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粉飾決算を見抜く方法とは?

粉飾決算の典型的な手法として、

売上の過大計上や架空計上

借入金の過少計上や不良在庫の隠蔽

収益計上時期の繰り上げ



などが代表的です。


これらの粉飾決算を見抜く方法としては、過去5ヵ年程度の決算書の推移を確認し、大幅な数値の変化がないか、一般的なん業界平均値から逸脱した数値はないか、この辺りから粉飾の可能性を見つけヒアリングをすることで粉飾決算を見抜くことは可能です。


粉飾決算をしていると必ず決算書の中で不自然なポイントがあります。


それでは粉飾決算を見抜くポイントを詳しくみていきましょう。

粉飾決算の目的や方法



粉飾決算を見抜く方法をご紹介する前に、まずは粉飾決算がなぜ行われるのか、どのように行われるのかなど、基本的な部分から解説していきましょう。

粉飾決算とは



粉飾決算とは不正な会計処理により、事実とは異なる決算書を作り出すことを指します。


実態は赤字なのに銀行からの融資を受ける目的や株主からの責任追及の回避、取引先からの信用を失わないようにと資産や負債を決算書上で意図的に操作して利益を水増して黒字に見せかけたりします。


また、所得隠しに粉飾決算が利用されるケースもあります。


これは逆粉飾決算とも呼ばれる方法で、財政状態を実際より過小に見せかける粉飾の方法です。


法人税の支払いを免れたり、納税金額を少なくする目的や、株主への配当を少なくして内部留保をしたり、経営陣などが私的に流用したり、会社に有利に働かせるために資金供与を行うための裏金を捻出する目的で行われます。


資産を隠蔽して、故意に財務状況を悪く見せかける操作を行う方法がとられたりします。


>>会社を買収する場合の簿外債務のリスクとその対処法とは?

粉飾決算に関わる厳しい罰則


粉飾決算は決算書に虚偽記載を行うことで、脱税や会社の利益を増やそうとする悪質な行為にあたるため、発覚した場合は民事責任に問われてしまいます。


たとえば、粉飾決算によって違法に利益が従業員に配当された場合、違法配当された利益を取締役が会社に対して賠償金請求を行うことができます。(会社法第462条)


また、決算書に虚偽記載があったことで利益は出なかったものの、第三者に損害が発生した場合は、取締役が第三者に賠償しなくてはならない責任を負わなくてはなりません。(会社法第429条)


このほか、民事責任とは異なりますが、本来分配できる剰余金がないにも関わらず、粉飾決算で見かけ上配当可能利益があるように見せる「蛸配当」を行うと、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科されます。


刑事責任の中でも会社幹部らによる特別背任罪はさまざまな法律を犯したことにより、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、もしくは併科されてしまいます。


万が一、違法記載された決算書で金融機関から融資を受けた場合、詐欺罪にあたる可能性も出てくるので、より重い罪が科せられます。


実際に、粉飾決算を行った上場企業の元会長や関係者が逮捕されている事例もあり、粉飾決算の当事者や関わった人は罪を償わなくてはなりません。


粉飾決算の典型的な手法



粉飾決算は財務諸表の透明性が確保されるはずの上場企業でも行われるケースが後を絶たず、しばしばニュースで大きく取り上げられてきました。


隠したい事柄や目的に応じて、さまざまな手法が用いられますが、典型的な手法として二重帳簿による売上の過大計上や架空計上、借入金の過少計上や不良在庫の隠蔽、収益計上時期の繰り上げなどが代表的です。


利益を水増しする粉飾決算では、資産が増加して経費が減少するように決算書が操作されます。


一方、利益を過少にしたい逆粉飾決算の場合は、資産が減少して経費が増加するように決算書を操作する流れです。


粉飾決算の代表的なパターンと見抜き方



上場企業においては有名な監査法人がついていながら、粉飾決算を見逃してしまった事例もあり、見抜くのはそう簡単なことではありません。


なぜなら、表面上だけでなく、見つからないように手法をこらすことこそ、粉飾決算の醍醐味だからです。


圧倒的に多いと言われる粉飾決算の手法は収益の過大計上であり、売上の架空計上や売上の前倒し計上といった形で操作されます。


売上の架空計上を行うための手法の代表例が循環取引で、売上を多く見せかけるためにグループ会社など複数の会社で商品を転売していきます。


A社からB社に、B社からC社に、さらにC社からA社へと、それぞれ利益を上乗せしながら転売をして、最終的にはA社へと商品が戻されています。


実態は必要ない商品の循環転売と商品を買い戻すという流れですが、帳簿上はC社の商品として仕入れているので、帳簿上ひと目では不正を見抜きにくくなるのです。


もっとも、買い戻すことがあらかじめ決まっているので、通常の商品に比べて利益率が極端に低く設定されることが少なくありません。


循環取引を見抜くには通常より利益率の低い取引が頻繁になされていないかや、そもそもA社で販売している商品を別のC社から購入する必要があるのかという、不可思議な取引に注目することで見抜くことが可能となります。


