M&A
2018/11/18
経営者が会社を辞めたいと考えたとき、10年以上も前の話であれば、廃業、清算、親族内(息子などに)引き継ぐ事業承継という選択肢が一般的であったかもしれません。
もしくは、従業員や取引先だけでも知り合いの社長に引き取ってもらうというのが第三者への引継ぎの選択肢だったのではないでしょうか。
それが、今では会社や事業が第三者へ売却できる時代になりました。
会社や事業が売却できるといっても具体的にどういった方法で売却できるのか、その方法を分かりやすくお伝えします。
目次
会社の売却を決断し、具体的にM&Aを実施するときの方法を流れにそって確認していきましょう。
M&Aは専門家に依頼することがおすすめです。なぜなら、M&Aは専門な知識が必要で、さまざまな手続きが必要になるからです。トラブルを回避するためにも、まずは誰に依頼するのか熟考しましょう。
依頼先候補を数社決め、面談をしてから会社の売却を依頼する会社を決定することが大切です。
依頼するM&AアドバイザーやM&A仲介会社が決まったら、会社売却の方法やスケジュールを決めていきます。
>>M&Aは誰に依頼するべきか?選ぶポイントと依頼前に確認すべきこと
買手企業候補が決定すると、次に実施されるのが経営者同士の面談です。その時点でM&AアドバイザーやM&A仲介会社が譲渡条件や譲渡価格について伝えられていますが、ここで改めて経営者同士ですり合わせを行います。
双方が納得した場合は、買手企業から意向証明書(LOI:レターオブインテント)が提出されます。意向証明書には、売却の段取りや買収の理由、買収後の経営展望などが記載されています。
この後に作成する基本合意契約書(MOU:Memorandum of Understanding)は、この意向証明書の内容を参考に作られますが、意向証明書に法的拘束力はありません。
基本合意契約を締結した後は、買手企業がデューデリジェンスを行います。その際に、資料の提出を求められることがありますので、速やかに対応しましょう。
デューデリジェンスの結果を受けて、条件面など双方問題なければ、最終譲渡契約の締結となります。
最終合意契約が締結された後は、クロージング(譲渡代金の決済と契約などの引継)が行われます。
おおよそ最終合意契約から1ヶ月程度の期間に売手企業から買手企業への譲渡手続きが行われます。
最終合意契約は法的拘束力がありますので、契約で決めている条件以外での契約破棄には損害賠償責任が伴いますので、安心してクロージング作業に取りかかってもらって問題はありません。
会社売却には、準備期間が必要です。少しでも高く好条件で売却するためにも、M&AアドバイザーやM&A仲介会社など専門家のアドバイスを受けつつ準備を進めましょう。
「早く売却したい」と焦ってしまうと、不利な条件で売却することになったり、買手企業が見つからず倒産してしまったりしかねません。
だいたい1年~2年は準備期間が必要だと思って行動するとよいでしょう。
会社を売却する最も多く選択されている方法は2つあります。それは【株式譲渡】と【事業譲渡】という方法です。
どちらの売却方法を選択するかは、現在の会社の状況や今後の会社の展開によって最良の選択は異なります。
それぞれ具体的に説明していきます。
株式譲渡は、会社をそのまま第三者へ譲り渡すことです。会社が発行している株式を保有するオーナーが第三者へその株式を譲り渡すことにより、会社の経営権を譲り渡すことを指します。
一般的に中小企業の場合は株主(オーナー)=代表者ですので、株式を譲渡すること=会社をすべて(経営権を含めて)第三者へ譲渡することを意味します。
事業譲渡は、会社の事業を第三者に売却することです。この場合に売却される対象は、事業を行うために必要な権利(許認可)、人、商品、機材などです。
また、対象となる事業は会社のすべての事業を売却することも可能ですし、一部の部門のみの売却も可能です。事業譲渡をした後の法人はそのまま残ります。
株式譲渡や事業譲渡を行う際の注意点についてそれぞれお伝えします。
株式譲渡の注意点は、借入金の引き継ぎです。
基本的には、会社ごと買手企業へ引き継ぎますので、経営者が連帯保証人になっている借入金についても買手企業へすべて引き継がれます。
買手企業との交渉の中で、どのタイミングで、どういった方法で借入金を返済するのか。もしくは、代表者としての連帯保証債務をいつ解除するのかについては、しっかり話をしておきましょう。
ただし、代表者が会社へ貸しているお金(勘定科目ですと【代表者借入金】)については、基本的に買手企業はその返済を認めないことが多くなっています。
