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M&Aの仲介業務は利益相反とならないのか?

2020/05/13



M&Aは買い手企業と売り手企業の両者で交渉を進めていき、合意の上で実行されます。


しかし、中には交渉の段階でスムーズな話し合いができず、いつまでも平行線をたどるような状態になってしまうことがあります。


円滑な交渉のためにも、M&Aの仲介会社が間に入ってサポートしてくれると安心です。


ただし、M&Aの仲介業務というのは「利益相反行為」にあたるのではないかと不安に思われる方もいらっしゃるでしょう。


利益相反とは、一方にとって利益に、もう一方にとっては不利益になってしまう行為のことです。


例えばM&Aの仲介会社は買い手と売り手、両者の交渉をサポートするため中立な立場であるべきと考えられますが、もしかしたら買い手側の利益になるように交渉が進められてしまうかもしれません。


そこで今回は、M&Aの仲介業務は利益相反とならないのか、について解説させて頂きます。


M&Aの仲介業務とFA業務の違いとは



M&AにはM&A仲介業務とFA業務があります。

具体的にM&Aの仲介業務とFA業務にはどのような違いが見られるのか、解説していきましょう。

M&A仲介業務とは



M&A仲介業務では、主に買い手企業と売り手企業の間に入ってお互いの交渉条件を分析し、調整して成約をサポートします。


M&Aでは必ずしも条件が一致し、スムーズに成約ができるわけではありません。


お互いの条件を擦り合わせて納得のいく形にするのが、M&A仲介会社の役割となります。


M&A仲介業務を依頼するのは、中小企業の経営者でこれから会社を拡大していこうと考えている方、もしくは様々な理由から会社の売却を検討している方が多いです。


M&A仲介業務のメリット/デメリット



M&A仲介業務のメリットは、買収・売却戦略に基づき相手企業を探せるという点です。


仲介業務はマッチングの役割も担っており、例えば売り手企業が自社を買ってくれる相手を見つけたい場合に仲介会社へ相談すると、理想の条件に近い企業を探し出してくれます。


また、M&Aの交渉はもちろんのこと将来的な経営戦略の立案についてもサポートしてもらえるケースがあります。


一方、デメリットとしては交渉する中で案件の円滑な制約を目指すために、多少の妥協が必要となる点です。


そうなると交渉が進むにつれて、ある程度譲らなくてはならない部分が出てきます。


結果として売り手側/買い手側にとって利益の最大化などが狙えなくなってしまいます。


FA業務とは



FA業務は、買い手企業もしくは売り手企業に対して助言を送るサービスを言います。


FAは基本的に財務や金融全般のアドバイスを送ることができますが、M&Aにおいても全般的なコンサルティングを担うことが可能です。


FA業者の場合、アドバイザリー形式と仲介形式の2種類に分かれ、アドバイザリー形式では売り手と買い手それぞれに着任し、交渉のサポートを担うのが特徴です。


仲介形式の場合はM&A仲介業務と同様に、中立な立場を守りながら交渉に対して助言を行います。


FA業務のメリット/デメリット



こちらでは、主にアドバイザリー形式で見られるメリット・デメリットを解説していきます。


FA業務(アドバイザリー形式)のメリットは、仲介と違い、売り手側/買い手側どちらかのの立場で案件を進めていくため、希望条件を最優先に相手方と交渉をしてくれます。


デメリットは、希望条件を最優先に交渉を進めてしまうため、相手側との亀裂が入りやすく、成約までに時間がかかったり、交渉決裂に至ったりするケースも多いという点が挙げられます。


>>M&Aにおけるアドバイザーと仲介の違いとは?


M&Aの報酬体系とは



M&A仲介業務とFA業務とでは報酬体系にも違いが見られます。


例えば、M&A仲介業務の場合は買い手企業と売り手企業の両者から報酬(手数料)を受け取っていきますが、FAはどちらか一方としか契約してないため、1社からの報酬となります


