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M&Aにおける退職金の算出方法と納める必要がある税金とは



M&Aのうち、株式譲渡や事業譲渡では、従業員や役員が退職することになる場合があります。このとき、必ず退職金を受け取れるわけではありません。退職金の前提条件を満たしているか確認したうえで、退職金額を計算しましょう。ここでは、M&Aにおける退職金の算出方法と、納税が必要な税金について詳しくご紹介します。


退職金を貰うための前提条件



まずは、自分が勤めている会社に退職金制度があるか確認が必要です。退職金制度は法律で義務づけられていないため、設けられていない会社が少なくありません。就業規則で退職金制度が定められていない場合、会社が退職金を支給しなくても違法ではないのです。


退職金制度の有無は、就業規則や給与明細を見ることで確認できます。就業規則は、社員であれば誰もが簡単に確認できるべきですが、申請しなければ確認できない会社もあります。就業規則の確認方法がわからない場合は、労務関連の担当者に聞いてみましょう。


また、給与明細に「退職金掛金」や「企業年金掛金」、「確定給付掛金」などの欄がある場合は、会社負担のある退職金制度が存在します。これらの制度は、給与から掛け金を差し引き、退職金に充てる仕組みです。


また、退職金には、退職時にまとめて支払う退職一時金制度と、退職後に分割して定期的に支払う退職年金制度があります


>>M&A買収時に行う労務デューデリジェンスとは


M&Aにおける役員退職金と税金



それでは、役員退職金額と税金について詳しくみていきましょう。


役員退職金の計算方法



M&Aを機に役員が退職するときは、役員退職金を受け取れます。一般社員が受け取る退職金と計算方法が異なり、高額になる傾向があります。役員退職金の計算式は次のとおりです。


退職時の月額報酬×役員勤続年数×功績倍率


功績倍率とは、会社への貢献度を数値化したもので、一般的には2~3倍となります。例えば、退職時の月額報酬が50万円、役員勤続年数が22年、功績倍率が3の場合に受け取れる退職金額は次のとおりです。


50万円×22年×3

=3,300万円


功績倍率は一般的に2~3倍と言われています。


この数値以上の掛け目となる場合は、税務調査で否認される可能性があります。




税務調査で否認されると、損金計上ができないため、追加の税金が発生するリスクがありますので、事前に税理士などの専門家に相談の上、功績倍率は決定しましょう。


退職金にかかる税金の計算方法



退職金は課税対象のため、所得税がかかります。所得税額の計算式は、一般社員も役員も同じです。


(退職金支給額-退職所得控除)×1/2×税率-控除額


上記のうち、退職所得控除の計算式は次のとおりです。


勤続20年以下の場合・・・40万円×勤続年数

勤続20年以上の場合・・・800万円+70万円×(勤続年数-20年)


例えば、勤続年数22年の場合の退職所得控除額は以下のとおりです。


800万円+70万円×(22年-20年)

=1,740万円


そして、税率と控除額は、課税退職所得金額に応じて決まります。課税退職金額の計算方法は次のとおりです。


(3,300万円(退職金支給額)-1,740万円(退職所得控除額))×1/2

=780万円(課税退職所得金額)


課税退職所得金額が780万円の場合、税率は23%、控除額は153万6,000円です。


税率は以下の表を参考にしてください。




それでは、課税退職所得金額に税率をかけて、控除額を差し引きましょう。


780万円(課税退職所得金額)×23%(税率)-153万6,000円(控除額)

=25万8,000円(所得税額)


このように、月額報酬が50万円、役員勤続年数が22年、功績倍率が3の場合は、25万8,000円の所得税がかかります。


M&Aにおける従業員の退職金はどうなる?



M&Aにおける従業員の退職金は、株式譲渡と事業譲渡で扱いが異なります。それぞれの対応について詳しくみていきましょう。


>>会社売却ではどのタイミングで社員や金融機関に報告するべきか


従業員の退職金の計算方法



従業員の退職金の計算方法には、次の5つです。


最終給与連動方式



退職時の基本給から退職金額を算出します。


退職時の基本給×支給率×退職事由係数


退職理由や支給率は、勤続年数や退職理由が自己都合か会社都合かで異なります。


全期間平均給与方式



入社から退職するまでの基本給の平均を元に退職金額を計算します。


在職中の基本給の平均×支給率×退職事由係数


基本給がほとんど上がらない会社の場合、必然的に退職金が少なくなります。


別テーブル方式



基本給とは別に、退職金計算用の第二基本給を決めておく方法です。


第二基本給×支給率×退職事由係数


第二基本給の設定により、大幅な賃金増加によって退職金が高くなりすぎるのを防げます。


勤続年数別定額方式



勤続年数に応じて一定の退職金を積み立てる方法です。


積立てた合計額×支給率×退職事由係数


勤続年数が長いほどに退職金が高くなります。


ポイント制方式



1年ごとにポイントを付与して、退職時の合計ポイントから退職金を計算します。



ポイント累計値×支給率×退職事由係数


1ポイントごとに1万円など、金額を設定します。


株式譲渡の場合の対応



株式譲渡は、株式を移転することで経営権を移転させる方法です。そのため、従業員の雇用は継続され、基本的に給与や退職金制度なども変更になりません。現行の就業規則に記載されている退職金制度に基づいた金額が支給されます。


