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用語集財務戦略

決算書に頼らない企業評価の方法である事業性評価とは?

2020/01/12

最近、各金融機関が推し進めているのが、事業性を評価した融資です。

これまでは、どちらかと言えば、決算書の数字ありき、担保ありきの融資であり、各金融機関による格付けや保証協会の保証の有無により融資判断がされてきました

つまり、「事業性」よりも「数字」や「担保・保証」が融資判断では重要視されていたのです。

今回は、これまでの金融機関の融資姿勢から、これからの融資への取り組み方についてお伝えします。

中小企業にとって厳しい銀行融資

これまで中小企業にとって、銀行融資を受けることも至難の業でした。

銀行をはじめ、信用金庫など金融機関に融資の相談に行くと、たいがいは決算書を提出が求められ、黒字であっても経営者個人への連帯保証や、収支が悪い場合には会社や経営者個人の建物や土地などを担保にすることを要求されたりします。

今までの銀行融資ではこれが定番であり、経営者は万が一、事業に失敗すれば、会社だけでなく、自宅も個人の財産も失い、家族の生活にも支障をきたすリスクにさらされてきたのです。

実際に会社が破綻した結果、経営者は一文無しになり、家族とは離婚して離れ離れになるという悲惨な結果も少なくありませんでした。

その傾向が見直され始めたのが、2014年に策定された経営者保証ガイドラインです。

これを契機に、銀行の融資姿勢や担保依存の考え方が少しずつ変わってきました。

>>経営者保証ガイドラインとは?

従来の銀行融資における審査の転換

金融庁は不良債権問題から20年にわたり、金融機関の破綻を防ぐために財務体質の改善を要求し続けてきました。

そのため、金融機関としては、中小企業の融資審査にあたって、事業に可能性があると判断しても債務者格付けが低い中小企業などに対する融資は、引き当てコストが高いとして、消極的な姿勢を取ってきました。

ですが、2015年に金融庁長官が代わったことで、事態は大きく動きます。

従来は立ち入り検査を通じて金融機関の個別の資産を査定し、金融機関の健全性を評価してきました。

2015年以降、新たに国が求めたのは、原則として各金融機関の判断を尊重し、企業の財務データや担保・保証に過度に依存せず、企業の事業内容を適切に評価した融資の促進も要求する方針へと大きく転換することだったのです。

つまり、銀行自体が国からの査定方法が変化したことにより、融資の考え方を変えたのです。

これが事業性評価による融資なのです。

事業性融資により各地域の金融機関が中小企業の成長をサポートし、地方創生を推進する原動力にしたいと、金融庁では考えたのです。

ある意味で本来あるべき金融機関の姿を求めたと言ってもよいでしょう。

従来の審査手法からの転換を図るために

これまでも、中小企業としては事業の成長性や営業力などの事業性を評価して融資をしてほしいと強く求めてきました。

一方で金融機関は、営業力よりも会社の資産や経営者の資産余力を審査の判断材料として重視してきたのです。

金融機関が企業の投資計画に対する融資を拒んできたのも、新規事業の投資計画のリスクが高いからではなく、既存事業の収支状況や財務状況が悪いからと過去の点に固執していました。

融資を断られた理由として会社の収支状況が悪い、既存借り入れが多いなど既存事業の状況を理由に融資を断られたケースが多かったのです。

つまり、画期的なアイデアに基づく投資計画であっても、現時点で企業の財務状況などが悪ければ融資を受けることは困難でした。

事業性評価の推進への取り組み

金融庁が方向転換したとしても、金融機関が事業性評価に基づく融資を実現するための貸出判断力とノウハウを身に着けなくては思うような融資は受けられません。

そのため、各金融機関で与信担当者などに対して財務内容分析に関する教育や経営内容把握に関する教育などに取り組んでいます。

もっとも、都市銀行や地方銀行に比べ、中小企業が依存する信用組合などでは教育の実施割合が低く、課題が残されています。

事業性評価をスムーズに行う目的で業界および技術の動向に関する情報収集などを行う部署を設置するという取り組みについても、金融機関の規模が大きいほど実施率が高いのが現状です。

業界や技術に関する外部専門家や機関との連携についても、信用金庫などではあまり取り組まれていません。

こうした環境が改善されるのを待つばかりです。

>>M&Aにおける決算書に頼らない企業評価の見方とは?

事業性評価が中小企業のM&Aに与える影響とは?

事業性評価が各金融機関で実行され、多くの中小企業が事業性評価による融資が受けられるようになることは、M&A業界にとっても良いことです。

それはM&Aの買収資金への融資は、正に事業性を評価した融資そのものだからです。

M&Aでの譲渡代金の評価は、買収後のシナジー効果や、買収先の収益力(PLの評価)が評価の50%であり、事業性の評価(BSの財務内容や企業の安全性)が50%と言えます。

つまり、事業性の評価を銀行からしてもらえなければ、BSの評価(実態の純資産相当額)しか買収資金の融資はでません。

もしくは、買手企業の与信に頼って評価による融資となってしまいます。

今後、多くの中小企業がレバレッジをきかせて買収資金の調達をするには、銀行の事業性評価による融資が不可欠と言えます。

各銀行によって、融資姿勢は大きくことなりますので、買手企業はお付き合いをする銀行を選ぶのも良いかもしれません。

>>M&Aにおける買収資金の準備の仕方とは?

まとめ

事業性評価融資は今後各金融機関も積極的に取扱っていく方針です。

これは、金融庁が各金融機関に行う検査の内容変更が原因と言われています。

これまで、決算書の内容や保証協会の保証の有無、担保の有無が融資判断の大半を占めていたものが、事業性も評価としてそれなりのウェートを占めてくることが予想されます。

一方、急激な変化は期待できませんので、今後数年かけて変わってくると予想されます。

中小企業にとってM&Aを成長戦略として考えている企業にとっては、事業性による融資判断はプラスに働くと考えられます。

事業性の評価を書く金融機関がしっかりとおこなってくれれば、M&Aの買収資金への融資も積極的に行ってくれる可能性はあります。

どちらにしろ、銀行の根底にある考え方が大きく変わることはないでしょう。

そのためにも、日々の業績が反映される決算書の内容に関しては、健全性、収益性を意識した決算書であることを目指し、企業運営をしていきましょう。

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