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M&A財務戦略

デューデリジェンスに必要な費用は?手続きの流れと実施のタイミング

2020/05/25


M&Aでは、基本合意契約後デューデリジェンスを実施します。




しかし、中には、どの実際にデューデリジェンスの費用がどの程度かかるのか気になる経営者の方も多いはずです。


そこで今回は、デューデリジェンスにかかる費用や手続きの流れ、実行のタイミングなどについて詳しく解説します。


デューデリジェンスとは


デューデリジェンス(Due Diligence)は、「Due(当然の、正当な)」と「Dilidence(勤勉、努力)」を合わせた言葉です。



また、「デューディリジェンス」と呼ばれることもありますが、一般的には「デューデリジェンス」が使われています。そのほか、略語として「DD」とも呼ばれます。


デューデリジェンスの目的は、企業や事業の買収におけるリスクを事前に調べ、問題を解決したり対策したりすることです。

また、DDの結果を譲渡価格に反映させることもあります。


M&Aのときに売り手から受け取る資料には決算書がありますが、それだけでは企業が抱える全てのリスク事項を把握できません。

そのため、デューデリジェンスを実施して、隠れたリスクや簿外債務を見つける必要があるのです。


しかし、中小企業のM&Aでは、すべてのデューデリジェンスを実施しないこともあります。


デューデリジェンスには数十万~100万円以上の費用がかかるため、場合によっては満足に実施しない買手企業も少なくありません。


財務デューデリジェンスや労務デューデリジェンス、税務デューデリジェンスなど、特に重要な項目だけを実施するのも1つの手段です。



POINT
簿外債務とは、この帳簿に記載されない債務を指します。株式譲渡の場合、もし簿外債務があるとその債務も引き継ぐことになります。

中小企業の場合、いかに税金の負担を抑えるか、いかに金融機関からの融資を引き出すための黒字化ができるかが重視されています。

そのため、本来計上されるべき経費や負債が計上されておらず、将来発生する債務(引当金)などをあえて記載しないケースもあります。

簿外債務のリスクを回避するためには、「買収前のデューデリジェンス」と「契約書による保証内容」が重要です。

>>企業を買収する場合の簿外債務のリスクとその対処法とは

デューデリジェンスを行う場面とは



それでは、デューデリジェンスはどのようなときに行うのか詳しく見ていきましょう。


M&A



M&Aでデューデリジェンスを実施する理由は、財務や税務、人事、ビジネスなどにおけるリスクを抱えたまま買収すると、M&A後にトラブルが起きたり問題が発覚したりするためです。


買い手が売り手に対してデューデリジェンスを入念に行い、すべての問題を把握して対策を立てることができれば、最終合意契約へと進みます。


大きな問題が発覚したときは、M&Aが白紙になる可能性もあります。

それほど、デューデリジェンスはM&Aに大きな影響を与えます。


銀行融資



銀行が企業に対して貸し付けるかどうかを判断する際に、財務デューデリジェンスを実施します。銀行は、貸付金を返済できる見込みがある企業にしか貸し付けません。


そのため、企業の利益や配当金収入、利息収入、不動産の価値、キャッシュフローなどを調べて、貸付のリスクをチェックするのです。


事業再生



事業再生を行う場合は、財務デューデリジェンスを中心に現在の企業状況を把握するために実施されます。


具体的には、銀行へリスケジュールの依頼をする際や、再生支援協議会を利用した事業再生を行う場合、企業の実態を調査し、再生の可能性を判断するためにデューデリジェンスが実施されます。


