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財務戦略

赤字補填の融資は受けられるか?



経営者が一様に抱いている疑問

「赤字でも銀行は融資してくれるのか?」

今回はこの点について解説します。  


 

まず結論から申し上げると

 Q1.赤字でも銀行は融資してくれるのか?

 A1.原則はNO ただしケースによっては融資することもある


 Q2.赤字補填の融資は受けられるか?   

 A2.受けられるが、こちらも条件次第




赤字でも貸してもらえるケースとは? 赤字補填の融資を受ける条件は?など、

実際に銀行融資審査でチェックする内容などにも触れていきますので、資金調達の参考にしてください。


中小企業が資金調達をする理由 



赤字補填の融資とは何なのか?これを理解するため、まず中小企業が資金調達する理由を整理するところから始めましょう。


(なお上場企業では株式公開などでも資金調達が可能なので、この記事では銀行融資を受ける中小企業をイメージしています)


中小企業が事業資金調達をする理由はさまざまですが、お金のつかいみち(資金使途)で大きく4つに分けられます。


<中小企業が資金調達をする理由>



運転資金

設備資金(設備投資)

決算資金

赤字補填(赤字資金)




運転資金

企業が活動するための常に必要なお金が運転資金です。

「事業を運転(事業を回す、継続する)するために必要不可欠なお金」

が運転資金です。


設備資金(設備投資)

工場や事務所建築、機械の購入など企業に必要な設備(ハードウエア)を手に入れるのが設備投資、そのための資金が設備資金です。


決算資金

決算をして、法人税などの税金支払や役員報酬、配当金の支払などに必要なお金が決算資金です。


原則として黒字だから必要になり、一時的な不足を補うものなので、短期で一括返済する融資形式が多いです。


逆に言えば、決算資金を長期で借りると返済負担が増え、長期的な資金繰りの悪化に繋がるので、短期で利用した方がよいでしょう。


赤字補填(赤字資金)

銀行には「赤字補填」という名前の融資は存在しません。


銀行は預金をもとに融資をする

当然、貸したお金は返してもらう

赤字会社はお金がないので、お金を貸しても返済できるはずがない

だから赤字会社には融資しない


当たり前と言えばそれまでですが、赤字の会社に銀行は融資しないのが大原則です。


しかし現実には、銀行は赤字補填の融資をします。

赤字で運転資金が足りなくなれば運転資金を融資しますし、赤字で設備投資のお金が準備できなければ設備資金融資をすることもあります。


つまり運転資金、設備資金といった資金使途の分類ではなく、

赤字補填とは、赤字でなにかのお金(運転資金など)が足りなくなったときに補填するお金のことと言えます。


ちなみに「補填」という言葉はネガティブなイメージもあるので、銀行では単に「赤字資金」「赤字融資」などと呼びます。


赤字になるといろいろな支払をして、結局は運転資金が不足してきますので、赤字補填=運転資金の補填がほとんどです。


事項では運転資金をもう少し掘り下げて、なぜ銀行が赤字補填融資をするのか?につなげていきます。


>>赤字経営から脱却する方法とは?


銀行が考える運転資金の考え方






「企業が活動するための常に必要なお金が運転資金です。」

運転資金がなくなれば事業がストップしますし、なくなれば事業は倒産してしまいます。


赤字を治療する医者が銀行だが、治療を拒否することもある?



ケガをして出血している状態が赤字なら、治療しなければ企業は死んでしまうわけです。


傷が浅く、自分でなんとかできる程度なら良いのですが、致命傷ともなると輸血が必要で、これが銀行融資になります。


銀行が赤字を補填するために融資してくれれば企業としては経営が継続できます。

逆に銀行に見放されれば、事業継続が困難になります。


医者が患者の治療を拒否することはありませんが、銀行は融資を拒否することができます。


助けるか助けないか?は銀行次第なのです。


>>潰れる会社の特徴とは?


「貸し渋り」「貸し剥がし」との違い



赤字で融資が受けられない状態を、一部のネット記事などで

「赤字になると銀行は貸し渋りをして、お金を貸してくれなくなる」

「赤字になって、銀行から貸し剥がしにあった」

といった表現を見かけることがあります。


そもそも貸し渋りとは不当に貸さないこと、貸し剥がしとは貸したお金を不当に返済させることです。


ここでいう「不当」とは銀行事態が経営難に陥り、まともに融資できなくなったので、普通なら融資を受けられる会社にも貸さないこと(貸し渋り)です。



あるいは、今までなら3ヶ月毎に期日が来ても同じ金額で継続(書換と言います)してくれていた手形貸付を、何の前触れもなく銀行から「もう継続できませんので、期日に全額返済してください」と言われるケースです。(貸し剥がし)


これらは銀行が経営難になった場合などの事例で、過去バブル崩壊期にあったケースです。

貸し渋りや貸し剥がしという行為は行われていません。


実際は、単に企業与信がとれず、銀行として保全(回収)に舵を切ったということなのです。


銀行は赤字補填の融資をする理由、しない理由



赤字補填の融資をするのか、しないのかについては、昔から銀行が抱える大きな課題でした。


取引が長く、また倒産させると地元経済への影響も大きい

雇用されている従業員も、多くが銀行で取引している

従業員が解雇されると、住宅ローンまで回収できなくなる

地域経済において銀行としての悪評が立つ


こういったさまざまな影響を考え、仕方なく赤字補填の融資を続け、結果的に会社が倒産したことで銀行の経営も傾いてしまった、といった例は多くあります。



会社の規模が大きいほど、赤字補填をするか?

あるいはいっそのこと、ここで見放し手を引くか?




