M&A
2022/07/14
後継者がいないときは、廃業や事業承継、M&Aの中から選ぶ必要があります。
それぞれのメリットとデメリットを踏まえて、現状に合った方法を選ぶことが大切です。
また、後継者がいなくて悩んでるときは、専門家に相談すると解決に向けてスムーズに事が運ぶ可能性があります。
そこで今回は、後継者がいないときの選択肢それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説しつつ、後継者がいないときの相談先を紹介します。
目次
帝国データバンクの『全国社長年齢分析』によると、2020年の社長の平均年齢は60.1歳でした。
1990年以降、初めて60歳を上回り、事業主の高齢化が進行していることがわかりました。
60代以降は大病のリスクも上がるため、ある日突然倒れたり重大な病気が発覚したりすることも少なくありません。
そのため、あらかじめ後継者を見つけて育成し、いつでも経営者交代ができるように準備しておくことがポイントです。
しかし、後継者がいないために、承継の準備ができていない会社が多いのが現状です。
日本政策金融公庫総合研究所『中小企業の事業承継に関するインターネット調査」(2020年)』によると、廃業理由の約3割が後継者不足によるものでした。
その内訳は、「子どもががいない(12.5%)」、「子どもに継ぐ意志がない(12.5%)、適当な後継者が見つからない(4,3%)」です。
それでは、後継者がいない理由について詳しく見ていきましょう。
後継者候補はいるものの、後継者に求められる素養を持たないために悩んでいるケースがあります。
経営者には、個人スキルだけではなく経営のセンスや論理的思考力、先を見通す力、リーダーシップなど、さまざまな素養が求められます。
このような素養を持つ人はそれほど多くは存在しません。また、素養を持っていても現経営者はもとより本人も気づいていない可能性もあります。
後継者の選出は完了しているものの、十分に育成できていないために承継できずにいるケースもあります。
後継者を経営者の近く配置して経営のノウハウを学ばせるには、環境整備が必要です。
また、経営者が時間を作って育成に励む必要もあります。忙しい日々を過ごすことで後継者の育成が疎かになり、なかなか準備が完了しなくなるのです。
また、後継者のモチベーションが低いと、どれだけ教育を施してもなかなか成長しません。
10年で完了するところ20年かかってしまえば、経営者が高齢になることで事業承継が間に合わなくなる恐れがあります。
後継者候補はいるものの、本人に事業を引き継ぐ意思がないケースもみられます。
経営者に対して、「楽そう」「お金持ち」といった楽観的なイメージを持つ方もいますが、経営者の大変さを理解している人もいます。
そのような人は、経営者になりたくないと思う場合も少なくありません。
後継者問題を放置すると、経営者の高齢化によってリーダーシップを発揮できなくなったり、機転の利いた経営判断が困難になったりする恐れがあります。
また、ある日突然倒れたり亡くなったりして、会社を急遽畳むことになる可能性も否定できません。
そうなれば、従業員は路頭に迷うことになり、さらには多額の負債が残る可能性もあるでしょう。
残された家族にも大きな負担がかかる恐れがあるため、やはり後継者問題は解決しておくべきと言えます。
それでは、後継者がいないときは、どのように行動すればよいのでしょうか。
続いて、後継者がいないときの選択肢3つと、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。
廃業とは、会社の経営をやめて資産を換価し、負債を清算して会社を畳みます。
資産が負債を上回れば、その差額を経営者が受け取ることも可能です。
ただし、上場企業は経営者以外も株式を取得しているため、全ての利益を経営者1人が得ることはできません。
持ち株の配分に応じて分配します。
廃業のメリットは、後継者問題を含め経営者の重圧から解放されることです。
利益が出ていれば、多くの資産を築いて悠々自適の老後を迎えることもできます。
廃業の年齢によっては、利益を元手に第二のプランを立てることも可能です。
ただし、より多くの利益を得たいのであればM&Aの方が適しているケースもあります。
機械設備や建物などを換価処分するにしても、価値は半値からゼロ評価になります。
また、利益が残っても法人税がかかるうえに、生産配当の際にも所得税などがかかります。
そのため、廃業すれば莫大な資産を得られるというケースは少ないでしょう。
また、廃業すれば従業員とその家族が路頭に迷うことになりかねません。