この場合に注力されるポイントは、財務面の実態の資産の把握です。


M&Aで行うデューデリジェンスの目的


M&Aを行う際にデューデリジェンスをする目的は大きく2つあります。正確に企業価値評価をすることとM&Aのリスクを把握することです。




M&Aの際にデューデリジェンスで調べる内容は、売り手企業が抱えるリスク事項全般です。




企業の収益性や競合、取引先を調査し、本当にその企業を買収すべきかどうかの判断します。


また、適切に税務申告をしているかどうかを調べることで、コンプライアンスや買収後の税務調査のリスクなどがわかるでしょう。


このように、調べる項目は目的によって異なります。



デューデリジェンスは誰が行うのか



デューデリジェンスを行うのは、公認会計士や税理士、弁護士、ITの専門家などです。



それぞれの目的に応じて、サポートを依頼すべき専門家が異なります。


また、通常業務ではなく一歩踏み込んだ業務を行うため、M&Aにおけるデューデリジェンスの経験が豊富な専門家を選ぶことが大切です。



仮に取引関係の中で、依頼する適任の方がいない場合は、M&A仲介会社が、適切な専門家を紹介してくれます。


デューデリジェンスの具体的な費用と相場とは



デューデリジェンスの費用相場は、デューデリジェンスの種類によって異なります。



デューデリジェンスの費用相場について、種類ごとに詳しく見ていきましょう。



財務デューデリジェンス



財務デューデリジェンスは、ファイナンシャルデューデリジェンスとも呼ばれています。

財務面のリスクを洗い出すために、収益性や設備投資の負担、業績の推移、自社との相性や最終目標とのマッチ度などを調査します。


キャッシュフローの分析や会計処理の正しさのチェックなどには専門知識が必要なため、公認会計士など各専門家のサポートが必要です。


財務デューデリジェンスにかかる費用相場は1日2~5万円程度で、総費用は50~100万円以上です。




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労務デューデリジェンス



労務デューデリジェンスは、人事デューデリジェンスとも呼ばれています。調査対象は、売り手企業の人事関連の情報です。


M&Aの目的の1つに「優秀な人材の確保」があります。売手企業は優秀な人材を企業価値に算定するため、デューデリジェンスで十分に調査することが大切です。


買手企業としては、未払残業代や労働問題など、目に見えないリスクが潜んでいる場合もあるので、財務デューデリジェンスと同様に労務デューデリーは重点的に行う必要があります。


労務デューデリジェンスにかかる費用は、1日2~5万円、総費用は50~100万円程度です。


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法務デューデリジェンス



法務デューデリジェンスでは、労働基準法違反や債務不履行や不法行為による損害賠償訴訟、金融商品取引法違反などの法的な問題がないか調査します。


法的な問題を抱えている企業を譲受した場合、問題が発覚したときに世間からバッシングを受けたり罪に問われたりするのは買い手企業です。


そのため、法務デューデリジェンスは弁護士のサポートを受けて慎重に進める必要があります。


法務デューデリジェンスの費用相場は1日2~5万円、総費用は50~100万円以上です。適切なリーガルチェックを行うために、デューデリジェンスの実績が豊富な弁護士を選びましょう。


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ビジネスデューデリジェンス



ビジネスデューデリジェンスでは、売り手企業の将来性や競合を調査します。

収益力や買収後のシナジー効果(相乗効果)を判断できるため、M&Aを行う理由がより明確になります。PEST分析やSWOT分析といった専門知識が必要なため、専門家のサポートは必須でしょう。


ビジネスデューデリジェンスの費用相場は1日2~5万円、総費用は50~90万円程度です。



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税務デューデリジェンス



税務デューデリジェンスでは、事業所得などを適切に申告して期限までに納税しているかを調査します。


また、M&Aで繰越欠損金の特例が認められているかどうかを確認することも重要です。


事業目的がないにもかかわらず繰越欠損金がある会社を買収すると、ペナルティが課せられる恐れがあります。


ペナルティを回避するためにも、税理士や公認会計士などの専門家のサポートのもとで、十分に調査をすることが大切です。

税務デューデリジェンスの費用相場は1日2~5万円、総費用は50~100万円以上です。


ITデューデリジェンス



M&Aを行う際に買い手企業と売り手企業の情報システムを統合する必要が出てくる場合があります。



POSシステムや会計システム、営業支援システムなどをうまく統合できないと、現場が混乱するでしょう。

シナジー効果を十分に得て、速やかに新形態でスタートを切るためには、ITデューデリジェンスが欠かせません。


ITデューデリジェンスは、そのような情報システムの統合を見据えて調査を行います。そのため、M&Aだけではなく、ITの専門知識を持つ人物や会社のサポートが必要です。


