経営改善
2020/03/28
そもそも赤字会社自体、売却ができないと思い込んでいる経営者が非常に多いのではないでしょうか?
黒字ならまだしも赤字の会社を買うメリットがあるのか…
こんな会社には誰も興味をもってもらえないだろう…
このように考えている経営者は実際に非常に多いです。
しかしながら、これまで10年以上中小企業のM&Aを行ってきた経験から言えることは、赤字会社や債務超過であるからと言って、会社や事業の売却ができないということは決してないということです。
赤字の会社であっても売却は可能です。
ここで1つ会社の売却を検討している経営者の方に理解して頂きたいことは、会社の評価(企業価値)を決めるのは、買手企業であるということです。
買手企業は利益が出ている会社だけが欲しい訳ではありません。
ある買手企業は、その地域戦略の為に興味を持つかもしれません。
またある買手企業は、人に興味を持つかもしれません。
赤字会社の買収による繰越欠損金の利用などを考えているかもしれません。
あくまでも、買手企業があなたの会社を評価するのは、決算書の数字や利益だけではなく、取引先や人、技術など会社としてもっている見えない資産も評価しています。
もちろん、黒字や利益が出ている会社の方が、より評価されるのは当たり前ですが、赤字や債務超過だからといって、売却の可能性がないということはありません。
一方で、全ての買手企業や会社の売却を依頼するアドバイザーが赤字会社の買収や取扱いに長けているという訳ではありません。
赤字会社や債務超過の会社の売却を成功させるには2つのポイントがあります。
それは
【買手企業の理解】
【買手メリット】
【アドバイザーの経験】
です。
M&Aにおいて全ての買手企業が赤字会社や債務超過の会社に興味を持つ訳ではありません。
むしろ多くのM&Aを経験した買手企業だからこそ赤字会社や債務超過の会社の買収ができるといった方がいいかもしれません。
それ程、利益が出ている会社の売却と赤字の会社の売却は別物なのです。
具体的に何が違うのか?
それは【買収する案件の見極め】と【買収した後】が決定的に違います。
赤字会社の買収は、買手企業からすれば投資額を抑えることができるというメリットがあります。
一方、収益は上がっていない事業が多いので、現状のままでは投資の回収さえままならない状況とも言えます。
赤字会社の買収を行う買手企業の多くは、自社のリソースで赤字会社を黒字化できる(利益を出す事業にできる)可能性を考慮して投資を行っています。
つまり、現在の収益を見ているのではなく、自社のリソースと赤字会社の事業や人、顧客などでシナジーが発揮できるかどうかを見極める必要があるのです。
そういった意味では、目先の利益ではなく、その先を見据える力が必要とも言えます。
赤字会社を買収する買手企業は、投資額を抑えて最大の利益を目指しています。
その意味では、M&Aに慣れた買手会社でないと投資判断が難しいのが赤字会社の買収なのです。
売却を行いたい場合、前もって売却価格を算定し把握することが大切です。
売り手は高く売れるよう期待し、買い手は良い会社を安く買いたいと考えます。
そのため、交渉を進める際には買い手の投資判断を考えながら交渉しなくてはいけません。
売却価格の算定方法は一般的に次の3つのアプローチで行われます。
①純資産
②将来性
③企業価値
それぞれの算定方法を確認していきましょう。
会社売却で一般的に活用される算定方法が、純資産からのアプローチです。
純資産から企業価値を見極め、価格を査定していきます。
貸借対照表を用いるため、客観的な視点での売却価格になると言えるでしょう。
ただし、将来性を考慮した買収価格にはなりにくいという特徴も見られます。
純資産からのアプローチには、「時価純資産法」と「簿価純資産法」の2種類があります。
・時価純資産法
純資産を時価で算出し、企業の価値を判断する方法です。
現在の純資産を算出するには多少の手間が伴ってきます。
・簿価純資産法
貸借対照表から純資産を算出し企業価値を判断する方法です。
将来的な成長はあまり見込めない成熟した中小企業のケースでよく使われます。
純資産だけだと、会社の将来性まで含めた売却価格の算出は難しくなります。
赤字会社の場合は特に、純資産からの売却価格算出は不利と言えるでしょう。
そのため、将来の収益性を見越して価格が査定できる、「将来性」を企業価値に換算する方法も一般的となります。
将来性からのアプローチ方法には、「DCF法」と「配当還元法」の2種類が挙げられます。
・DCF法
企業が生む現金収支(キャッシュフロー)の予想金額から企業価値を判断します。
具体的には、予想された現金収支を加重平均資本コストで割り引き、現在の価値を出して売却価格を算出していきます。
加重平均資本コストは、株主が負う株式調達コストと、借り入れの負債コストを加重平均して割り出します。
期待される現金収支が多ければ加重平均コストも大きくなり、企業価値が高いと判断することが可能です。
