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事業譲渡における注意点とは?

 

事業譲渡における注意点として、最も重要なポイントは各種契約及び許認可の名義変更です。

 

 

契約や許認可の変更が行えないと、そもそも事業譲渡が成り立たないということにもなります。

そういった事業譲渡の注意点について具体例をあげながら説明していきます。

 

 

権利や財産の移転に気を付けて

 

事業譲渡は合併や会社分割のような包括的な権利と債務の移転とは異なり、事業の全部や一部を個別に譲渡する契約です。

 

 

包括承継ではないため、一定の事業を譲渡するにあたっても、事業に関連する権利や財産が当然に移転するわけではありません。

 

 

たとえば、半導体事業を切り離して譲渡するといった場合に当然に工場や設備、技術者が移転するわけではないのです。

 

 

逆にいえば、譲り受ける半導体事業に赤字が出ていても、譲受会社が当然に債務を引き継ぐこともありません。

 

>>株式譲渡と事業譲渡の具体的な違いとは?

 

 

個別の移転が必要

 

個別財産の所有権や契約上の地位を移転する手続きが必要になる点で、事業の譲渡に伴い移転させたいものが多いほど手続きは煩雑となり、名義移転のための費用も発生します。

 

 

当事者同士で移転の合意を取るだけでなく、その事実が公に明らかになるよう、財産ごとに第三者への対抗要件も具備しなくてはなりません。

 

 

具体的に財産や権利ごとにどのような移転手続きや対抗要件が必要になるか、見ていきましょう。

今回は工場に関する事業事業譲渡を事例としてご説明させて頂きます。

 

 

1. 不動産の移転の事例

 

事業を譲渡すれば、その営業を行う店舗や工場などの不動産の所有権も譲り渡すことがあります。

 

 

不動産については譲渡契約により所有権は移転しますが、第三者に対抗するには所有権移転登記が必要です。

不動産に設定されている抵当権や地上権などについても、移転登記が必要です。

 

 

根抵当権については元本確定前に債務引き受けが行われた場合には、根抵当権者は引受人の債務につき根抵当権を行使できなくなります。

そのため、債務者の変更登記が必要です。

 

 

工場建屋において工場財団を組成している場合に譲渡する場合には、工場財団の移転登記手続きもしなくてはなりません。

不動産の名義変更にあたっては登録免許税や不動産取得税などのコストも発生することに注意しましょう。

 

 

2. 設備の譲渡について

 

工場内や店舗内の設備といった動産の譲渡をはじめ、現金や無記名証券、製品や仕掛品、貯蔵品、機械装置といった動産とみなされる財産については、譲渡契約により当事者間では所有権は移転しますが、第三者に対抗するには譲渡日に引き渡しが必要です。

 

 

事業を営むうえでは取引先やサービス事業者などとさまざまな契約を取り交わしているはずです。

 

 

事業の譲渡に伴い、各種契約も移転を希望する場合には契約の相手方に同意を取りつけて、個別に契約を更改しなければなりません。

 

 

たとえば、部品の納品業者、事業の下請け業者との契約や機械、設備の保守契約などさまざまな契約につき、1つひとつ対応が必要です。

 

 

3. 設備に付随する諸契約の承継

 

契約が必要なものはすべて再締結が求められるので、店舗テナントの賃貸契約や電気やガス、水道、インターネットの契約などもすべて契約名義の変更をしなくてはなりません。

 

知的財産権についても注意が必要です。

 

 

特許権のように登録によって移転の効力を生じる知的財産権は、事業でも継続的に使いたい場合、譲受会社において移転手続きとしての登録が必須です。

 

 

特に従業員の引き継ぎは注意が必要

 

従業員についても全員が自動的に、譲受会社に移転するわけではありません

 

 

従業員1人ひとりと個別の同意が必要なのが基本です。

そのため、事業の譲渡に賛同できない従業員が流失してしまう懸念もあります。

 

 

その事業を営むうえでは、必須の技術者や経験豊富な頼れるスタッフであったとしても、本人が同意しなくては労務契約が締結できません。

 

 

スキルや能力が高い人ほど、事業の譲渡に伴い、他社に転職してしまう可能性も高いので注意が必要です。

 

 

事業譲渡による従業員の退職を防ぐには、従業員に伝えるタイミングとて丁寧は説明が重要です。

 

 

タイミングを間違ってしまったり、従業員への説明の仕方を間違ってしまうと、大量の退職者を出してしまう場合もあります。

買手企業や支援して頂いているアドバイザーの意見を聞きながら丁寧な対応を心がけましょう。

 

>>事業譲渡のメリット/デメリットとは?

