M&A
2019/01/06
~良い売却案件と出会う秘訣とは~
このコラムでは日頃、経営者の方やM&A業界に馴染みがない方向けに、M&A業界のギモンについて、分かりやすくお答えさせて頂きます。
今回はノンネームシート【簡易な案件概要書】についてお伝えします。
経営者の中には、会社の売却を検討しているが、従業員や銀行、その他同業他社に会社売却をすることが知られるのではないかと不安に思われている方も多いのではないでしょうか?
M&Aでは、会社が売却を検討しているというのが第三者に分からないようにするために、ノンネームシートという簡易な案件概要書を作成して買手企業を探していきます。
まずはどのように会社の売却は進めていくのか、その手順について簡単におさらいしていきましょう。
会社を売却する手順は一般的に下記の流れです。
1) 会社売却のアドバイザーもしくは仲介をしてくれる会社と契約する
2) 会社を売却するための資料作成
3) 買手企業を探す
4) 買手企業との面談(トップ面談)
5) 基本合意契約書の締結
6) デューデリジェンス(買手企業が売手企業の詳細調査)
7) 最終合意契約書の締結
8) クロージング(決済及び譲渡の実行)
これが一覧の流れです。
M&A業界特有(不動産の取引との違い)で言えば、4~7の手順です。
不動産の取引と違い、人や取引先などを譲渡するので、より慎重に調査や契約が行われます。
特に4)のトップ面談はお客様によっては複数回行われるケースもありますし、中には5)の基本合意契約締結後、もしくは7)の最終合意契約締結後に従業員との面談を複数回行う買手企業もあります。
それ程、会社や事業の場合は、人(従業員)が業績に与える影響が大きいため慎重に取引が行われるのです。
今回のコラムの題材であるノンネームシートは2)の段階で作成され、3)の段階で、買手候補企業へ開示される簡易な案件概要書のことを指します。
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そもそもノンネームシートには何が記載されているのでしょうか?
まずノンネームシートの作成の目的は
① 買手企業へ案件紹介をする上で、売却を検討している会社が特定されないようにす
② 買手企業へ興味を持ってもらい次のステップへ進める
この2つが主な目的です。
実際に記載されている内容は
● 譲渡の方法(株式譲渡か事業譲渡か)
● 譲渡希望価格
● 譲渡の理由
● 業種
● 本店のエリア(例えば東京、大阪程度)
● 従業員の数
● 店舗での販売を行っている場合は店舗数
● 売上高
● 実質の営業利益(減価償却費等を含まないキャッシュフロー上の利益)
● 金融機関の借入(株式譲渡の場合)
● 純資産(株式譲渡の場合)
おおよそこの辺りの情報が網羅されています。
これだけの情報があればノンネームシートを見ればある程度の判断はできると考える買手企業も多いかもしれません。
確かにノンネームシートを確認すれば
① 営業利益等から譲渡価格が高いか安いかの判断はできる
② 自社が買収したい業種やエリアの判断はできる
この2点は確認ができます。
一方、仮に譲渡価格が高い場合は、断ってしまうのか?
売手側からすれば、希望する譲渡価格の根拠があってノンネームシートに記載しているはずです。
その理由を聞かずに断ってしまっていいのでしょうか?
ノンネームシートに記載されている情報はあくまでも売却を希望される企業の定量面(決算書などの数値)だけです。
定性面(つまり事業内容など)については、業種以外に一切触れられていません。
これはノンネームシートの性質上、企業特定がされない程度での情報開示ですので、仕方ない面もあります。
実務を行うアドバイザーの立場からすれば、ノンネームシートだけで企業の価値を見出すことは不可能です。
つまり、投資をするかどうかの判断をすることは不可能です。
※価格面で断るということに関して、ノンネームシートのみで判断することはできないという意味です。
現在のM&A市場においては、買手企業側は良い売り案件を紹介してもらえる確率は、限りなく低いと認識しておく必要があります。
利益が出ていて投資が3年以内で回収できる案件は市場に出回るケースは殆どありません。
特にこれからM&Aで会社を買っていきたいと考えている経営者にとっては、非常に厳しい環境と言えるかもしれません。
今回は現在のM&A市場についての解説は省略させて頂きますが、なぜ、そのような状況か詳しく知りたい方は、下記をお読み頂ければお分かり頂けます。
そういった市場環境の中で、自社の成長戦略にあった会社をM&Aをしていくには、ノンネームシートで案件の良し悪しを判断しないことが重要かもしれません。
既に会社として収益を上げている企業を買収するという考えではなく、自社のコンテンツを利用して売手の業績を改善していく、もしくはシナジー効果を発揮して何倍もの利益を出していける案件の買収を目指していく方が、M&Aでの成長は早いかもしれません。
いつ来るか分からない優良案件を待つよりも、自ら一歩踏み出してく勇気をもってM&Aに取り組んだ方が案件成約の確率はきっと上がるはずです。
そのためにも、ノンネームシートで案件の良し悪しを判断せず、詳細資料を確認し、売手側の社長と会い、売手側の事業内容などを聞いた上で投資判断することをお勧めします。
ノンネームシートはあくまでもその前段階で振るいにかける程度で捉えておいて良いかもしれません。
ノンネームシートの作成の目的は
① 買手企業へ案件紹介をする上で、売却を検討している会社が特定されないようにする
② 買手企業へ興味を持ってもらい次のステップへ進める
この2つが主な目的です。
一方、この内容だけでは、企業の評価は非常に難しいです。
しかし、実務的な側面から見ると、このノンネームシートで案件の良し悪しを判断する(次のステップに進まない)買手企業は非常に多いのが現実です。
※つまり、実質営業利益から見る譲渡価格が高いか安いかのみで判断している可能性が高い
現在のM&A市場では、利益が出ていて投資が3年以内で回収できる案件は市場に出回るケースは殆どありません。
そのことを理解した上で、より良い売却案件に出会うためにノンネームシートで案件の良し悪しを判断しないことが重要かもしれません。
既に会社として収益を上げている企業を買収するという考えではなく、自社のコンテンツを利用して売手の業績を改善していく、もしくはシナジー効果を発揮して何倍もの利益を出していける案件の買収を目指していく方が、M&Aでの成長は早いかもしれません。
いつ来るか分からない優良案件を待つよりも、自ら一歩踏み出してく勇気をもってM&Aに取り組んだ方が案件成約の確率はきっと上がるはずです。
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