイメージされていると思います。


そのような状況の中でも赤字会社を売却することはできます。

もちろん黒字会社と比べると売れる可能性は低いです。


売却が難しい赤字会社のM&Aを成功させるために、3つのポイントを押さえる必要があります。


赤字会社を売却する3つのポイントは以下の通りです。

・専門家へ早めに相談する

・赤字会社を売却した実績を持つアドバイザーに依頼する

・経営者としての覚悟を持つ

専門家へ早めに相談する



現在経営難にある場合、1人で解決しようとせず早めに専門家へ相談することが大切です。


専門家は客観的な立場で現在の状況を分析し、考えられる選択肢を提供してくれます。


特に中小企業は赤字の状況が長く続くと倒産の道しかなくなってしまうため、時間との戦いになります。


早期に相談してデメリットになることはありません。


会社売却はタイミングが遅れてしまうと売却できなくなってしまうケースも多いです。


実際には早く相談に訪れる経営者の方は、10社に1社の割合しかないのが現実です。


赤字会社の売却は時間との勝負です。相談に行き、売却を決断しても早くても3ヶ月~6ヶ月の時間は必要です。


過去にも、せっかく買手企業が見つかったのに、成約する過程で資金繰りが困窮となり、倒産を余儀なくされた企業も多くあります。


そうならないためにも、早めの相談がおすすめです。


赤字会社を売却した実績を持つアドバイザーに依頼する



赤字会社を売却するためには、既に赤字会社を売却した実績を持っているアドバイザーに依頼した方が安心です。


ただし、赤字会社の事業譲渡ではなく株式譲渡を行った経験を持つアドバイザーを選びましょう。


また、アドバイザーを選ぶ時に下記の3点を注目してみてください。


・決算書からは見えない企業価値を見出してくれる

・案件をきっちりと遂行してくれる

・経営全般のアドバイスができる


M&A仲介会社のほとんどは赤字会社からの依頼を受けて時間と手間をかけるよりも、比較的買い手が見つかりやすい黒字企業を優先してしまいます。


そのため、赤字会社に手間を掛けないようなM&A仲介会社やM&Aアドバイザリー会社を選んでしまうと、成功する可能性は低くなってしまうのです。


そうならないためにも、赤字や業績不振であっても、しっかりと対応してくれるアドバイザリー会社へ依頼しましょう。



経営者としての覚悟を持つ



赤字状態でM&Aを行う際には、経営者としての覚悟を持つことが最も重要です。


黒字の優良会社が行うM&Aとは異なり、売り手側が希望する条件を全て満たすことは難しいと言えます。


そうであっても会社を売却したいという強い想いが、M&Aの成功につながるのです。


ここで言う「覚悟」というのは、事業譲渡後の破産を指しているわけではないので注意してください。


ただし、経営者として守らなくてはいけない従業員や家族のために、経営者として色んなことを受け入れ、乗り越える覚悟は必要となってきます。


何を優先し、何をあきらめるのか?

追い詰めれた中で、冷静でスピーディーな決断が経営者には求められます。


>>赤字会社や債務超過の会社でも会社売却はできるのか?


赤字企業を買収するメリットとは?



赤字企業でも売却ができるということは、赤字会社でも買ってくれる買手企業がいるということです。


なぜ赤字会社を買収しようと検討する企業がいるのでしょうか?


それは、赤字会社を買収するメリットがあるためです。


具体的にそのメリットとは、

・投資のコストを抑えながらM&Aを実施できる

・繰越欠損金を活用して節税効果が得られる

の2点です。


投資のコストを抑えながらM&Aを実施できる



赤字会社で株式譲渡を行う場合、譲渡価格を抑えることが可能です。


基本的な>譲渡価格の相場は、借入債務の引継ぎに+αした金額と言われています。


買い手は売り手に代わって借入を返済するため、株価1円のほぼ無償で譲渡されるのです。


売り手側も、借入金や連帯保証、資金繰りからようやく解放されるため、株価1円であっても問題ないと判断します。


経営権は買い手に移るものの、売却した側の経営者は売却後も会社に残り、報酬を得られる可能性もあります。


買い手側にとっても株価1円という投資額に抑えつつ、未開拓の業界で取引先を確保できたり、優秀な人材を確保できたりするなど、希望の会社を手に入れられるというメリットがあります。


買い手側は赤字会社を買収する前に、下記のポイントは必ず把握しておきましょう。


・売り手側の問題点の把握

・買収後の支援すれば黒字化の可能性がある

・買収後、どの程度の追加資金や支援が必要か?

・キャッシュフロー上で引き継いだ借入金は返済が可能か?