また、他にも様々な報酬体系が存在しているため、どのような体系があるのか事前にチェックしておきましょう。


レーマン方式



レーマン方式はほとんどのM&A仲介会社が導入している報酬体系で、M&Aの取引額に応じて報酬率が変化します。


例えば、取引金額5億円~10億円の報酬率を4%に設定していて実際の取引金額が5億円だった場合、受け取る報酬は2000万円です。


譲渡金額が大きければ大きいほど、報酬率は下がる傾向にあります。

また、最低報酬金額を設定する仲介会社も多く、取引金額が非常に少額だった場合もある程度の報酬が発生するでしょう。


レーマン方式

※レーマン方式の取引額の幅やパーセントは各M&A会社で違います。

詳しくは、ご依頼される各M&A会社へ確認ください。

この表の数値はあくまでも弊社が採用している参考事例です。


<計算例:取引金額が7億円の場合>




①5億円(~5億円部分)× 5% = 2,500万円

②2億円(5億円~10億円部分)× 4% = 800万円

上記①~②の合計3,300万円(=2,500万円+800万円)




またM&A業界特有ですが、このレーマン方式による手数料の算出方法以外に 最低報酬制度というものがあります。


最低報酬制度



例えば、譲渡代金8,000万円であった場合、レーマン方式算出による報酬額は400万円となります。


これとは別にM&Aを取扱っている企業はレーマン方式の報酬体系とは別に最低報酬制度という条件を追加した報酬体系を取っています


仮に最低報酬額を500万円と定めた場合、譲渡代金8,000万円であれば、レーマン方式での算出された報酬額は400万円です。


しかしながら、最低報酬額が500万円と定めている場合、レーマン方式で算出された報酬額が500万円に満たない場合(500万を下回っている場合)、報酬額はレーマン方式で算出された400万円ではなく、最低報酬額で定めた500万円の手数料報酬を成約時に支払うことになります。


つまり

譲渡代金8,000万円の場合、

レーマン方式による手数料報酬400万円<最低報酬額500万円

となりますので、手数料は500万円となるのです。


リテーナー型報酬



リテーナー型報酬(コンサルタント料)は、M&A契約が成立するまでに毎月支払う報酬体系を指します。


毎月支払うということは定額とイメージされる方も多いですが、仲介会社ごとに毎月定額のところもあれば、業務内容に合わせて金額が変化する場合もあるので注意が必要です。


現在はリテーナー型報酬を設けずに、成功報酬のみで対応してくれるケースが増加傾向にあります。


着手金報酬



企業が提示する条件を元に、アドバイザーはそれに見合った、もしくは理想に近い企業を探してくれます。


この時に発生する報酬が、着手金です。


着手金は企業探し・マッチングに発生する報酬であり、万が一成約されなくても着手金が返金されません。


中には着手金報酬を無料に設定しているところもありますが、数百万円の着手金が発生する場合もあり、費用の幅は非常に大きいです。


完全成功報酬



完全成功報酬は、M&Aが成立した際に発生する報酬で、初期費用や月額費用が含まれないものになります。


注意すべき点は、「成功報酬」と「成果報酬」は似ているようで意味が違ってくるということです。


成功報酬は先に述べた通り、成立した際に初めて発生する報酬で、成果報酬は「成功した・していない」に関わらず支払われる報酬です。


成果報酬は主にマーケティング業界の報酬体系ではありますが、言葉の意味として間違えないように注意しましょう。


>>会社売却をする際の手数料の相場はどのくらいでしょうか?


M&Aの仲介業務が利益相反と考えられる理由



M&A仲介業務において、「利益相反」に値するというイメージを持っている方は意外と多いです。


実際、利益相反に値するという認識は大きく外れているわけではありません。

そもそも、なぜM&A仲介業務が利益相反と考えられてしまうのでしょうか?


売り手側が不利になりやすい?



利益相反と考えられるのは、仲介という名の「両手取引」になってしまうためです。


基本的にM&A仲介会社は売り手側と買い手側、どちらとも契約し成立実現に向けて動きます。


しかし、「できるだけ高い価格で売却したい」と考える売り手側と「なるべく安い価格で買いたい」と考える買い手側は、そもそも利益相反の状態です。


そのため、2つの会社の間に入るM&A仲介会社も利益相反だと考えられています。


この時、どちらか一方が不利になってしまうのですがそのほとんどは売り手側が不利に陥ってしまうと言われています。


なぜ売り手側の方が不利になってしまうのでしょう?


