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会社売却の検討段階

M&A成功のカギを握る経営統合(PMI)とは?

M&A成功させるためのプロセスはいくつかありますが、中でも重要視されているのが「経営統合(PMI)」です。


ただ、「なぜ重視しなくてはいけないのか分からない」「そもそも経営統合(PMI)とは何かよく分からない」という方も多いでしょう。



そこで今回は、M&A成功につながる経営統合(PMI)について、重要性や具体的な作業内容、事前に準備しておいた方が良い点をお伝えいたします 。

PMIとは?

PMIとは、企業買収をした後に実施する経営統合に向けた作業です。企業がM&Aを実施するのは、統合によってシナジーを得て企業価値を高めることを目的としています。


PMIはM&A後の様々な相乗効果を最大限得るために実施するため、デューデリジェンス(買い手側が売り手側の企業を調査すること)を行った後から準備を進めていきます。


M&Aの結果に大きな影響をもたらすため非常に重要なプロセスなのですが、日本ではPMIが十分でなかったことで失敗に終わった事例も多く存在します。


せっかくコストをかけて取り組んだM&Aを失敗で終わらせないためにも、PMIの重要性を理解し、この後ご紹介する具体的なPMIの進め方や重要なポイントを覚えておきましょう。

>>M&Aでシナジー効果を発揮するポイントとは?

具体的なPMIの作業とは?

まず、M&Aが実行されてから様々な情報や環境状況なども踏まえつつ、達成すべき指標を決めます。指標をクリアするための統合プランを策定し、作業を進めていくのです。


それでは、具体的にどのような作業を行っていくのかをお伝えいたします。

ⅰ)経営体制/組織の統合



PMIを行う場合、

  • 統合後はどのように経営を実施していくのか
  • 意思決定に向けたプロセスや内容を経営者から社員に発信するための方法
  • 人員配置はどうすべきか
  • 1つの企業になることで情報伝達や共有はどのように行っていくか

など、経営体制や新しい組織構築に向けて考える必要があります。


全ての従業員が納得できる組織を作るのは非常に難しいですが、なるべく多くの従業員を納得させることが大切です。


ⅱ)人事/評価の統合



企業ごとに人事評価や報酬、退職金などが異なるため、PMIでは人事制度や評価制度を統合する作業も必要となってきます。


特に、給与面は従業員の中で格差が生まれやすい部分でもあるため、PMIを実施する前に準備を進めておいた方が良いです。


1つの企業に統合することは、単純に従業員数が増えるため企業側にかかる人件費の負担は大きくのしかかってしまいます。


報酬や退職金は以前の制度と変わってしまったり、どこかに不利益が出てしまったりすると、従業員が離職してしまう可能性も高くなります。


従業員のモチベーションと企業経営のバランスを整えながら、人事や評価制度を計画立てていきましょう。


また、働く環境が変わってもすぐに対応できるよう、研修制度の見直しも行っておくべきです。

ⅲ)業務面での統合



業務面での統合も様々な項目を検討していかなくてはなりませんが、特に話し合いが必要となってくるのが、ITシステムの統合です。


例えば、買収元の企業で使用しているシステムをそのまま導入する場合、吸収される企業の人材もシステムを使えるようにしなくてはなりません。


もしくは統合をきっかけに新しいITシステムを導入するケースも見られます。ITシステムの導入にはそれなりに費用もかかるため、システムを統合する範囲や時期、どれくらいの効果が得られるのかも加味した上で話し合うことが大切です。


その他にも、業務の全体的な流れやマニュアル、従業員の働き方についても両社でスムーズに移行できるように擦り合わせていく必要があります。


ⅳ)取引先/仕入先の効率化



企業にはそれぞれ別の取引先や仕入先があります。M&Aを実施することで、これまで開拓できていなかった取引先にもアプローチしやすくなり、シナジーも得やすいでしょう。


ただし、M&Aを行う企業が同業だった場合、共通して購入していたものはどちらか1つだけを残し、見直しが必要になります。


重複している部分は無駄になってしまうため、早めに取引先や仕入先の見直しに取り掛かりましょう。


ⅴ)取引金融機関の整理



取引先や仕入先の効率化を行うなら、取引金融機関の整理も忘れずに行いましょう。取引金融機関の整理で重要なポイントは、「売り手企業へ必要以上に取引金融機関の変更を行わないこと」です。


全ての取引金融機関を整理し、買い手側に合わせることも可能ではありますが、その分従業員の業務負担につながってしまい、他の経営統合に向けた作業が取り組めなくなってしまいます。


M&A成立後できるだけ素早くPMIを成功させるためにも、変更は必要最小限に留めておきましょう。

>>M&A成功のポイント【企業文化を理解する】

M&Aを成功に導くPMIの重要性

統合後の会社はまとまりのない状態であるため、PMIの準備が整っていないと様々な問題が生じるでしょう。


例えば、業務も以前とは少し変わり、慣れないうちだとミスを繰り返す可能性があります。統合したシステムの不具合もよくあるトラブルです。


また、企業文化が違う会社同士が一緒になり、従業員同士の関係性にも悪影響が出る場合もあります。


これらの問題は正しく対処しないと、ますます業務の停滞につながります。業績の低下はもちろん、従業員の離職や経営陣との対立といった問題へと発展する可能性が高いです。


そうなれば最大限のシナジー効果を得る以前にM&Aが破断し、大きな損失を招く恐れがあるでしょう。最悪な事態を招かず、シナジー効果を得るためにもPMIを適切に行うことは非常に重要です。


ただ、PMIは様々なプロセスを踏んでいくため、経営がまとまっていない状況の中で正しく行っていくためには、はっきりとした目的、ゴールを設定し、全体的な計画を立てましょう。


PMI成功のための買収前の事前準備とは?