・その他の債務(簿外債務)や経営リスクはあるのか




つまり、買手企業からの資金支援や業務支援をすることで、赤字体質からの脱却ができるのかどうかを買収前に判断する必要があります


また、利益の目安は、引継いだ借入金や負債がキャッシュフローから返済ができ、何年で返済が完了するのかが判断するポイントです。


もちろん赤字会社の買収なので、買収前のデューデリジェンスはしっかり行いましょう。


繰越欠損金を活用して節税効果が得られる



赤字会社の買収はあくまでも投資にかかるコストを抑え、事業改善やシナジー効果による改善で利益を上げる企業を買収することが目的であり、節税効果は目的にするべきではありません。


あくまで1つの付帯要素でしかないことを覚えておきましょう。


また、近年は買収後に繰越欠損金を活用しても税務上で否認され、結局節税効果が得られなかったというケースもあります。


繰越欠損金があっても、その分節税効果によって企業評価が上がることはほとんどありません。


これは売手側の経営者も理解しておきましょう。


赤字会社を買収するメリットがきちんとある点や、押さえておきたいポイントについてご紹介してきましたが、これらはアドバイザーがヒアリングを行い、買い手企業へアピールしていくものです。


そのため、やはり赤字会社で株式譲渡を行う際には、高い経験値を持つアドバイザーへの相談は必要不可欠と言えます。


>>赤字の企業を買収するメリットとは?



赤字会社の譲渡価格をどう評価するべきか?



では、具体的に赤字会社の譲渡価格はどのように評価するべきなのでしょうか?