また、2社間でお互いの商品を買い合い、お互いの売上を大きく見せるバーター取引といった手法もあります。


取引のタイミングなどに特徴がある、本来の取引先とは異なるジャンルの企業同士で取引をしているなど不思議な点に気づければ、見抜くことが可能です。


粉飾決算にはこのようにさまざまな手法がありますが、大手企業で問題となった粉飾決算はどのように行われたのでしょうか?


事例その1・オリンパス



光学機器や電子機器を取り扱うオリンパスは、1999年から損失計上を先送りにしてしまう、いわゆる「飛ばし」を行っていたことが2011年に発覚しました。


オリンパスは電子機器メーカーではありますが、バブル期に資産運用の名目で投資を行っていました。


しかし、バブルの崩壊で巨額な損失に変わってしまいます。


そこでオリンパスは、総額1348億円もの損失が飛ばしによって計上を回避したのです。


飛ばしでは、銀行から借り入れた資金を帳簿には記載せず、オリンパスが作成した組織に預けておきます。


この時、組織に対して株式を買った値段で売ると、資産を株式から預金に変えられ、含み損もなくなるのです。


事例その2・ライブドア



当時勢いのあったライブドアから発覚した粉飾決算に、衝撃を受けた人も多いでしょう。


当時の社長を務めていた堀江貴文氏や関係者は有価証券報告書虚偽記載と偽計・風説の流布の2点について問われていました。


ライブドアが投資ファンドから自己株売却を行い、得た資金を会社の利益として損益計算書に載せていました。


しかし、投資ファンド自体がダミーで、実際には自己株を新規発行させたことで得られた資本金だったのです。


つまり、本来であれば貸借対照表に記載しなくてはいけない利益を損益計算書に利益として記載していたことで虚偽記載にあたってしまいます。


もう1つの偽計・風説の流布は、関連会社であるライブドアマーケティングが2004年に出版社の買収を発表した際に、本来は出版社が持つ企業価値を過大評価して株式交換比率を決定したのにも関わらず、交換比率は適正に算出されたものという虚偽の情報や、水増しされた業績を発表したことが問題になりました。


事例その3・カネボウ



化粧品会社として有名なカネボウですが、実は化粧品以外にも繊維業や食品、日用品など多角化経営を実施していました。


ただ、化粧品事業は黒字だったものの、その他の事業はうまく行っておらず、さらに新規事業への参入を借入金によって賄ったこと・バブルが崩壊したことが影響し、大きく経営状況の悪化につながってしまいます。


負債の総額が資産を超える「債務超過」となってしまいましたが、粉飾決算を繰り返し行うことで上場廃止を免れています


カネボウが行った手法は資産の過大計上などがありますが、中でも代表的とされているのが「押し込み販売」です。


押し込み販売は、決算期末に目標としていた利益に達しなかった時にメーカーが専門店主に対して購入を頼み込むという手法です。


締め日の前に専門店から発注された以上の商品、もしくは発注していない商品を無理やり納入してもらい、年度が変わってから返品・回収をするというケース、もしくは秘密裏に購入用資金をあらかじめ渡しておき、正式に取引をしているように見せかけるケースなどがあります。


化粧品販売や決算期末には特別珍しいことではないのですが、カネボウの押し込み販売は異常とも言えるものだったそうです。


かなり無理のある押し込み販売でしたが、カネボウは期限切れが近い商品を有償で引き取り、なおかつ添付品と称する商品がもらえるというスキームを取り入れていました。


その結果、無理のある押し込み販売でも専門店主は受け入れることができたと言います。


事例その4・エンロン



エンロンは、アメリカの総合エネルギー会社で1985年に発足されています。


そんなエンロンでは2001年に簿外債務の隠蔽が明らかとなりました。


当時アメリカ最大規模にも及ぶエネルギー企業だったエンロンは、エネルギー事業と投資事業で利益を生み出していたのですが、帳簿をつける際に特定目的会社を活用して利益の水増しや簿外債務の隠蔽を行っていました。