・配当還元法
配当還元法は、直近の配当金額と株主が期待する利回りから算出されます。
配当金をベースに価値を見出す方法です。
配当金額は確定データとなるため、将来性からのアプローチの中では客観的な算出方法と言えるでしょう。
ただし、正確な企業価値は算出しにくい方法なので、一般的にはあまり用いられていません。
赤字企業の売却価格は、市場で決めた企業価値からも算出が可能です。
会社の規模が同等の、同業他社の企業価値から算出される点で、客観性がある算定方法と言えます。
主に、「市場株価法」と「類似会社比準法」で算出されています。
・市場株価法
同規模・同業他社の株価から、自社の価値を算出する方法です。
市場株価法は非上場の企業について価値判断をする際にも使われます。
・類似会社比準法
類似している企業の財務状況から企業価値を算出する方法です。
株式の他に、財務指標を用いて計算していきます。
買収案件を見極めるだけでなく、実際に買収した後に収益を改善させる実行力も買手企業にとっては大切でしょう。
M&Aで企業を買収した後、継続して収益を出しだし続けることは非常に難しいことです。
当初、想定していた通りに事業計画を進めることは簡単ではありません。
それ程、買収後にシナジー効果を発揮させることは難しいのです。
この事業承継ほど、経験がものを言う業務はないと言えるでしょう。
初めて事業承継(企業統合)を行う経営者と経験を多くしている経営者では、結果は全く違います。
特に既に組織化されていて収益も出ている優良企業ではなく、赤字会社(赤字事業)の買収なので、経営者の能力が問われます。
それ程、赤字会社や事業の買収は、買手企業の理解と経験が必要なのです。
では、買い手企業にとって赤字会社を買収すると、どのようなメリットを得られるのでしょうか?
実際に、赤字企業を買収して成功した事例をご紹介します。
赤字で潰れそうな会社を買収することにデメリットがあるのは間違いありません。
しかし、デメリットを上回る利点が、赤字会社の買収にはあります。
赤字会社に買い手がつく理由は、主に次の3つが挙げられます。
赤字会社を買収すると、純利益を減らせるため節税が期待できます。
買収によって生じる特別損失は7年間にわたって損益通算が可能です。
資金力に乏しく赤字になってしまった会社を買収すれば、ブランドや広い販路などを活用して、新規事業を展開することも可能です。
買収はシナジー効果を期待して行われるケースも一般的です。
シナジー効果とは相乗効果という意味で、単独での事業よりも大きな効果が生まれることを指します。
販売チャネルやブランド効果、営業の統廃合や価格綱領力の強化、技術の複合など、様々なシナジー効果が期待できるため、赤字でも買収に至る可能性があるのです。
実際に赤字会社を買収して成功を収めた、日本電産の事例を見ていきましょう。
約30社の赤字会社を買収している日本電産は、買収した会社を全て黒字化したことで知られる電子機器メーカーです。
積極的なM&A戦略を展開して、会社規模を拡大し利益を増やしました。
「経営者も従業員も代えずに一緒に経営する」、「保有するブランドを残して安心感を与える」、「買収当初は数人の支援を出し、再建後には全員引き上げる」という、この3点を買収の基本方針に定めています。
日本電産ではそれぞれの企業のブランド力や強みを活かせるように支援を行い、完全な統合ではなく赤字会社を黒字会社にすることに成功しました。
赤字会社や債務超過の企業を買いたいという会社はあります。
買い手にとっては赤字会社を買収する様々な利点があるので、黒字や利益が出ていないからと売却を諦める必要はありません。
企業買収ではアドバイザーの経験(能力)が成功を左右します。
これは買手企業に求められるものと同じようにアドバイザーに、事業譲渡や赤字会社の売却の経験がM&A成功の重要な要素となるためです。
赤字会社を売却する上で、具体的にアドバイザーに求められる能力としては
・決算書には表れない企業価値を見出す能力
・案件遂行能力
・経営に関するアドバイスができる能力
などが挙げられます。
最初に挙げられる能力として事業を見極める能力です。
中小企業の赤字の会社は総じて財務面の評価は低い企業が多いです。
営業赤字であったり、債務超過の状況であったり、借入過多の状況であったり、各企業によって何かしらの問題点を抱えている場合が殆どです。
そういった状況からのスタートですので、通常であれば相談時に決算書を担当者に見せた段階で、売却の可能性は低いと断られることが多いはずです。
この見方(視点)は、あくまでもM&Aアドバイザーの見方なので、優先して見ているのは、買手がすぐに見つかりそうかどうか?という判断基準(可能性)で案件を見ていることが多いです。
その様な見方では、赤字会社や債務超過の企業の売買はできません。
企業の事業性を見極める上で必要なことは決算書の数値ではなく、決算書には表れない価値を見出す能力です。
