M&A
2018/11/28
会社売却を進めていく過程で、基本合意契約締結後に買手側の会社が、売手側の会社の内容について詳細の調査を行います。
そのことをデューデリジェンス(以下、DDという。)と言います。
この調査(買収監査とも言います)の結果を踏まえて、最終合意契約書の詳細な契約内容を調整していくという流れになります。
DDの結果次第で大きく譲渡価格が変動したり、そもそもM&Aの話自体がなくなる場合もあります。
それほど、DDというのはM&Aを行うかどうかの意思決定に大きな影響を与えるものなのです。
買手側の会社からすれば、買収する前のリスク回避のために行う重要な作業です。
売手側の会社からすれば、どんなことを聞かれたり調査されたりするのか心配になりますよね。
今回は実際にデューデリジェンスがどういったものなのか?
具体的にどういったことをするのかについてお伝えします。
目次
デューデリジェンス(以下、DD)には、3つの部門があります。
【ビジネスデューデリジェンス】
【財務/税務デューデリジェンス】
【法務/労務デューデリジェンス】
です。
対象の会社や事業に対する調査です。
現在行っているビジネスモデルによる将来的な収益性や取引先、取扱商品、市場環境に対する会社のポジショニングや問題点、経営課題などを調査します。
最終的には、買手企業とのシナジー効果なども評価に加味し、事業の評価を行います。
現在で言えば、事業性評価という言葉が近いかもしれません。
実際に行うのは、買手企業の担当者や外部の事業評価会社に依頼する場合もあります。
対象の会社や事業の収益面、決算書に記載されている内容が間違いない数値かどうか、決算書に記載されていない債務(簿外債務)の有無、税務上のリスクがある処理が決算書の中でされていないかを調査します。
財務/税務のデューデリジェンスがM&Aの価格面において最も影響を与えます。
中小企業のM&A実務において最も優先的に行われるDDと言ってもいいでしょう。
どの程度まで行うかは買手企業の意向によります。担当するのは顧問の税理士、より詳細のDDを行う場合は、公認会計士や監査法人を利用する場合もあります。
対象の会社や事業に関する法務面、労務面のリスクを調査します。
M&Aや事業譲渡で主たる運営者が変わっても継続して取引ができるかどうかや、係争訴訟などを抱えていないか、許認可の引継ぎなどに問題はないかなどを調査します。
特に最近は労務面での調査を重視する買手企業は多いかもしれません。
環境の変化がきっかけで労務問題が表に出てくる事例も多くあります。
退職金の問題、残業代の未払等の問題なども含めて調査を行います。
基本的な法務関係弁護士が行い、労務に関しては弁護士もしくは社会保険労務士が行う場合もあります。
買手企業にとっては、大きな金額を投資するのでリスクを回避するための手段としてDDは必須であると考えます。
特に株式譲渡での買収を検討しているのであれば、よりその重要度は高まります。
もちろんDDを行ったからといって完全にリスクが回避できる訳ではありません。
しかし、事前にリスクを把握しておくことで譲渡価格が下がることもありますし、万が一リスクが表に出てきた場合にどちらが責任を負うのかということも予め決めることも可能です。
つまり、DDを行う意味は、事業運営(事業を引き継いで買手企業が実際に経営を行うこと)以外のリスクを可能な限り回避するために行っているとも言えます。
その意味においては、どこまで細かく行うかは買手企業の裁量に委ねられることになりますが、基本的には、M&AにおいてDDは必要なものと言えます。
中小企業のM&Aや小規模のM&A実務においては、財務面のDDをメインに、許認可や取引先との契約などは、M&Aアドバイザーを含め、売却前に売手側で確認をしておく必要があるでしょう。
今回は中小企業のM&Aでよく行われる財務/税務デューデリジェンスについて、具体的にどういった方法で行うのかについてお伝えします。
買手企業が財務DDを行う目的は主に
・ 買収価格の妥当性【企業価値の算定(資産価値)と実際の損益数値の算定】
・ 簿外債務の有無
こういった点を買手企業は調査します。
実際に調査するにあたり以下の資料を基に内容を確認します。
・ 決算書3~5年分の確認
・ 総勘定元帳による決算書詳細の確認
・ 通帳など入出金の確認
・ 金融機関との取引内容
・ 社会保険、租税公課の未納がない確認
・ 従業員の退職金の有無と積立の確認
・ 簿外での資産/負債の確認(倒産防止や保険などの確認)
・ 株主の確認
・ 決算書上に記載されている固定資産の未償却等の確認
この辺りを調査し、簿価(決算書に記載されている数字)ではなく、時価(現在の価値)に修正して会社としての評価を出します。
併せて、実態の損益【節税やオーナー(経営者)の個人的な経費などを差し引いた損益】を計算し、算出されて企業価値から譲渡価格を導き出すのです。
調査に関しては、資料一式を売手側に準備して頂き、郵送で買手側の税理士や公認会計士に送る場合と、売手側の事務所に行き実際に現地で行う場合があります。
期間としては3~5日程度が一般的です。
もちろん会社の規模によって、期間の長さは変わってきます。
このDDの費用は買手側の会社が負担するのが一般的です。
売手側が注意すべき点としては、資料を滞りなく準備し提出することが第一です。
買手企業から要求された資料が出てこない、不正確である等があれば、買手側からの印象は悪くなる(管理ができていない会社と見られる)可能性もあります。
しっかりと準備して対応するようにしましょう。
そのためにも日頃から書類の管理や会社や事業を売却するための準備を行っておく方が良いでしょう。
DDの種類は3つあります。
【ビジネスデューデリジェンス】
【財務/税務デューデリジェンス】
【法務/労務デューデリジェンス】
中小企業のM&A実務の場合、財務/税務のDDを主に行うのが主流です。
その理由は買手側の会社が買収後のリスクを回避するためであり、また譲渡価格を下げるために行われる場合もあります。
どの程度詳細に行うかは買手側の会社に委ねられます。
もちろん費用負担も買手側の会社が負担します。
売手側の会社の注意点としては、要求された資料に関しては速やかに提出できるように日頃から準備しておくことが求められます。
その対応や資料の内容によっては、売却の話や譲渡価格に大きな影響を及ぼす可能性がある点は、十分に認識した上で対応を行いましょう。
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