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法的整理と私的整理の違いとは|メリット・デメリットも解説

2019/10/29


債務超過で返済が困難となる、あるいは事業や投資を失敗する、不正が発覚するなどで巨額の損失を出し事業継続が困難となった場合、会社の倒産や債務、事業を整理して再生を目指す手法として、法的整理と私的整理の2つの方法があります。


ここでは、法的整理と私的整理のメリット、デメリットについてお伝えします。


法的整理とは


法的整理とは、裁判所の監督のもと民事再生法や会社更生法などを利用して企業再建を目指す方法です。法律上規定された方法に基づき、裁判所で手続きをします。



破産・特別清算などの清算型手続きと民事再生や会社更生といった再建型の手続きがあります。いずれも、それぞれ手続きを定めた法律上の明確なルールに基づき、公正・公平な裁判所の監督のもとに行われます。




POINT

倒産とは、一般的に事業で十分な収益が得られずに資金繰りが悪化し、事業を継続ができなくなった状態を指します。倒産は法律的な用語ではないため明確な定義は存在していません。

具体的には支払いが困難になり、支払うべき債務の履行が不能になった状態になると企業は倒産します。

事業の継続が困難になった場合、裁判所に破産申請の申し立てを行って清算の手続きを開始します。つまり、法的な手続きを行い、会社をたたむことが倒産です。


一方、廃業とは負債を全て清算できる状況で自ら企業継続を断念することです。廃業は、あくまでも「自主的」に企業の経営から身を引くことを意味しています。

「会社を廃業?倒産?違いを解説|ハッピーリタイアならM&Aがおすすめ」



民事再生



企業の事業再生を目指す民事再生は、民事再生法に基づく裁判手続きです。



経済的に事業の継続が難しくなっている企業について、現経営者をそのまま経営陣として据えながら、会社債権者といった利害関係者の多数の同意を得て再生計画を策定して遂行します。そして、利害関係を的確に調整しながら、事業再生を図ることを目指します



会社更生



会社更生は会社更生法に基づく裁判手続きです。民事再生との違いは、現在の経営者ではなく、裁判所の選任した更生管財人の主導のもとに事業再生を図る点です。


会社更生手続きの申し立てがあると裁判所は、通常のケースでは保全管理人として弁護士を選任します。保全管理人が新会社の経営権と財産処分権を持ち、裁判所の決定に基づき、弁済の禁止や担保権の実行禁止などの更生計画を遂行していく手続きです。


法的整理のメリット・デメリット


法的整理を選択するメリットとしては法定された明確なルールに基づき、裁判所の監督のもとで遂行されるため、不正が入り込みにくく、債権者間の公平が保てる点が挙げられます。


逆に法的整理のデメリットは、法律のルールに則るため、手続きが複雑で時間がかかり、費用も必要という点が挙げられます。


民事再生や会社更生の手続きを取る場合は、債務の返済可能性や事業の継続が期待できる状態にあることが条件にもかかわらず、倒産というイメージが付くことが多いです。


事業再生の余地がある場合に適用される手続きなのですが、世間一般では民事再生や会社更生と聞くと、経営が破綻した企業、事業がうまくいかなくなった企業というレッテルが貼られてしまうのです。


これまで知名度の低かった中小企業が、民事再生を申し立てたと全国ニュースで報道されてしまい、一気に知名度が上がってしまうケースもあります。


そのため、せっかく事業再生を行っても、新規顧客がつかない、取引先や既存顧客が離れていくなど信頼の喪失や企業価値の減少リスクをはらんでいます。また、民事再生や会社更生を申し立てると、どこの銀行も融資をしてくれなくなるため、手続き中の運転資金をサポートしてくれるスポンサー企業の存在が不可欠です。


そのため、スポンサー企業が見つからないと事業再生ができない点もデメリットです。


MEMO

DIP(Debtor in Possession)ファイナンスとは、簡単に言うと法的手続き後の運転資金などの融資に使われる方法です。

会社はさまざまな事情から事業継続が困難になる場合に法的手続きを利用した事業の改善を目指す場合、金融機関からの通常の資金調達は非常に難しく運転資金が枯渇する場合があります。

その際に、DIPファイナンスを利用し、一時的な運転資金の確保を行います。

DIPファイナンスは一部の金融機関もしくは、民事再生時にスポンサーになってもらえる事業会社(支援企業)から受けることが可能です。

「DIPファイナンスを活用した企業再生の方法とは」




私的整理とは


私的整理とは法律で定められた手続きに基づく法的整理とは異なり、債権者と債務者との自主的な協議によって企業の再生を目指す手続きです。



法的整理が債権者平等の原則のもとで、債権者すべてを対象にしなければならないのに対し、債権者の限定や個別に交渉が行える点で大きな違いがあります。主に金融機関を対象にして月々の返済額の変更や債務の圧縮に同意をもらい、会社の再建を図る方法です。


例えば、債権者を金融債権者に限定することで、他の取引先債権者や顧客には整理の事実を知られずに秘密裏に手続きが進められるメリットがあります。


一方で、取引先などの債権もすべて対象にする場合には、取引先が今後の取引から手を引いてしまい、事業の継続が困難となり、結果として破産せざるを得ない事態も起こりかねません。


私的整理のメリット・デメリット



メリットとしては、債権者と債務者の合意を円滑に進めることができれば、柔軟かつ迅速に事業の建て直しが実現できる点があります。また、倒産企業のレッテルを貼られるリスクが低く、取引先の維持や事業価値の減少リスクを抑えることが可能です。


ただし、再建計画に反対する債権者がいる場合に反対する債権者を法的に拘束できず、裁判所に債務弁済禁止などの保全処分を求める制度がありません。そのため、計画通りに進められず、結果的に破産手続きに移行せざるを得なくなるケースがあるのがデメリットといえるでしょう。


法的整理と私的整理どちらを選ぶか



事業再生の可能性があるかを検討し、不可能な場合は破産や廃業を選択することになります。再生の可能性がある場合には、資金がショートする緊急性があるかを診断します。


とくに商取引債権者からの債権回収が殺到するなどして、すぐに資金ショートする可能性がある場合には民事再生の選択が賢明といえるでしょう。


資金ショートの緊急性はないものの、取引のあるすべての金融機関の同意が得られない場合にも、やはり民事再生が実効性ある選択肢です。


これに対して、再生可能性があり、資金ショートの緊急性もなく、すべての金融機関から同意が得られる見込みがある場合には、私的整理の可能性が残されます。


>>廃業、倒産の危機を回避する方法とは?


まとめ


法的整理とは裁判所の監督のもと民事再生法や会社更生法などを利用して企業再建を目指す方法です。



一方、私的整理とは法律で定められた手続きに基づく法的整理とは異なり、債権者と債務者との自主的な協議によって企業の再生を目指す手続きです。

法的整理

メリット

・不正が起きにくい

・債権者間の公平が保てる

デメリット

・手続きが複雑で時間がかかる

・費用がかかる



私的整理

メリット

・倒産したことが知られにくい

・取引先や事業価値が維持できる

デメリット

・反対者がいると進められない



法的整理、私的整理ともにメリット、デメリットがありますので、その点を十分に理解した上で、自社にとってどの方法が最もダメージが少ないかを検討した上で選択することが重要です。

>>赤字経営から脱却する方法とは?


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