不適切会計の疑惑が生じたことで株価は暴落し、経営成績の悪化につながった結果、2001年末には倒産してしまいます。 エンロン事件によってさまざまな企業からも不正会計が明らかになり、結果的にアメリカ全土でコーポレートガバナンスが改めて問われ、2002年にはサーベンスオックスレー法と呼ばれる企業の不祥事に対して厳しい罰則を与える法律が制定されたのです。


費用の過少計上の手法と見抜き方



発生した費用を計上しない、あるいは資産計上する方法で、費用を過少計上して利益の水増しを図る方法も典型パターンの1つです。


請求書の改ざんなどを行って未払い経費を計上しない、売上原価を棚卸資産としたり、経費を前払い費用にして資産計上したりして費用を少なく見せかけるのです。


このケースを見抜くには財務諸表や帳簿の表面的なところだけではなく、その企業の実際の経営実態を把握していると見抜きやすくなります。

たとえば、中小企業などの場合、取引銀行の銀行員が頻繁に企業を訪れることも少なくありません。


来訪しても活気が見られない、従業員が次々に辞めていく、営業マンの顔色がさえず、売上が伸びていない様子といった状態が見られるのに黒字決算という場合、請求書の請求先に調査をかければ、改ざんされたことが分かる場合があります。


中小企業では地元の企業間など狭い範囲での取引も多いので、地域の取引企業が多い銀行員であれば、請求書の請求先にもリサーチがかけやすいからです。


こうした職業的な勘は経験が豊富な税務署の職員にも当てはまります。


頻繁に企業を訪れなくても、1日その企業に常駐して営業の様子を見ていれば、売上を隠していないかや逆に水増しをしていないかが分かるのです。


日々の活動や企業の様子は、嘘の決算書では隠しきれない実態を物語っています。


実態を調査できないケースでも、損益計算書や貸借対照表だけでなく、キャッシュフロー計算書までしっかりチェックすることで、粉飾決算の懸念を見抜くことができます。


キャッシュフローの流れは、まさに日々の企業活動を反映しており、ごまかすことが難しいためです。

>>会社売却の時に行う デューデリジェンスって具体的に何をしているのか?

決算書から見抜く方法



銀行員が実態を調査しなくても、融資などの際に添付される決算書だけでも粉飾決算を見抜けるポイントがあります。


それは企業の年商と比較した場合の税引後当期利益の数字です。


一般的に年商3億円以下の企業において100万円以下の利益しか計上されていないケースや、年商が3億円以上ある企業なのに利益が300万円以下の場合は、怪しいという目で見られます。


なぜなら、赤字決算では銀行融資が受けられなくなったり、取引に影響したりすると考える一方で、多額の利益を出して本当は赤字なのに税金を納めるのは困ると思うからです。


その結果、操作がなされる、ぎりぎりの黒字額が先に紹介したような税引後当期利益の数字になります。


つまり、銀行融資のゲットと税金を抑えることを念頭に今期の利益はいくらするかを検討してから、それに合わせるように決算書の数字を作っていくという、本来の決算とは逆の計算をしているのです。


決算書のチェックポイント



決算書の中でも貸借対照表から粉飾決算が行われていないかを見抜くことは可能です。


主にチェックしておきたいポイントは、

売上債権

仕入れ債務

棚卸資産

の3点が挙げられます。


売掛金や受取手形など、売上債権を水増しする場合、売上の前倒し計上が行われている可能性があります。


これを見抜くためには売上債権回転期間と呼ばれる、商品を販売してから売掛金を回収するまでの期間を求めてみましょう


過去の売上債権回転期間と比べて、明らかに期間が長くなっているようなら粉飾決算が疑われますし、不良債権が存在している可能性も高いです。


次に、買掛金や支払手形などの仕入債務を水増しした場合、売上債権とは逆で当期に計上しなくてはならない仕入を次の期に計上する、「先延ばし計上」が行われます。


先延ばし計上を見抜くためには、現在から過去3期分程度の仕入債務回転期間を求めてみてください


もしも現在の方が仕入債務回転期間が明らかに短くなっている場合は、粉飾決算が行われている可能性があります。


棚卸資産においては、外から検証することが難しいこと、消費税の対象外であることから、粉飾決算に利用されることが多く見られます。


不当な在庫水増しを見抜くには、平均売上高中の期末在庫を計算し在庫回転期間を求めていきます


在庫回転期間は、仕入れた商品をどのくらいの期間で販売するかを表したものです。 在庫回転期間を過去分まで算出し、照らし合わせた結果期間が明らかに延びている場合は疑わしいです。


