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M&A用語集

M&A成功のカギを握る経営統合(PMI)とは?

2019/10/10


PMIとは


M&A成功させるための過程はいくつかありますが、中でも重要視されているのが、M&Aの買収後に実行するPMIといわれる経営統合のプロセスです。


ただ、「なぜ重視しなくてはいけないのか分からない」「そもそもPMIとは何かよく分からない」という方も多いでしょう。


そこで今回は、M&A成功につながる経営統合のプロセス「PMI」について、重要性や具体的な作業内容、事前に準備しておくべき点をお伝えいたします。



PMIとは?

PMIとは経営統合のプロセス



PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)とは、企業買収をした後に実施する経営統合のプロセスのことです。


企業がM&Aを実施するのは、統合によってシナジー効果を得て企業価値を高めることを目的としています。PMIはM&A後の様々な相乗効果を最大限得るために必要です。


PMIは、デューデリジェンス(買手側が売手側の企業を調査すること)を行った後から準備を進めていきます。



>>M&Aでシナジー効果を発揮するポイントとは?


M&Aを成功に導くPMIの重要性

M&Aを成功に導くPMIの重要性


PMIは、M&Aの結果に大きな影響をもたらすため非常に重要なプロセスです。しかし、PMIが十分でなかったことで失敗に終わった事例も多く存在します。


統合後の会社はまとまりのない状態であるため、PMIの準備が整っていないと様々な問題が生じます。


例えば、業務が以前と変わり、慣れないうちだとミスを繰り返すおそれがあります。統合したシステムの不具合もよくあるトラブルです。


また、企業文化が違う会社同士が一緒になるため、従業員同士の関係性にも影響が出る場合もあります。


これらの問題は正しく対処しないと、ますます業務の停滞につながるでしょう。業績の低下はもちろん、従業員の離職や経営陣との対立といった問題へと発展する危険性が高くなります。


そうなれば最大限のシナジー効果を得る以前にM&Aが破断し、大きな損失を招く結果となります。最悪な事態を招かず、シナジー効果を得るためにもPMIを適切に行うことは非常に重要です。


ただ、PMIは様々なプロセスを踏んでいくため、経営がまとまっていない状況の中でも正しく行っていく必要があります。はっきりとした目的、ゴールを設定し、全体的な計画を立てましょう。


そのためにも、経営陣や幹部は強いリーダーシップを持ち、従業員を導いていくマネジメントが求められます。


具体的なPMIの統合作業

具体的なPMIの統合作業



まず、M&Aが実行されてからの様々な情報や環境状況などを想定しつつ、達成すべき指標を決めます。最大限のシナジー効果を得るための統合プランを策定し、作業を進めていくのです。


つまり、PMIの検討はM&Aを実行する前から行う必要があります。M&Aクロージング後、スムーズにPMIに取り組めるよう、M&Aを検討する段階から統合プランを考え始めることがおすすめです。


それでは、具体的にどのような作業を行っていくのかをお伝えします。


1)経営体制/組織の統合


PMIを行う場合、経営体制や新しい組織構築に向けて以下の項目を考える必要があります。


  • 統合後はどのように経営を実施していくのか
  • 意思決定に向けたプロセスや内容をどのように経営者から社員に発信するか
  • 人員配置はどうするべきか
  • 1つの企業になることで情報伝達や共有はどのように行っていくか


全ての従業員が納得できる組織を作るのは非常に難しいことですが、なるべく多くの従業員が納得できるよう最大限努力することが大切です。


2)人事/評価の統合


企業ごとに人事評価や報酬、退職金などが異なるため、PMIでは人事制度や評価制度を統合する作業も必要となってきます。


特に、給与面は従業員の中で格差が生まれやすい部分でもあるため、PMIを実施する前に準備を進めておいたほうが良いでしょう。


1つの企業に統合することは単純に従業員数が増えるため、人件費の負担が大きくのしかかります。


しかし、報酬や退職金が以前の制度と変わってしまったり、どこかに不利益が出てしまったりすると、従業員が離職してしまうおそれが高くなります。


従業員のモチベーションと企業経営のバランスを整えながら、人事や評価制度を計画立てていきましょう。


また、働く環境が変わってもすぐに対応できるよう、研修も行っておくべきです。


3)業務面での統合




業務面での統合も様々な項目を検討していかなくてはなりません。特に話し合いが必要となってくるのが、ITシステムの統合です。


例えば、買手側の企業で使用しているシステムをそのまま導入する場合、売却される企業の人材もシステムを使えるようにしなくてはなりません。


もしくは統合をきっかけに新しいITシステムを導入するケースも見られます。ITシステムの導入にはそれなりに費用もかかるため、システムを統合する範囲や時期、どれくらいの効果が得られるのかも加味した上で話し合うことが大切です。