特に、従業員がある程度高齢の場合、転職先がなかなか見つからないことも危惧されます。
長年にわたり会社を支えてきてくれた従業員に迷惑をかけたくないと思う経営者が多いのではないでしょうか。
M&Aは、企業の合併や買収のことです。
親族以外の第三者に会社を引き継ぎます。
主に大企業が中小企業を買収したり、中小企業同士が合併して支え合ったりするために行われます。
M&Aで会社の経営権を譲渡する場合、個人保障を外すうえに負債も引き継ぐことが多く、引退した時点で個人として負債を負うケースはほとんどありません。
さらに、資産が時価相当の評価となるうえに営業権も考慮されるため、多額の現金を受け取れる可能性があります。
さらに、株式譲渡による利益にかかる税率も20.315%のため、会社の精算時にかかる配当課税(最高55%)よりも低く抑えられます。
そして、何よりもメリットは廃業を免れられることでしょう。
従業員が路頭に迷うことも取引先に多大な迷惑がかかることもありません。
M&Aにデメリットはありませんが、十分に準備をしないと相性がよい買い手に巡り会えなかったり、悪い条件で譲渡することになったりするリスクがあります。
そのため、専門家のサポートを受けつつ、買い手を探すことが大切です。
また、交渉や諸手続などに数ヶ月~1年程度かかる点にも注意しましょう。
早めに行動しなければ、企業が最も高く売れるタイミングを逃してしまう恐れもあります。
廃業とM&Aを決断するタイミングは、後継者がいない状況で引退を考えたときです。
年齢的な問題、精神的な負担が限界に達したなど、経営をやめたくなったりやめざるを得なくなったりしたときに、廃業やM&Aを検討しましょう。
後継者がいないときは、まずどのように行動すればよいか専門家に相談することをおすすめします。
廃業・M&Aの相談先は次のとおりです。
実際に会社を廃業したり売却したりした知り合いの経営者に話を聞きましょう。
実際に行った結果、後悔はしていないか、どのようなトラブルが起きたかなど、情報をなるべく多く集めてみてください。
そうすれば、廃業とM&Aのどちらを選ぶべきか判断しやすくなります。
顧問税理士や弁護士、公認会計士などに相談するのも1つの方法です。
いずれの専門家もM&Aの買い手候補のネットワークを持っています。
ただし、仲介会社やアドバイザーと比べるとネットワークに乏しいため、スムーズに理想の買い手が見つからない可能性もあります。
金融機関によっては、M&Aの専門部署を持っており、士業や専門機関とも連携しています。
また、買い手側のサポートとして融資を行っていたり、あらゆるサポートをしてもらえたりします。
ただし、金融機関の中には大企業のM&Aを専門としているところもあるため、まずは相談してみるとよいでしょう。
商工会・商工会議所などは経営者と接する機会が多いため、相談しやすいのではないでしょうか。
公的な支援制度の情報提供や専門機関の紹介なども可能です。
また、商工会議所が仲介業としてM&Aをサポートするケースもあります。
事業承継・引き継ぎ支援センターは、事業承継問題の解決を目的に発足された公的機関で、利用料は一切かかりません。
専門家とのネットワークを持っているため、相談内容に応じて連携・紹介してくれます。
ただし、規模が大きい案件については得意としておらず、この場合は民間業者を頼る方がよいでしょう。
M&A仲介会社は、買い手と売り手の間に立ち、中立な立場で円滑なM&Aをサポートする業者です。
一方、FA会社は買い手・売り手のいずれかの利益を最大化するための業務を行います。
豊富なネットワークの中から理想の買い手を紹介するだけではなく、その高い専門性を持って取引がスムーズに進むようにサポートしてくれます。
後継者がいないときは、廃業かM&Aを選択することになるでしょう。
どちらを選ぶべきか迷った際は、専門家に相談することをおすすめします。
M&Aは事業承継センターや商工会議所などでも相談を受け付けていますが、専門的なサポートを求めるのならM&Aの仲介会社やFA会社を頼るのがおすすめです。
後継者問題は日本企業の大きな問題となっていますが、M&Aを選択することで自分だけではなく従業員にとっても良い結果になる可能性があります。
まずは、信頼できるM&A仲介会社、利益を最大化したいときはFA会社に相談してみてください。
2020/08/29
2020/08/12
2020/06/24
2020/06/22
2020/05/15
2019/04/24
ご相談は無料です。お気軽にお声かけください。
Copyright© 2021 MAIN.co.ltd. All Rights Reserved.