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後継者バンクの活用方法とは?メリット・デメリットから申し込みの流れまで解説

2020/08/12



経営者の年齢や病気、家族の介護など、会社の後継者が必要になる理由はさまざまです。しかし、中小企業の後継者不足は深刻化しており、後継者不在を理由にやむを得ず廃業する会社は少なくありません。そこで活用したいのが後継者バンクです。ここでは、後継者バンクの概要や利用方法、メリット・デメリット、申し込みの流れまで詳しくご紹介します。


中小企業が抱える後継者問題



中小企業庁の「事業承継・創業政策について」によると、今後10年の間に70歳以上になる中小企業・小規模事業者の経営者は245万人になると推測されています。さらに、そのうち約半数の127万人は後継者が決まっていない状態ともいわれています。


後継者問題で廃業せざるを得ない企業が多発し、2025年頃までに約650万人もの雇用が失われることが予測されているなど、日本全体の問題になっているのです。このような事態を打開すべく、国の中小企業の後継者問題の対策措置として事業引継ぎ支援センターで実施されているのが後継者バンクです。



>>後継者がいない会社の選択肢とは


後継者バンクとは



後継者バンクとは、各都道府県に設置されている事業引継ぎ支援センターが実施している事業のひとつです。事業引継ぎセンターは、M&Aの専門家や金融機関を紹介したり、さまざまな情報を提供したりと、事業の引継ぎのサポート業務を行っています。


後継者バンクの目的は次の3つです。


1.後継者問題の解決



後継者バンクでは、最適な人材とのマッチングだけではなく、事業を第三者に引継ぐサポートも行っています。


2.スムーズな事業承継のサポート



事業承継を行うことが決まっても、日々の業務に追われて手が回らないケースが少なくありません。また、事業承継の準備や始め方、相談先などがわからず、動き出しが遅れる場合もあります。このような悩みを解決すべく、スムーズな事業承継をサポートするのも後継者バンクの業務です。


3.事業を譲受したい人のサポート



事業の譲受を希望している人と後継者不足に悩む会社をマッチングしたり、後継者の育成を支援したりすることも目的のひとつです事業を譲受すれば、人材やノウハウをそのまま取得して、軌道に乗った状態で事業を始められます。


しかし、後継者のスキルや経験によっては、業績が落ちる可能性も考えられます。そのため、後継者バンクでは後継者の育成にも力を入れているのです。


後継者バンクを利用するメリット/デメリットとは



それでは、後継者バンクを利用するメリットとデメリットについて詳しくみていきましょう。



後継者バンクのメリット



後継者バンクのメリットは次のとおりです。


▶信頼性が高い後継者が見つかりやすい



後継者を探す方法には、M&Aのマッチングサイトに登録する方法もありますが、利用者に事前の面談などはありません。事業引継ぎ支援センターであれば、事前の面談で信頼性がある程度確認された人物から譲受を相談されます。


▶手軽に利用できる



M&Aの相談先には、仲介会社や金融機関、税理士などがありますが、いずれも費用がかかります。事業引継ぎ支援センターは無料で何度でも相談できるため、手軽に利用できるでしょう。


なお、相談料がかからない仲介会社やアドバイザリー会社もあるので、興味がある方は探してみてください。


▶信頼性が高い



M&Aの相談先によっては、半ば強引に契約を迫られたり、十分にサポートできなかったりします。事業引継ぎ支援センターは公的機関のため、安心して依頼できるでしょう。


後継者バンクのデメリット



それでは、後継者バンクのデメリットを詳しくみていきましょう。


・実績が少ない



2018年の時点で約37,000件の相談実績があるものの、事業引継ぎに成功しているのは約2,400件です。成功実績が少ないため、難しい案件をサポートすることは難しいかもしれません。実績豊富で信頼性が高い仲介会社やアドバイザリー会社に依頼した方がよいでしょう。


・マッチングの質が低くなりやすい



後継者バンクは実績が少なく知名度も低いため、質の高いマッチングができない可能性が高いでしょう。後継者バンクの存在を知り、実際に売り手を探さなければ自社を見つけてもらうことはできません。


>>後継者不足で廃業は増えるのか?


後継者バンクの申し込みからM&Aの契約までの流れ



それでは、後継者バンクの申し込みからM&Aの成約までの流れを詳しくみていきましょう。


1.事業引継ぎ支援センターの連携支援機関に申し込む



まずは、事業引継ぎ支援センターの連携支援機関である商工会議所や役所などに申込書を提出します。申込書は、連携支援機関および事業引継ぎ支援センター、事業引継ぎ支援センターのホームページなどで入手できます。


2.M&Aの専門家と面談する



申し込み後、事業引継ぎ支援センターから連絡がくるので、面談日を決めてください。面談では、不明点を尋ねたり相談したりできます。そのほか、創業から現状までの経緯、業績、事業内容、株主や親族、役員関係のこと、キャッシュフロー、何を譲渡したいのかなど、さまざまな内容を相談します。


そして、面談の内容をもとに後継者バンクへ登録されます。相談にかかる時間は2時間程度です。


相談時には、3期分の決算書・申告書、会社概要、商品・サービスのカタログなどを持参してください。


3.後継者バンクにノンネームシートを登録



後継者を探す側が事業引継ぎ支援センターのノンネームシートに登録します。ノンネームシートには、売上高や従業員数、業種など、事業の譲受を希望するかどうか判断するための情報が掲載されます。社名や本社所在地など、会社を特定する情報は掲載されません。