その他にも、業務の全体的な流れやマニュアル、従業員の働き方についても両社でスムーズに移行できるように擦り合わせていく必要があります。

4)取引先/仕入先の効率化




企業にはそれぞれ別の取引先や仕入先があります。M&Aを実施することで、これまで開拓できていなかった取引先にもアプローチしやすくなり、シナジー効果も得やすいでしょう。


ただし、M&Aを行う企業が同業だった場合、共通して購入していたものはどちらか1つだけを残し、見直しが必要になります。


重複している部分は無駄になってしまうため、早めに取引先や仕入先の見直しに取り掛かりましょう。


5)取引金融機関の整理




取引先や仕入先の効率化を行うなら、取引金融機関の整理も忘れずに行いましょう。取引金融機関の整理で重要なポイントは、「必要以上に売り手企業へ取引金融機関の変更を行わないこと」です。


全ての取引金融機関を整理し、買手側に合わせることも可能ではあります。しかし、その分従業員の業務増加につながってしまい、他の経営統合に向けた作業が取り組めなくなってしまいます。


M&A成立後できるだけ素早くPMIを成功させるためにも、変更は必要最小限に留めておきましょう。


>>M&A成功のポイント【企業文化を理解する】



PMI成功のための買収前の事前準備

PMI成功のための買収前の事前準備




PMIを成功させるためには、買収前からの準備が必要です。どのような準備が必要なのかご説明します。


また、働く環境が変わってもすぐに対応できるよう、研修制度の見直しも行っておくべきです。



1)買収前のシナジー効果の測定


そもそも、M&Aによりどのようなシナジー効果が得られるのか、それをしっかり把握しておく必要があります。把握できていないと、逆にアナジー効果(M&A実施によるマイナス効果)を生んでしまうおそれすらあります。


シナジー効果を導き出す方法には、「アンゾフの成長マトリクス」が代表的です。





図のように、縦軸を市場、横軸を製品とし、それぞれを既存・新規に4分割したマトリクス図を作成します。各マスに市場浸透・市場開拓・製品開発・多角化と4つの戦略を位置付け、ここから選ぶべきシナジー効果とM&A戦略を導き出していきます。


例えば、市場浸透戦略を狙うのであれば、規模や売り上げの拡大、規模の経済によるコスト削減などのシナジー効果が得られる企業とのM&Aが求められるでしょう。


市場開拓戦略では、自社が持たない販路や地域、事業を持っている企業の買収で、新市場への拡大が図れます。同時に収益のアップにも期待できます。


製品開発戦略では、自社とは違った製品を手掛ける会社とM&Aを行い、開発力をアップさせられます。


多角化戦略は新しい製品や事業を展開していくため、自社のノウハウが活用できる関連性のある企業がM&Aの候補先です。


このように、どのようなシナジー効果を得たいのか、そのためにはどのような会社を買収すれば成功となるのか、事前に把握しておきましょう。


2)管理者の育成




PMIをスムーズに進めていくためには、統合プロセスを適切に実行するための管理者が必要です。


PMIの実行段階の従業員は、新しい事業や決まりを理解しながら業務をこなさなければならず、負担は想像以上に大きくなります。まだ正確なルールやプロセスが確定していない段階であれば、さらに業務はスムーズにいきません。


しかし、その状況でも統合プランを把握し、的確な指示を出せる人材がいれば、従業員の負担の軽減につながります。現場の混乱を招かないように従業員を先導していける人材が必要なのです。