 

 

譲渡会社における競業避止義務

 

会社法21条では譲渡会社に対して競業避止義務を定めています。

 

 

不採算事業などとして事業を譲渡しておきながら、経験値とノウハウが高い譲渡会社が同様の事業をスタートさせれば、譲受会社が譲り受けた事業のライバルとなり、シェア争いになるおそれもあります。

 

 

これでは譲受会社の目的が達成できず、信義則にも反するでしょう。

 

 

会社法21条では、同一の市町村およびその隣接市町村の区域内で譲渡の日から20年間は同一の事業を行うことできないと定めていますが、当事者間の契約で特約を定めることができ、最大30年まで延長できます。

 

 

税務の注意点

 

譲渡会社では、譲渡対価と譲渡対象の簿価純資産の差額により譲渡損益が計上されます。

 

 

譲渡益が出た場合、その他の所得と合算され法人税課税の対象となるので注意しましょう。

 

 

譲受会社では、譲渡対象事業に関連する資産および負債について個別に時価で受け入れる必要があります。

 

 

引き継いだ従業員の退職給付債務などに相当する負債を認識したうえで、事業譲渡の対価と事業に係る時価純資産の差額をのれん代として、資産調整勘定または差額負債調整勘定として計上したうえで、5年で均等償却する必要があります。

 

 

事業譲渡により譲渡した資産のうち、消費税の課税対象となる資産については消費税の課税対象になるので注意が必要です。

なお、土地、有価証券、売掛金については通常の資産譲渡の場合と同様で非課税です。

 

 

事業譲渡をする上での事前チェックのポイント

 

改めて事業譲渡を行う上での事前のチェックポイントについておさらいしておきます。

 

1. 許認可の引継ぎは可能か?

 

 

許認可の引継ぎは譲渡する上で、買い手も気にするポイントです。

 

 

これは管轄している役所へ事情を説明すれば、丁寧に教えてくれます。

 

 

その際は、具体的な名前は出さずに、「今進めているM&A件で、例えば…」とお伝えして頂ければ、何ら問題はありません。

 

 

2. 賃貸借契約の引継ぎの可否

 

飲食業の事業譲渡の場合や事業の主たる事務所の継続が売上に大きな影響を与える場合は、賃貸借契約の引継ぎが可能かどうか事前に確認を取ることが重要です。

 

 

確認を取るタイミングとしては、基本合意後あたりが良いかと思います。

 

 

3. 自社サイトの譲渡の可否

 

近年、ネットで物販活動を行っている会社が増えています。ある運営会社は、事業譲渡によるドメインの変更(サイトの権利移転)を禁止していることもあります。

 

 

自社サイトによるネット販売ではなく、大手企業が運営するネットショップに登録しており、売上の大半がネットショップ経由の場合は、注意が必要です。事前に契約書の内容のチェックはしておきましょう。

 

 

4. 従業員や取引先へ伝えるタイミング

 

従業員や取引先に関しては、実際に事業譲渡契約書の締結後に確認することをお勧めします。

 

 

その場合は、決済の条件(クロージングの前提条件)として、従業員の引継ぎについて条件を付けたり(例えば、キーマンが転籍することに同意していることなど)、主要取引先から同意が得られていることを条件として、その条件が満たされた場合に譲渡代金を支払うなどで対応することが望ましいでしょう。

 

 

まとめ

 

事業譲渡は個別に対象となる資産や取引先、契約、従業員を買手企業へ移していく譲渡方法です。

 

 

株式譲渡と違い、負債の引継ぎがなく、リスクを回避して譲渡を受けることができます。

 

 

一方、事業譲渡は個別の契約切り替えなど事務作業が煩雑になります。

 

 

負債は引き継がない反面、契約切り替えによる売上減少や従業員の退職などのリスクはあります。

事前の準備を行い、リスクの少ない譲渡ができるようにしましょう。

 

>>会社売却をスムーズに行うための具体的な準備とは?

 

 

 


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