PMIを成功させるためには、買収前からの準備が欠かせません。では、どのような準備が必要なのかご説明しましょう。


ⅰ)買収前のシナジー効果の測定



そもそも、M&Aによりどのようなシナジー効果が得られるのか、それを把握しておく必要があります。把握できていないと、逆にアナジー効果(事業間でのマイナス効果)を生んでしまう可能性すらあります。


シナジー効果を導き出す方法には、「アンゾフの成長マトリクス」が代表的です。



アンゾフの成長マトリクス




図のように、縦軸を市場、横軸を製品とし、それぞれを既存・新規に4分割したマトリクス図を作成します。各マスに市場浸透・市場開拓・製品開発・多角化と4つの戦略を位置付け、ここから選ぶべきシナジー効果とM&A戦略を導き出していきます。


例えば、市場浸透戦略を狙うのであれば、規模や売り上げの拡大、規模経済によるコスト削減などのシナジー効果が得られる企業とのM&Aが求められるでしょう。


市場開発戦略では、自社が持たない販路や地域、事業を持っている企業の買収で、新市場への拡大が図れます。同時に収益のアップにも期待できます。


製品開発戦略では、自社とは違った製品を手掛ける会社とM&Aを行い、開発力をアップさせられます。


多角化戦略は新しい製品や事業を展開していくため、自社のノウハウが活用できる関連性のある企業がM&Aの候補先です。


このように、どのようなシナジー効果を得たいのか、そのためにはどのような会社を買収すれば成功となるのか、事前測定しておきましょう。


ⅱ)管理者の育成




PMIをスムーズに進めていくためには、統合プロセスを適切に実行するための管理者が必要です。


PMIの実行段階の従業員は、新しい事業や決まりを理解しながら業務をこなさなければならず、負担は想像以上に大きくなります。まだ正確なルールやプロセスが確定していない段階であれば、さらに業務はスマートに行きません。


しかし、その状況でも統合プランを把握し、的確な指示を出せる人材がいれば、従業員の負担の軽減となります。


買収前に各プロセスでリーダーシップを発揮できる人材を確保し、またPMIを正しく実行するための育成も必要です。


経営陣はもちろん、管理者はセミナーや書籍でPMIの知識や、現場の混乱を招かないように従業員を先導していくリーダースキルの取得を目指しましょう。


ⅲ)買収後の事業計画




買収後の事業計画を立てる際、デューデリジェンスの情報を元に具体化させていきます。


はじめにどれ程のスピードで統合していくか、手順で進めていくか考えていきます。競争環境や被買収企業・買い手従業員の感情なども含め、トータルで方針を決定しましょう。


さらに、M&Aクロージング後の数か月以内に実行する統合作業の計画を指す、ランディングプランを作成します。大体3~6ヶ月以内に実行する統合作業の計画を落とし込んでいきます。


ランディングプランは売り手・買い手側両方の作業を含めて計画を立てていきましょう。


さらに、100日プランを策定します。100日プランとは、買収後に100日間で方針を決定し、行う被買収企業の中間事業計画です。


中長期な経営効果を得るためにも、100日プランを作成し、中間的な課題を整理しておきましょう。


実際のPMIでは、作成したランディングプランと100日プランを元に実行しましょう。そして、成果はモニタリングをしていくことも重要です。


ⅳ)具体的なアクションプラン




アクションプランとは、立てた戦略・基本方針を実行するために、どのような行動を行うのか示すための計画です。


達成したいゴールを確認し、財務・顧客・業務プロセス・学習と成長の4点から目標や課題を可視化していきましょう。可視化させることで、ゴールを実現するためのアクションのリストアップが可能となります。


リストアップしたアクションは優先順位や費用対効果を分析して整理し、効率良く効果を発揮してくれる順番を決め、さらにその作業の担当者や所要時間を設定してきましょう。


そして、アクションは計画通りの順序と期間で実行します。アクションに遅れが生じた場合、何が要因なのか分析し、計画の見直しが必要です。


繰り返しチェックし、精度を上げることで目標達成率は高まっていきます。


M&Aが失敗しないために

M&Aの成功にはPMIの実行がカギを握ります。ここで重要となるのは、企業価値を向上させるにはどの領域での変革を重点に置くか、また方向性や速さ、将来像などのビジョンを売り手・買い手側の経営陣・幹部従業員がしっかり認識することです。


あまりにPMIのスピードが速いと従業員の負担が大きく、業務へのモチベーションが下がってしまう場合があります。従業員が納得して作業を行うためにも、コミュニケーションを通じて統合の必要性を理解してもらう必要があるでしょう。


そのためには、経営陣や幹部は強いリーダーシップを持ち、従業員を導いていくマネジメントが求められます。


統合後は、デューデリジェンスの情報では分からなかった課題も生じる可能性は高いため、柔軟に対応し優先順位を決めてしっかり処理してPMIを進めるようにしましょう。

>>M&A成功へのステップ

まとめ

事業承継でも活用されるM&Aは、買収によりシナジー効果が得られる戦略です。



しかし、買収後は不安定な状態が続くので、PMIを行い安定した土台を作ることがシナジー効果の最大化につながります。



ただし、PMIでは様々なプロセスを踏むので、専門的な知識が求められます。



そのため、実行する際は独学で知識を養うか、M&A専門のコンサルティングやアドバイザーのサポートを受けるのも良い手といえるでしょう。




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