ここからは価格査定の方法や事業性を評価するポイントなどを解説していきましょう。


赤字会社の価格査定方法



赤字会社の譲渡価格を算定するには、

・純資産

・将来性

・企業価値

の3点からアプローチをかけて算定するのが一般的です。


1.純資産からアプローチする方法



赤字会社に限らず、企業売却の際に用いられているのが純資産からアプローチする方法です。


純資産を算定し、そこから企業価値を見極めて譲渡価格を評価します。


貸借対照表を使い、第三者の視点から譲渡価格を算出できるので非常に役立ちます。


デメリットは事業の将来性などが一切加味されない点です。


純資産からアプローチする場合、

・時価純資産法

・簿価純資産法

の2種類から選びますが、中小企業の売却には簿価純資産法が利用されます。


これは、あまり将来的な成長が期待できない場合、現在ではなく貸借対照表から算出できる純資産から企業価値を評価できるためです。


ただし、赤字会社の場合は債務超過の企業が多いため、純資産から評価するのは適切とは言えません。



2.将来性からアプローチする方法



純資産からのアプローチだとどうしても将来性まで見据えて譲渡価格が算出できないため、一般的には将来性からアプローチする方法が活用されています。


将来性からアプローチするためには、

・DCF法

・配当還元法

という2種類の方法から選びます。


この中で特に利用されているのが、DCF法です。

DCF法は今後企業が生むであろうキャッシュフローを予想し、企業価値を見極めていきます。


予想したキャッシュフローは加重平均資本コスト(借入にかかるコストと株式を調達する際にかかるコストを加重平均したもの)で割り、現在の譲渡価格を算出するのです。


期待値が高ければ加重平均コストも上がり、企業価値の高さにつながります。

赤字企業の場合は、DCF法から価値を見出していくことが望ましいと考えます。


将来の価値を算出するには、買手企業と売手企業の買収後のシナジー効果を考慮し、事業計画の達成見込みが大きく影響します。


その点においては、買収後の事業計画について買手企業側はしっかりと判断する力が求められます


事業計画の見極めができないとM&Aが失敗に終わる可能性もあります。



3.企業価値からアプローチする方法



同業他社と比較した時、市場内での企業価値を算出して評価する方法です。


企業価値からアプローチする方法には、

・市場株価法

・類似会社比準法

の2種類があります。


市場株価法は同業他社の中でも同規模の会社の株価を参考に、売り手企業の価値を算出する方法です。


この方法は非上場企業であっても活用されています。

一方、類似会社比準法では類似企業の財務状況を参考に、価値を算出していきます。


株式以外にも財務指標を使って算出するため、多角的に価値を見極められるでしょう。


決算書には表れない事業性の評価



赤字会社と黒字会社を比較すると、どうしても決算書などで赤字会社が劣ってしまいます。


そのため、赤字会社が買い手企業にアピールする時は決算書には表れない事業性まで評価してもらう必要があります。


事業性を評価してもらうためには、アドバイザーの客観的かつこれまでの経験・ノウハウを活かした見極めが重要です。


質の良いアドバイザーでないと正しく事業性を評価できず、買い手企業にアピールできないためアドバイザー選びは慎重に行いましょう。


赤字会社はここを見て評価する



企業が赤字会社の買収を考えた時、どこを見て評価すると良いのでしょうか。


赤字会社の評価では上記でご紹介した事業性に加え、シナジー効果を見極めることが大切です。


例えば自社の事業で不足しているものを補えるような事業を赤字会社が持っていれば、買収した際にシナジー効果が表れる可能性が非常に高いです。


そのためには、赤字会社を評価する前にまずは自社の経営資源についても把握しておく必要があります。


>>M&Aにおける決算書の頼らない企業評価の見方とは


赤字会社のM&A事例



赤字会社のM&Aにおいて、有名なのが日本電産とライザップグループです。


結果として、赤字会社のM&Aに成功した日本電産の事例と失敗したライザップの事例について見ていきましょう。


成功事例【日本電産】



日本電産は1984年から現在に至るまで、積極的にM&Aを行い企業成長につなげてきました。


そんな日本電産で行われたM&Aの一例をご紹介しましょう。


日本電産では車載用モータ事業を1つの主要事業と位置付けており、さらなる事業の拡大を目指してADAS領域で補完関係にあったオムロンオートモーティブエレクトロニクスを買収しました。


これにより、2社の商品を足し合わせて自動運転につながるセンサー製品群をほとんど取り揃えられるようになったのです。


失敗事例【ライザップグループ】



ライザップグループはプライベートジムを運営する一方、美容や健康、アパレル業界にも進出しようと積極的に企業の買収を行っていました。


しかし、2019年3月期には最終損益70億円の赤字を招いています。


ライザップがこれまで買収してきた企業は、いわゆる赤字会社でその業績改善も含めてグループの成長を目指してきましたが、結局失敗してしまいます。


買収に失敗した理由として考えられるのは、

・元々計画立てていた短期間での立て直しが図れなかったこと

・買収した企業のほとんどが利幅も小さく、国内に留まった経営だったこと

・ライザップのノウハウが活かせない他業種のM&Aによってシナジー効果が十分に受けられなかったこと

が挙げられます。


こういった様々な理由からライザップグループのM&Aは失敗してしまい、事業領域の絞り込みとグループ企業を整理しなくてはならない状態になってしまったのです。


赤字会社のM&Aを成功させるためのポイントとは



赤字会社は負債を抱えているなどのリスクはあるものの、事業におけるシナジー効果を得られる可能性が高く、なおかつコストも低いという点が魅力的です。

そんな赤字会社のM&Aを成功させるためには、

・買収する目的の明確化

・案件の見極め

・買収後のPMI

の3点をしっかりと押さえておきましょう。


買収する目的の明確化



まずは買収する目的を明確化させましょう。


ここで注意しなくてはいけないのが、M&Aによる企業買収がゴールではないという点です。


M&A自体が目的になってしまうと失敗する可能性が高くなってしまいます。

買収後にどうなりたいのか、どのように成長していきたいのかを明確にすると、売り手側を選ぶ際の指標にもなるでしょう。


案件の見極め



赤字会社のM&Aはいくらシナジー効果を生み出すものでも、経営を改善させなければ自社の経営にも大きな負担が掛かってしまいます。


特に株式譲渡は会社ごと引き込むため、万が一買収後に多額の簿外債務が見つかると大変です。


そうならないためにも、案件を見極めるために事業の評価はもちろん、デューデリジェンスを実施して「買収しても問題ないか」「買収後に黒字化にできるのか」を徹底的に調査しましょう。


買収後のPMI



PMIとは買収後に行う経営統合作業を指します。


2つの企業が1つの企業、もしくはグループとしてやっていくため統合作業を行わないと仕事にも支障が出てきてしまいます。


例えば、同じ業務があってもA社とB社で活用しているシステムが違っていると、同期できず場合によっては不具合を生じてしまう可能性もあるでしょう。


また、企業文化が異なることで従業員の関係性が悪化するかもしれません。


そのため、買収後はまずPMIを適切に行い、業務をスムーズに進めるための準備が必要です。


特に赤字企業の買収においては、買収後にどのように経営改善を図っていくのかが重要です。


そのためにも買収後の計画はしっかりと立案し、買収後のPMIを任せる人選も赤字企業のM&Aを成功させるためには重要です。


>>M&A成功のカギを握る経営統合(PMI)とは?


まとめ



赤字会社を売却するには、

1.専門家へ早めに相談する

2.赤字会社を売却した実績を持つアドバイザーに依頼する

3.経営者としての覚悟を持つ


3つのポイントを押さえることが大切です。


特に、「2.赤字会社を売却した実績を持つアドバイザーに依頼する」は、一人ひとりアドバイザーによって同じ会社でも売却できるかどうかは変わってきます。


赤字会社のM&Aは特に難易度が高いため、まずは経験あるアドバイザーに依頼・相談することが、成功する秘訣と言えるでしょう。



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