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M&A用語集

労務デューデリジェンスとは?

2020/01/08

最近、M&Aで行われる各種デューデリジェンスの中でも重視されているのが、労務デューデリジェンスです。

主な調査内容は、人事制度、就業規則の内容や運用実態などです。

特に、残業手当などについては、社会問題化もされているので、買手企業は十分に調査する必要があります

それでは労務デューデリジェンスについて詳しく見ていきましょう。

労務デューデリジェンスの必要性

近年は企業と従業員を巡るトラブルや関係性、職場環境などが企業の事業に大きな影響を与えることがあります。

ブラック企業だと噂が広まっただけで、不買運動が起こったり、就職希望者が激減したりするなど、事業の継続に支障をきたし、倒産の危機などに見舞われるケースもあるからです。

現役の従業員や離職した元従業員がSNSで内情を告発したり、労働基準監督署や週刊誌やテレビ局などのメディアなどに告発したりすることも多いです。

SNSやメディアを通じて一気に情報が拡散され、世間の矢面にさらされることがあります。

労務問題を抱えている企業をM&Aしたとなれば、トラブルの解決や処理に追われることになるうえ、損害賠償を支払ったり、未払いの残業代などを支払ったりするなど労力もコストもかかるのです。

スムーズでシナジー効果の高いM&Aを成功させるためにも、労務面のトラブルやリスクがないか、その可能性がある場合は対処が可能かを労務デューデリジェンスによって精査する必要があります。

>>会社売却の時に行うデューデリジェンスって具体的に何をしているのか?

どのような調査をするのか?

労働法制の遵守ができているかをはじめ、社内の人事制度や就業規則の内容および運用実態、組織風土や採用活動の状況、従業員の年齢構成や離職率、離職事由や懲戒処分の履歴の精査から、給料の支払いや社会保険の適用と実施状況から法定外福利厚生制度やその実施状況に至るまで丁寧に確認を行っていきます。

給料の未支給はもちろん、残業手当や代休手当の未払いがないか、社会保険の未加入や未払いはないかなど労働関係に起因する隠れ債務を明らかにすることも重要な作業です。

会計帳簿には浮き彫りにされていない簿外債務の存在を明確化し、想定外のトラブルや事態の発生に伴い顕在化する偶発債務を洗い出すことも必要です。

より厳密に調査をしてリスク対策を講じるには、偶発債務リスクの高い項目についての調査も行いましょう。

労働基準法に則った労働時間の管理や管理監督者の取り扱いなどが適切になされているかを調査し、未払い賃金などが発生しないよう事前策を講じることも大切です。

>>M&Aで企業買収する際に行われる財務デューデリーとは

労務デューデリジェンスの流れ

まずは、どのような項目をどう調査していくか、目的とスケジュール、調査内容について専門家などと打ち合わせし、調査計画を立てましょう。

全体計画のスケジュールに沿って、対象企業の人事労務担当者や従業員の協力を得ながら調査を行っていきます。

対象企業の就業規則や労働者名簿、賃金台帳、労使協定、服務規程などをはじめ、各種の労務関連資料の提出を受け、精査していきます。

労務関連資料を分析したうえで、必要に応じて実際に対象企業の従業員などにヒアリング調査を行うことも必要です。

守られていない規程があったり、帳票類の誤記載を見つけたりした場合などのリスクがあるケースについて、状況把握や確認を行うために現場でのヒアリング調査も欠かせません。

これらの労務デューデリジェンスを通じて、労務監査報告書などのレポートをまとめます。

問題点を明確化したうえで、M&Aを行う前に改善できる点があるのか、どのような対策を講じればリスクが抑えられるのかの検討が必要です。

場合によってはM&Aを止める決断に至ることも少なからずあります。

一方で、改善策を講じたり、万が一、問題が顕在化した場合のリスク対策を講じたりしておくことで、リスクを抑えながら、M&Aにより、それを上回るメリットを享受する道もあります。

中小企業のM&Aにおける労務デューデリジェンスの重要性とは?

中小企業のM&Aにおける労務デューデリジェンスの重要性は近年非常に高まっています。

財務デューデリーと同様に買収後のリスクを考えると、労務デューデリジェンスが重要だということは理解できます。

労務デューデリジェンスの場合、特に残業代の支払いがしっかりと行えていたのか、退職金の支払い規定が定められているのかなどによって、決算書上では表れない簿外の債務が発生するリスクがあります。

このところ残業代未払による訴訟など中小企業にとって非常に大きな問題となっています。

実際に買収する会社において、そういった問題を抱えていないか?そういった従業員はいないかなど、確認は必要です。

しかしながら、表面化していないだけであって、隠れたリスクであることには変わりません。

労働問題が発生した時の、責任の所在や対処法、想定される負債の額など、買収前にしっかりと確認した上で、リスクを譲渡代金に反映させたり、最終合意契約書内に損害発生時の責任の所在を明確にするなどでリスク回避するしかありません。

売手企業としては、売却する際の足かせにもなりますので、労働環境の整備など、売却前からしっかりと準備や対応をしておくことが必要と言えるでしょう。

まとめ

M&Aで行われる各種デューデリジェンスの中でも、近年重視されているのが労務デューデリジェンスです。

主な調査内容は、人事制度、就業規則の内容や運用実態などです。

特に、残業手当などについては、社会問題化もされているので、買手企業は十分に調査する必要があります。

こういったリスクを回避するためには、買手企業はリスクを譲渡代金に反映させたり、最終合意契約書内に損害発生時の責任の所在を明確にするなどでリスク回避するしかありません。

売手企業としては、売却する際の足かせにもなりますので、労働環境の整備など、売却前からしっかりと準備や対応をしておくことが必要と言えるでしょう。

>>買収する際の簿外債務のリスクとその対処法とは?


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