ITデューデリジェンスにかかる費用は依頼先やシステムの数などで大きく異なるため、厳密には相場が存在しません。


複数社に見積もりを依頼するなどして、大体の相場感をつかみましょう。


M&Aにおいてデューデリジェンスをするタイミング



M&Aにおけるデューデリジェンスを実施するタイミングは、基本合意契約の締結後から最終合意契約までの間で1カ月程度の期間で行われます。


早すぎるタイミングでデューデリジェンスを実施すると、従業員や取引先にM&Aを進めていることを察知されてしまう恐れがあります。


遅すぎても、別の買い手候補に先を越される可能性があるため、ちょうど良いタイミングを見計らいましょう。


デューデリジェンスがM&Aに与える影響とは



デューデリジェンスは、企業価値評価やM&Aの方針の変更、契約書の内容などに深く関係します。


例えば、簿外債務が発覚すれば、企業価値評価が変動するため、買収額も変わります。


また、大きなリスクが発覚したときは、買収対象を企業(株式譲渡)から事業(事業譲渡)に譲渡スキームの変更することになる場合もあるでしょう。


さらに、リスク事項を踏まえた契約を結ぶ必要があるため、契約書の内容にも影響が及びます。


このように、デューデリジェンスは任意で行うものではありますが、デューデリジェンスをしないと大きなリスクを見逃してしまう恐れがあります。M&Aを成功させるためにも、デューデリジェンスは実質のところ必須なものと言えます。


デューデリジェンスを円滑に行うために



デューデリジェンスの流れは次のとおりです。

1. 買手企業が依頼する専門家と話し合いをする
2. 話し合いの内容を踏まえて売り手に必要資料の手配を依頼する
3. 資料に基づいて調査のポイントを検討する
4. 調査員が売手企業に行って調査をする


円滑にデューデリジェンスを実施するために、次のポイントを押さえましょう。


専門家を速やかに手配する



デューデリジェンスの実績が豊富な専門家を速やかに手配して、準備を整えましょう。手配が遅れるとM&Aのスケジュールが後ろ倒しになります。


デューデリジェンスで問題が発覚すれば、売り手とのさらなる交渉が発生する可能性があるため、準備段階で手間取らないことが大切です。


資料の懸念されるポイントを確認する



売手から提供された資料を専門家と一緒に確認して、懸念されるポイントを確認しましょう。



一見、問題がないように思えても、実績豊富な専門家が見ると怪しく感じるケースがあります。


企業のすべてを調査するには多大な時間と費用がかかるため、調査すべきポイントを見極めることが大切です。


デューデリジェンスを行う際の注意点


デューデリジェンスを行う際に知っておきたい注意点を紹介します。


1. M&Aの規模に合わせたデューデリジェンスを行う



デューデリジェンスはM&Aの規模に合わせて行うようにしましょう。



M&Aの規模が大きいのにデューデリジェンスの費用が低すぎると、調査が不十分になってしまう恐れがあります。逆にM&Aの規模が小さいのに費用が高すぎるというのは、そもそも買収する必要があるのか検討し直したほうがよいかもしれません。


2.内部担当者だけで済ませようとしない



デューデリジェンスの費用を抑えるために、外部の専門家に依頼するのではなく、内部で済ませようとするのはおすすめできません。



重大なリスクを見逃してしまう恐れがありますので、外部の専門家に依頼し、必要な体制を整えるようにしましょう。


3.調査項目に優先順位を付ける



デューデリジェンスで行う調査項目には、優先順位を付けるようにしましょう。



売手企業から提供された資料をもとに、調査項目に優先順位を付けておくと、時間にも費用にもムダがありません。



まとめ



M&Aを実行するときは、買手企業が売手企業に対してデューデリジェンスを実施します。

デューデリジェンスをしなければM&A完了後に問題が発覚する恐れがあるからです。

デューデリジェンスには以下のような種類があります。M&Aの規模などから、必要なデューデリジェンスを行うことが大切です。



デューデリジェンスの種類

セルサイドデューデリジェンス

ビジネスデューデリジェンス

財務デューデリジェンス

法務デューデリジェンス

人事デューデリジェンス

ITデューデリジェンス



信頼できるM&A仲介会社や専門家に依頼して、価値のあるデューデリジェンスを実施しましょう。



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