4.マッチング



ノンネームシートの内容から自社に興味を持った人物や会社が出てきた場合、それぞれの条件を提示します。お互いに希望の条件が合致すれば、M&Aを行う意思を確認し合ったうえで秘密保持契約を締結します。


その後、事業引継ぎ支援センターが仲介して買い手と売り手が対面で条件を交渉していきます。


5.契約



契約前には、買い手が売り手に対してデューデリジェンスを実施するケースがほとんどです。デューデリジェンスとは、法務・財務・税務などから潜在リスクを調べることで、譲受後の法的なトラブルを未然に防ぐことを目的としています。


デューデリジェンスの際には、売り手は買い手に対して契約書類や決算書などを開示する必要があります。条件交渉が進み、すべての準備が完了したら、M&Aを行う最終契約を締結します。契約後、契約書に記載の内容に基づいて引継ぎを行います。


後継者バンク以外の国の支援



それでは、後継者バンク以外に実施されている国の支援について詳しくみていきましょう。


事業承継ネットワーク



事業承継ネットワークは、事業承継診断などを行うプッシュ型の情報提供機関です。事業引継ぎセンターやよろず支援拠点などへと繋ぐことで、事業承継をサポートします。設置されているのは全国20程度の自治体で、今後も拡大していく見込みです。


事業引継支援センター



後継者バンクを導入している事業引継ぎ支援センターは、後継者不在を理由に事業承継を検討している中小企業・小規模事業者と買い手をマッチングするために、課題解決のための助言や各種サポート、専門家の紹介などを行っています。


47都道府県に設置されているため、会社の所在地に関係なく相談が可能です。


>>事業引継支援センターの活用方法とは


事業承継税制の拡充



事業承継税制とは、中小企業の株式を第三者に引き継いだときに発生する相続税や贈与税の納税を猶予する制度です。また、猶予と言えばいずれは支払いが必要になりますが、事業承継税制では将来的な免除を前提としているため、事業承継の活発化に繋がることが期待されています。


事業承継税制は、昨今の中小企業の後継者問題を受け、平成30年に改正されました。今回の改正によって、さらに事業承継を後押しできる内容になったのです。納付猶予の対象や諸条件について、改正の内容を詳しくみていきましょう。


>>M&Aに関する補助金や助成金とは?事業承継補助金の概要と利用方法


納付猶予の対象が拡大



これまでは、納税猶予の対象が発行済株式3分の2までで、相続税の猶予割合は80%でしたが、新税制では納税猶予の対象が全ての発行済株式になり、相続税においても100%が猶予されます。


対象者の人数が増加



これまでは1人の経営者から1人の後継者に対して事業承継する場合が対象でしたが、複数の株主から3人までの後継者へ承継するときも適用されるようになりました。


適用後のリスクをさらに軽減



これまでは、猶予の途中で減免や免除を受けられるのは会社更生や民事再生などによって、事実上の倒産をしたときのみでした。新税制では、業績悪化によって株を譲渡したり吸収合併されたりした場合にも免除を受けられます。その時点での下部かで再計算し、差額が免除されます。


また、5年の平均で雇用者数が8割に達していない場合、猶予対象となった税額に利息をつけて全額納付する必要がありました。新税制では、5年の平均で雇用者数が8割に達していなくても、猶予が継続されます。その際には、理由書を提出したうえで、認定経営革新等支援機関の指導や助言を受ける必要があります。


中小企業の後継者バンクの上手な活用法とは



後継者問題を抱える企業にとって後継者バンクは非常に有効な手段です。


親族外承継(M&Aによる第三者への承継)を実施する場合において、もっとも大きなリスクは、引き継いだ会社(買手企業)と引き継がれた会社(売手企業)のミスマッチです。


売手側/買手側が、「こんなはずではなかった」と思うようなM&Aは双方にとって有益であったとは言えません。


そういった双方のミスマッチを防ぐ1つの手段として有効なのが後継者バンクです。


特に、中小零細企業にとっては有効な手段と言えます。


後継者バンクを利用する最大のメリットは、売却する前に売り手側企業で働くことで、ミスマッチをなくすことができるという点です。


引き継ぐ側が、売手企業で一定期間働き、この会社であれば引き継いでも問題なく継続できるという試験期間を設けることができるのです。


こういった手法は、後継者がなかなか見つからない中小零細企業にとっては有効な手法であり、また、引き継ぐ側にとっても、これから創業を検討している人材が既存の取引先などを活用して創業時から運営できるなど、双方にとってメリットがあります。


現在は、まだ認知が進んでいない後継者バンクですが、中小零細企業の選択肢の1つとして是非検討してみては如何でしょうか?


また、廃業を検討している企業とこれから創業を検討している経営者を結ぶ機能が有効に働くことにより、今後の後継者問題や廃業問題の解決の選択肢となる可能性もあるでしょう。


まとめ



後継者バンクを利用することで、意欲的な買い手とマッチングできる可能性があります。相談は何でも無料なため、必要な情報を仕入れるために相談する使い方も有効でしょう。また、より高く売却したい場合は、アドバイザリー会社に相談することをおすすめします。信頼性が高いアドバイザリー会社に依頼できれば、スピーディかつ条件を満たして買い手とマッチングできるでしょう。



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