中小企業のM&Aにおける決算書の役割



中小企業のM&Aでは、決算書は非常に大きな役割を果たします。




それは企業評価の根底となる数値が決算書から導き出されたものだからです。


その決算書の数値が粉飾され 正しい数値でなければ 、企業や事業の価値が根底から覆されることになります。


もちろん買収時には財務ディユーデリーを行いますので、決算書の財務内容のチェックをします。


しかしながら、ある程度の決算内容については、案件を基本合意前の段階で把握しておかなければ、案件を進めるかどうかの判断ができません。


そのためにも依頼しているアドバイザーや買手企業の財務担当者(投資判断の責任者)は粉飾決算の内容が把握できる程度の財務知識は必須と言えます。


特に中小企業の場合は監査などを受けているわけではありませんので、多かれ少なかれ実態と決算書の内容について差異があります。


それが認められる範囲の差異なのか、そうでないかについては、売却案件の詳細資料を頂いた段階で把握できるようにしておきましょう。

その方がより効率的に投資判断ができます。


特に中小企業のM&Aにおいては、決算書を読み解ける「財務力」が必要と言えるでしょう。

>> M&Aで企業買収する際に行われる財務デューデリーとは?

売手企業の粉飾を見抜くために



M&Aを実施する際に、売手企業が粉飾決算を行っていないか見抜かないと、自社にとって大きな損害を被ってしまう恐れがあります。


買収前に売手企業の粉飾を見抜くためには、どんな点に注意すれば良いかご紹介しましょう。


買収前のデューデリジェンス


買手企業は必ず買収前にデューデリジェンス(資産査定)を行い、最終合意に向けて問題がないかをチェックします。


この時、粉飾決算が見抜けないと買収後に買い手側が損をしてしまうため、厳しくチェックしていく必要があります。


ただ、連帯保証債務や訴訟リスクなどのいわゆる「簿外債務」を隠されると見抜くのに苦労してしまうでしょう。


そこで、財務チェックを行う際には売手企業だけでなく取引先まで調査し、信頼関係を構築しても良い会社かどうかを見極めることが重要です。


表明保証によるリスク回避


M&Aにおける表明保証とは、最終的に契約を締結させる際に契約当事者もしくは対象会社やその事業に関連する内容の中で、過去から将来にわたるまで事実だと表明し、それが保証されたものを指します。


売手企業は表明保証事項に違反するとペナルティが生じ、買手企業のリスク回避につながります。


万が一売手企業が粉飾決算を行っていた場合にも、表明保証によって買手企業は売手企業に対して損害賠償の請求を起こしたり、M&A契約の解除ができたりするなど、自社のリスクを回避することができるのです。


譲渡契約におけるリスク回避


もしもデューデリジェンスなどで簿外債務や粉飾決算が発覚した場合、M&Aから事業譲渡に切り替え、買手側が被るリスクを回避する方法があります。


M&Aでは簿外債務なども全て引き継ぐ形になってしまいますが、事業譲渡に切り替えれば欲しかった事業のみを得られます。


買収した後に粉飾決算が発覚した場合


買収後、粉飾決算が発覚すると買手側は売手側に対し損害賠償責任を負ってもらうことは可能です。


ただ、表明保証にそのような項目がないと買手側がデューデリジェンスを怠った結果だとして賠償請求が認められない場合もあるため、表明保証事項は十分に設定しておかなくてはなりません。


そうでない場合はデューデリジェンスが十分に行われていたことを立証する必要があるため、デューデリジェンスの内容が分かる書類等を準備しておきましょう。

まとめ

粉飾決算の典型的な手法として、

売上の過大計上や架空計上

借入金の過少計上や不良在庫の隠蔽

収益計上時期の繰り上げ

などが代表的です。


これらの粉飾決算を見抜く方法としては、過去5ヵ年程度の決算書の推移を確認し、大幅な数値の変化がないか、一般的なん業界平均値から逸脱した数値はないか、この辺りから粉飾の可能性を見つけヒアリングをすることで粉飾決算を見抜くことは可能です。


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