経営陣はもちろん、管理者はセミナーや書籍でPMIの知識を身につけ、リーダースキルの習得を目指しましょう。


3)買収後の事業計画




買収後の事業計画を立てるときは、デューデリジェンスの情報を元にします。


はじめにどれ程度のスピードや手順で進めていくかを考えていきます。競争環境や売手企業、買手側の従業員の感情なども含め、トータルで方針を決定しましょう。


4)具体的なアクションプラン




アクションプランとは、立てた戦略・基本方針を実行するために、どのような行動を行うのか示すための計画です。


達成したいゴールを確認し、財務・顧客・業務プロセス・学習と成長から目標や課題を可視化していきましょう。可視化させることで、ゴールを実現するためのアクションのリストアップが可能となります。


リストアップしたアクションは優先順位や費用対効果を分析して整理し、効率良く効果を発揮してくれる順番を決めます。さらにその作業の担当者や所要時間を設定してきましょう。


そして、アクションに遅れが生じた場合は、何が要因なのか分析し、計画の見直しが必要です。


繰り返しチェックし、精度を上げることで目標達成率は高まっていきます。


>>事業計画のチェックポイント/M&A買手企業編



PMIで重要になるランディングプランと100日プラン

PMIで重要になるランディングプランと100日プラン



PMIでは、しっかりと計画を立てて実行していくことが重要です。そこで作成するのが「ランディングプラン」と「100日プラン」です。


ランディングプランとは




ランディングプランとは、M&Aクロージング後の3~6ヶ月以内に実行する統合作業の計画のことです。


具体的には「具体的なPMIの作業とは」でご紹介した、5つの項目についての計画です。


売手側と買手側で協議し、作成していきます。


100日プランとは




100日プランとは、ランディングプランをふまえて作成される統合作業計画のことです。M&Aクロージング後の約3ヶ月の計画を立てていきます。


企業に大きな変化があるときは、短期的な成果が重要視されます。ここでしっかり計画を実行していくことで、従業員も変化を受け入れ仕事に取り組むことができるでしょう。


100日プランを立てるときの注意点は、プラン作成時に実際プランを実行する担当者を加えることです。これは、プランの実現をより確かにするために必要です。


そして、何のために100日プランを実行するのかという「目的」を常に明確にしておきましょう。



PMIが原因になったM&A失敗例

PMIが原因になったM&A失敗例


M&Aの成功にはPMIの実行がカギを握ります。ここで重要となるのは、企業価値を向上させるにはどの領域での変革を重点に置くか、また方向性や速さ、将来像などのビジョンを売手・買手側の経営陣・幹部従業員がしっかり認識することです。


統合後は、デューデリジェンスの情報では分からなかった課題が出てくることがあるため、柔軟に対応し優先順位を決めてPMIを進めるようにしましょう。


では、PMIの失敗が原因の一つといわれるM&A失敗例をご紹介します。


【失敗例1】東芝




東芝は2006年原子力事業をしているアメリカのウエスチングハウスを買収しました。このことが経営危機を招いた一つの要因だといわれています。


2011年の東日本大震災による原発事故、相場から離れた高額買収、ウエスチングハウスの巨額損失など、経営危機の原因は様々あります。それに加えて、PMIが適切に行われていなかったことも原因の一つのようです。


日本企業同士でも大変なPMIを、海外企業とするのですから極めて困難です。専門家の手も借りつつ、PMIを確実に実行することが重要であるといえます。


【失敗例2】日本郵政




日本郵政は2015年にオーストラリアの物流会社トール社を買収していますが、わずか2年で減損になっています。


これは、「買収すること」が目的となってしまい、その後のPMIがほとんど行われていなかったことが原因といわれています。


>>M&Aの失敗事例から学ぶM&Aで失敗しないためのポイント


まとめ




事業承継でも活用されるM&Aは、買収によりシナジー効果が得られる戦略です。しかし、買収後は不安定な状態が続くので、PMIを行い安定した土台を作ることがシナジー効果の最大化につながります。

具体的なPMIの方法は以下のとおりです。



具体的なPMIの統合作業

1. 経営体制/組織の統合

2.人事/評価の統合

3.業務面での統合

4.取引先/仕入先の効率化

5.取引金融機関の整理



ただし、PMIでは様々なプロセスを踏むので、専門的な知識が求められます。そのため、実行する際はM&A専門のコンサルティングやアドバイスを受けるのも良い手といえるでしょう。




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