つまり、株式の譲渡代金以外の返済を買手企業に求めても、認めてもらえないケースが多いのです。
>>M&Aで連帯保証債務は外せる?借入金の取り扱い方を解説
事業売却の注意点は売却した後の会社の取り扱いです。複数の事業を行っており、その一部の譲渡であれば問題はありません。
また、すべての事業を売却し、その売却代金で会社が清算できる状況になる、もしくは売却代金で別事業を始めるということであれば特段の問題はないでしょう。
問題となるのは、売却金額よりも会社としての借入額が大きい場合、つまり、売却代金で借入が返済できない状況であり、かつ、売上を上げる事業が会社に何も残っていない場合です。
その場合は、事業譲渡した後の会社としての方針、残った借入の処理の方法など、しっかりと準備した上で取り組むかどうかの判断をすることをおすすめします。
>>株式譲渡と事業譲渡での借入金の取扱いの違いを教えてください
また、事業譲渡の場合、諸々の契約すべてを買手企業へ移行する必要があります。その過程の中で、事業や買手企業に移籍する従業員へ悪影響が及ばないかをしっかり確認しておく必要があるでしょう。
場合によっては、従業員が転籍を嫌がり退職してしまうことがあります。それがキーマンの従業員であった場合は想定されていたシナジー効果が得られなくなり、事業譲渡がスムーズにいかなくなる恐れも出てきます。
会社を売却すると、その対価として利益を得ることになります。その利益に対して課税されることを覚えておきましょう。
その税金の支払額は、株式譲渡するか事業譲渡するかによって異なります。そのため、どちらの方法で売却するか検討するときに、いくら課税されるのかを計算し比較してみることがおすすめです。
複雑な部分ですので、専門である税理士に相談することがおすすめです。
株式譲渡と事業譲渡、それぞれの税金について見ていきましょう。
株式譲渡の場合、筆頭株主という個人に対して課税されることが特徴です。
株式譲渡所得額に、復興特別税を含む所得税15.315%と住民税5%、合計20.315%の税金がかかります。
株式譲渡所得額とは、株式の譲渡金額から取得費を差し引いたものです。取得費とは、出資金や株式譲渡で依頼したM&A仲介会社などへの手数料のことです。
ただし、株式譲渡によって会社を売却する場合、株式の売却価格と税務上の時価との差によって、追徴課税となる場合があります。
事業譲渡の場合は、株式譲渡とは違い、個人ではなく法人に課税されます。そのため、法人税だけではなく、消費税もかかります。
しかし、資産の内容によっては非課税になることが特徴です。事業に利用していた土地が非課税になる場合があります。
ただ、法人税が課税されるということは、事業税や地方法人税、法人住民税も課税されますので、事業譲渡額が大きい場合は負担も大きくなるといえるでしょう。
会社売却の成功とは、高値で売却できることではないでしょうか。高値で売却するためには、会社の強みを知り価値を高め、それを買手企業に伝える必要があります。
ここでは、会社を高値で売却する方法をご紹介します。
1.優良な顧客リストを持つ
会社売却の際は、顧客リストも譲渡することになります。そのため、買手企業にとって、魅力的な顧客リストを持つことがポイントです。
長期的な関係が持てると推測される顧客リストは高値で売却できる一つの要素といえます。
2.優秀な従業員や技術を持つ
簡単に習得できないスキルを持つ従業員や独自の技術があると、高値で売却できる可能性があります。
3.特定地域や分野でシェアを持つ
シェア拡大のために買収を検討する企業は少なくありません。
自社の商品やサービスが特定の地域や分野で一定のシェアを獲得している場合、シェア拡大するために高値でも買いたい企業が現れることがあります。
4.マイナス面を少しでも減らす
債務やトラブルなどを抱えている場合は、少しでも解消できるようにしましょう。そうしないと、高値どころか買手も見つからない恐れがあります。
特に、株式譲渡の場合は債務も引き継がれるため、少しでも減らせないか検討する必要があるでしょう。
会社や事業を売却するには、株式譲渡と事業譲渡の2つの方法があります。
会社売却の方法
1.株式譲渡ー会社をそのまま第三者へ売り渡すこと
2.事業譲渡ー会社の事業を第三者に売却すること
それぞれ注意点や譲渡後にかかる税金が変わってきますので、専門家に相談しながらしっかり準備する必要があります。
自社にとってベストな選択ができるよう、準備を進めていきましょう。
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