そのためには依頼者から十分に事業の内容をヒアリングし、企業としての問題点、想定される買手とのシナジー効果を発揮するためのポイントなどを知る必要があります。
このポイントを抑えたヒアリングをする能力こそアドバイザーに求められる能力なのです。
中小企業の赤字会社の売買はある意味で時間との勝負という側面もあります。
どのタイミングで、利害関係者との調整を図るかなど、M&Aを成約させるためのポイントは多くあります。
これは、案件を扱った実績がものを言います。
ポイントを理解しているアドバイザーとしていないアドバイザーでは、案件成約の可能性は大きく異なります。
しっかりと道筋を立てて買手企業や利害関係者や金融機関との話を取りまとめていくかが重要なのです。
案件遂行能力と同様に必要になるのが、経営に関するアドバイスができる能力です。
もっと言うなれば、資金繰りに関するアドバイスができる能力です。
赤字会社のM&Aは時間との勝負です。
せっかく買手企業からの支援を取り付けても、その途中で資金繰りが困難になり、案件が成約できないという事例は多くあります。
M&Aの場合、案件成約まで平均して6ヵ月程度は余裕を見ておく必要があります。
※どんなに早くても3カ月。通常は6ヵ月程度と認識しておきましょう。
その間の資金繰りに関しては、自力で乗り越えていく必要があります。
その際に、適切なアドバイスを行えるかどうかという能力もアドバイザーには求められるのです。
アドバイザーとしては、相談を受けた段階で、6か月先の資金繰りの状況を把握する必要があり、対応が必要な場合は、適切なアドバイスをする必要があります。
何よりも早いご相談が何よりも大事であるという点は、言うまでもありません。
その上で、アドバイザーの支援で乗り越えられる可能性は十分にあるということもご理解ください。
赤字会社売却の成功へのポイントは3つあります。
1つ目は、早期の専門家への相談
2つ目は、依頼するアドバイザーの選定
3つ目は、社長としての覚悟
です。
現在が赤字の場合もしくは経営が厳しい状況にあると自覚している場合は、すぐに専門家へ相談しましょう。
あくまでも相談です。
第三者の視点から現在の会社の状況を分析してもらい、取ることができる選択肢を提供してもらうことが重要です。
あくまでも相談と言ったのは、相談したから必ず依頼をしなければいけないということは決してないということを理解して頂きたいからです。
これはどの企業もそうですが、相談は無料で何かしらの提案はして頂けます。
最終的のその提案を受けるかどうかは社長の判断に委ねられます。
よって、依頼するかどうかは別としてまずは第三者の専門家へ相談することをお勧めします。
中小企業の赤字会社の売却の場合、時間との勝負になります。
早期の相談はメリットしかありません。
日々、経営が棄損していく中で、会社を売却しなければならないので相談は早ければ早いに越したことはありません。
赤字会社の売却には、経験のあるアドバイザーを選ぶ必要があります。
赤字会社や債務超過の企業の売却に必要な2つの要素でも説明しましたが、理解ある買手企業との取引実績やアドバイザーとしての経験が会社売却成功には必須です。
自社の会社の状況や規模に合ったアドバイザリー会社へ依頼することをお勧めします。
赤字会社のM&Aの場合にもっとも重要なことは社長の覚悟かもしれません。
優良会社のM&Aとは違い、赤字会社のM&Aの場合は、社長の希望や条件を100%満たすことは非常に困難です。
その覚悟を持ってM&Aを行うのかどうかは成功に大きな影響を与えます。
この覚悟というのは、事業譲渡をした後に法的手続き(破産する)ということを指しているのではありません。
ただ、そういったことも含めて、守るべきもの(従業員や家族など)のために、どんなことも受け入れる、もしくは乗り越えていくという覚悟は必要かもしれません。
経営者の覚悟で触れましたが、破産についてお伝えしておきます。
赤字会社の売却=法的手続き(民事再生や破産)をイメージされる経営者も多いかもしれませんが、決してそういったことはありません。
法的な手続きを回避するためにも、早期の相談、経験のあるアドバイザーに相談することをお勧めします。
100%法的な手続きを回避できるということは断言できませんが、現在は経営者保証ガイドラインなど経営者を守る制度も増えてきています。
赤字会社や債務超過の企業の売却は可能です。
売却を可能にするために必要なポイントは3つです。
1つ目は、早期の専門家への相談
2つ目は、依頼するアドバイザーの選定
3つ目は、経営者としての覚悟
です。
まずは、経営者として覚悟を持ち、早期に専門家へ相談することをお勧めします。
何度もお伝えしますが、早期の相談はメリットしかありません。
その上で、依頼するアドバイザーについては、赤字会社のM&Aを行った実績のあるアドバイザーへ依頼することが、成功への近道になるはずです。
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