これは、買い手側が有利になる交渉を行うとリピートしてもらえる可能性が高いことが影響しています。


買い手側は今後も他の企業をM&Aで獲得しようと考えている場合があり、引き続き仲介の依頼がもらえるかもしれません。


一方、売り手側でも複数の会社を持ち、将来的に他の会社を売却していきたい場合は売り手側が有利になる状況も考えられますが、基本的には一度M&Aが成約すれば売り手企業がリピーターになることはありません。


こうした経緯から、買手(資金の出し手)に対して、買収してもらいたいという考えから、買手企業に有利な交渉をする傾向があるため、M&A仲介会社は利益相反に陥りやすいのです。


金融機関は仲介業務をしない傾向にある



近年は、金融機関も手数料ビジネスとしてM&Aを積極的に取り組んでいます。


M&Aの仲介業務は一般的に公認会計士や弁護士などが在籍する専門企業で取り扱っていますが、メガバンクなどの大規模な銀行をはじめ、地方銀行や信用金庫もM&Aの支援を行っています。


ただし、銀行は仲介業務ではなくあくまでもアドバイザリー形式のFA業務をする傾向が強いです。


仮に売手企業と買手企業が銀行内でマッチングできたとしても、利益相反の観点から、どちらか一方のFA業務を行い、相手方の企業のFAは他のM&Aアドバイザー会社に依頼しています。


そういった点からも、銀行としては仲介業務は利益相反になる可能性があると認識しているとも言えます。


>>M&Aマッチングサイトの上手な利用方法とは?


仲介とFAどちらに依頼するべきか



仲介業務やFA業務についてご紹介してきましたが、結局仲介とFA、どちらに依頼するべきなのでしょうか?


会社の状況に応じて決める



仲介かFAかは、会社の状況に応じて決めるのが適切であると言えます。


売却を急いていない、もしくは経営状況が良好な企業はFA会社に依頼した方が良いでしょう。


例えば会社の規模が大きく、売却のフルサポートを担ってほしいという場合はFA会社に相談した方が自らの条件に近い形で売却ができるでしょう。


逆に、業績不振、債務超過の会社や売却を急いている会社の場合は仲介会社がおすすめです。


上記でもご紹介したように、仲介会社は利益相反を行う可能性もありますが、必ずしも買い手側が有利になるよう働きかけるわけではありません。


信頼できる仲介会社を見つけることが重要なポイントです。


スピード感を求めるなら仲介



中小企業というだけでなく、スピード感を求める場合は仲介会社を選ぶと良いでしょう。


例えば売却・買収を急ぐ理由がある場合や、赤字や資金繰りの問題で一刻も早く売却したいと望んでいる場合、仲介会社だとマッチングからデューデリジェンス、戦略立案までトータルでサポートしてくれる傾向にあります。


FAでももちろんサポートはしてもらえますが、条件を優先するため交渉に時間が掛かってしまいます。


こうした理由から、スピード感を求めるなら仲介会社への依頼がおすすめです。


条件面を重視するならFA



業績が安定していて特に売り急いでいない場合は、条件面を優先してくれるFA会社に依頼すると良いでしょう。


FA業務は主にFAを専業で行う会社以外にも、証券会社や銀行、会計事務所などが存在します。


規模がそれほど大きくない案件であれば地方の金融機関などでも十分ですが、大規模案件になれば大手金融機関や証券会社へ相談した方が良いです。


なお、FAを専業で扱っている会社なら中堅~大規模案件まで幅広く取り扱っているため、困った時は専業のFA会社に相談してみましょう。


>>M&Aアドバイザーを選ぶポイントとは?


まとめ



今回は、M&A仲介業務が利益相反行為にあたるのかどうか、仲介とFAは何が違うのかをご紹介してきました。


仲介業務は中立の立場に立って交渉を進めなくてはなりませんが、買い手企業がリピーターになる可能性が高いことから買い手有利になるよう利益相反行為を行ってしまう可能性があります。


ただし、全ての仲介会社が利益相反行為を行うわけではありません。

きちんと売り手側の立場になって支援してくれる仲介会社を選ぶと良いでしょう。


特に中小企業で売却を検討されている場合、FA会社に依頼すると高額な手数料が発生してしまったり、条件面を優先するあまり交渉に時間が掛かったりするため、注意しなくてはなりません。


このような点に注意しながら、自社にとって信頼できるアドバイザーに相談しましょう。



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