事業譲渡の場合の対応



事業譲渡では、買収側の会社と新たに雇用関係を結ぶ必要があります。この場合、買収先の就業規則に従うことになります。ただし、買収された会社を退職した事実に変わりはないため、買収された会社の退職金制度に基づいて、退職金を受け取ることが可能です。


事業譲渡の場合での退職金の扱いは、次のいずれかになります。


(1)買収された会社(売手側)の退職金制度に従って退職金を受け取り、今後は買収した会社の退職金制度に従う


(2)買収された会社(売手側)が買収した会社に退職金を承継し、従業員が買収した会社を退職する際に支給する


(2)のケースでは、退職金額を譲渡価格から差し引く形で対応することが一般的です。


M&A関連の退職は会社都合になる?



退職金額は、自己都合退職と会社都合退職で異なります。


自己都合退職とは、従業員の判断や個々の事情によって退職することです。

会社都合退職は、普通解雇や退職勧奨、倒産など、会社の都合によって退職することです


M&Aは、一見会社都合による退職に思えるかもしれませんが、M&Aだけを理由に自らの意思で退職した場合は自己都合退職になります。M&Aの影響で勤務地が変わったことで通勤できなくなったり、給料が大幅に下がったりした場合、さらには労働契約や労働条件が大幅に変わったりした場合には、会社都合と判断される可能性があります。


会社都合になるかどうか、自己判断してはいけません。会社と十分に話し合い、諸条件を確認したうえで、自己都合退職と会社都合退職のどちらになるのか確認しましょう。もし、明らかに会社都合退職なのに自己都合退職とされてしまった場合は、ハローワークに相談してください。


調査の後、会社都合退職に該当すると判断された場合は、会社都合退職の扱いに変更してもらえます。自己都合退職と会社都合退職では、失業給付を受け取れるまでの期間が異なります。どちらでも良いと思って退職すると大きな問題が起こる可能性があるため注意が必要です。


株式譲渡代金と退職金への課税の比較



退職金にかかる税金は先に説明したとおりです。M&Aでは、株式譲渡の代金にも税金がかかるため、確認しておきましょう。株式譲渡にかかる税金の名称は、譲渡所得税です。譲渡所得税は、以下の税金で構成されます。


・所得税(15%)

・復興特別所得税(0.315%)

・住民税(5%)


つまり、全部で20.315%の税金がかかります。例えば、2,000万円の株式譲渡代金を得た場合の税金の計算方法は次のとおりです。


2,000万円(株式譲渡代金)×20.315%

=406万3,000円


このように、株式譲渡代金が2,000万円の場合は、406万3,000円の税金がかかります。株式譲渡代金によって税額は大きく異なりますが、一般的には役員退職金よりも高くなるでしょう。


>>株式譲渡と事業譲渡との具体的な違いとは


損をしないために事前に税理士への確認が重要



M&Aを実行する際には、事前に税理士に確認をとりましょう。株式譲渡を選択した場合、株式譲渡代金から役員退職金を差し引き、退職の際に譲渡先から受け取る方法を選ぶことが大切です。株式譲渡代金を圧縮できることで、税金の負担が軽くなります。


このように、知識があるかどうかで税金を抑えられるかどうかが決まるため、M&Aを実行する前に税理士に確認をとることが大切です。


中小企業のM&Aの場合の退職金の注意点



これまでにM&Aに関する役員の退職金、従業員の退職金についてお伝えしてきました。


ここでは、買収する企業(売手側)の企業価値を算出する際の退職金の取扱いのポイントについてお伝えしします。


売手側企業に退職金規定はあるか



まずチェックしなければならないのは、売手側の企業に退職金規定があるかどうかのチェックが必要です。

チェックするためには、就業規則などで確認をしましょう。


退職金規定がある場合



退職金規定がある場合は、会社で積み立てを行っているかどうかをチェックする必要があります。退職金規定があるにも関わらず、積み立てを行っていない場合は、今後の負債(支払わなければならない債務)となりますので、企業評価をする上で、企業価値から差し引いて評価する必要があります。


退職金規定がない場合



退職金規定がない場合は、特段、企業価値に影響を与えることはありません。


一方、就業規則がないから退職金規定がないとするのではなく、就業規則がない場合は、速やかに就業規則の作成を行い、退職金規定について明記をしておく必要があります。


規定がなくても、これまでの実績として退職者に退職金を支払っている場合は、退職者から請求されることもありますので、実態に則した判断が必要になります。


>>企業を買収する場合の簿外債務のリスクとその対処法とは


まとめ



M&Aで役員や従業員が退職する際には、就業規則に退職金制度が記されていれば退職金の支払い義務があります。退職金制度があるかどうか確認したうえで、退職金額を正しく計算しましょう。また、税金に関しては税理士に確認することが大切です。M&Aの仲介会社に相談すれば、信頼できる税理士を紹介してもらえるでしょう。



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