その判断が重要になってきます。


ここまでまとめますと、銀行が赤字補填の融資をするか、しないかは銀行内の損得勘定で決まります


銀行が補填する(しなければならない)と判断すれば、大赤字で瀕死の企業にも赤字補填融資をします。


それとは逆に、補填しないと判断すれば、それほど赤字ではない言ってみれば「軽傷」の会社でも見放すときもあります。


そして、この判断は新型コロナウイルスの感染拡大の前とあとで、大きな違いがあります。


コロナ前の赤字補填融資への考え方



コロナウイルスの感染が拡大する以前は、ここまで説明したとおりの対応でした。

つまりコロナ前は、銀行の損得勘定で赤字補填の融資をするか判断していました


コロナ後の赤字補填融資への考え方 



いっぽう、コロナウイルスの感染拡大後は、大きく事情が変わってきました。


コロナウイルスの緊急対策で、国が銀行に大号令を発した

国が面倒を見るからとにかく融資をする。赤字でも融資をする。

貸さない銀行は世間に晒すぞ!


実質無利子融資(*融資の利息や信用保証料などを国が補填して、実質無利子で融資を受けられる)などを柱に、国が銀行に「融資しましょう!」と大号令をしています。


実質無利子融資制度では、売上が減少している企業が融資を受けられるもので、当然赤字企業でも融資の対象になります。


>>銀行が追加融資をしない理由とは?


銀行融資以外の赤字会社の資金調達方法



赤字補填の融資といっても、すべての企業が融資を受けられるわけではありません。


これは上記した実質無利子融資制度にも当てはまりますが、毎月の返済が遅れている、あるいは税金などが払えず工場や自宅が差し押さえられて会社などでは、融資を受けられない場合もあります。


ここからは、こうした「赤字補填の融資を貸してもらえない会社でも、事業資金調達できる方法」について解説します。


売掛担保融資



売掛金担保融資とは、売掛金(商品代金など、売上でまだ入金前のお金)を担保にして、金融機関から融資を受ける方法です。下線は、次のファクタリングと似ているため、違いを強調したものです。


 

売掛金は、支払期日になれば入金されることが約束されているお金です。余裕があれば入金まで待てるのですが、赤字企業ではそこまで待てません。そこでこの売掛金を担保にして融資を受けるのが売掛金担保融資です。


銀行などの金融機関で融資し、売掛金が入金されると返済する仕組みです。


あとになれば入金が約束されているお金なので、銀行では赤字企業でも融資をしてくれる場合があります。ただし、売掛金を払う相手企業が支払を遅らせたり、最悪の場合倒産してしまったりすると、当然売掛金は入金されず(企業からみると不良債権)、銀行からは即座に返済をもとめられますので、相応のリスクは伴います。


ファクタリング 



ファクタリングも、売掛金担保融資と同じく売掛金で融資を受ける方法です。 ファクタリングとは、売掛金を専門業者(ファクタリング会社)に買い取ってもらう資金調達方法です。 


 

あくまで売掛金の買取りなので、赤字企業でも利用できます。 

売掛金が入金不可能、あるいは相手企業が倒産しても、すでに売掛金は売り払ってあるので、原則として(*下記参照)返済を求められることはありません。


ファクタリングでは、専門業者であるファクタリング会社が売掛金回収不能のリスクを負うので、その分手数料(売掛金から手数料を割り引かれお金になる、イメージとしては手形割引と似ている)が高くなっています。また契約形態や、回収不能になった場合などの取扱にも注意が必要なので、契約内容は充分確認しなければなりません。


繰り返しになりますが、ファクタリングは売掛金の買取りで融資とは異なりますので、ここに注意が必要です。


契約内容や手数料などを確認するとともに、中には悪質な業者も混じっていますので、必ず自分で確認して慎重に決断して下さい。


不動産担保融資 



ここでいう不動産担保融資とは、不動産の担保さえあれば借入できる高利の借入で、ノンバンクや消費者金融から融資を受ける方法のことです。


銀行でも「不動産担保融資(ローン)」は取り扱っているところがありますが、こちらは事業資金融資が可能な企業に、不動産を担保に多額の融資をするケースで、赤字ではむずかしい融資です。(ローンの場合は個人向けで、事業資金は対象外)


言い換えれば、銀行で借り入れ不可能な赤字会社でも、不動産担保があるからノンバンクや消費者金融が融資する」わけです。


当然ながら返済できないと自宅や工場など担保不動産は取上げられて、競売にかけられ、それでもなお借金が残れば返済していかなければいけません。

こちらも取り扱う業者や契約内容は充分確認してください。


これらの融資は、赤字や業績が厳しい企業においても利用できる資金調達方法です。


一方、業績が厳しい企業が借りれるということは、それだけ金利が高かったり、手数料が高額であるというデメリットがあります。


その点はしっかりと理解して利用するかどうかの判断をしましょう。


>>資金調達を目的としたM&Aとは?


まとめ



今回のコラムをまとめると


赤字でもケースによって、銀行はは融資することもある

赤字補填の融資は受けられ場合もあるが、こちらも条件次第

赤字補填とは、赤字で運転資金などが足りなくなったときに補填するお金

赤字で貸さないことは、貸し渋り、貸し剥がしではない

コロナ後は、「とにかく貸せ!」と国が銀行に大号令している

赤字補填融資以外の方法もあるが、それぞれ注意が必要


文中でも書きましたが、赤字ということはお金が足りないこと、これは揺るぎのない事実です。


ここで踏ん切りを付け事業をやめるか?

赤字補填の融資を受けて、歯を食いしばって頑張るか?


これには慎重な選択が必要です。



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