M&A
2018/08/15
目次
会社売却をする際に、【売却しやすい会社】【売却しにくい会社】が存在します。
つまり買手企業から評価される企業とされない企業があるのです。
会社を評価する場合に【定性評価】【定量評価】という2つの評価方法があります。
今回は【定量評価】、つまり財務面(【赤字/黒字/借入過多】)ではなく、企業としての【定性評価】事業面、組織面、人材面に焦点をあてます。
【定量評価】(財務面)の重要度はもちろん高いですが、準備したからといってすぐに改善されるわけではありません。
その意味で、今からでも準備可能な【定性面】で買手企業から評価が上がる方法についてお伝えします。
【定性面で評価される企業の特徴】【定性面で評価されにくい企業の特徴】についてそれぞれ見ていきましょう。
評価される企業の特徴 | 評価されにくい企業の特徴 |
・ビジネスモデルが【ストック型】 ・企業としての強みが明確 ・売上が数社に依存していない ・人材の年齢バランスが良い ・組織化されている ・管理体制が整っている |
・ビジネスモデルが【フロー型】 ・一部の人材、商品への依存 ・取引先が数社に依存している ・人材の高齢化 ・オーナー(経営者)がいないと会社が機能不全 (社長の影響力が大きすぎる) ・管理体制が整っていない |
では、会社売却しにくい会社は、売却の可能性は低いのでしょうか?
仮に現時点で売却しにくい会社だとしても準備すれば、売却しやすい会社(=買手企業から評価される会社)に十分になれます。
特に中小企業のM&Aにおいては、いかに買手企業に評価させ、認めてもらえるかが成功のカギです。
そのためにはしっかりとした準備が不可欠です。
ビジネスモデル(収益構造)は、企業を評価する上で、重要な要素です。
ビジネスモデルには【ストック型】と【フロー型】があり、一般的にはストック型のビジネスモデルが評価されます。
具体的なストック型のビジネスモデルとは、会員制のビジネスモデルやリピート率の高いビジネスなどがそれにあたります。
ストック型のビジネスモデルの特徴は売上高が顧客数の増加が比例する点です。
顧客が増えれば安定した利益が比例的に伸びるのです。
例えば今は、商材を販売して終わっているビジネスモデルをメンテナンスなど顧客との継続性を持たせるなど工夫をし、会社としての利益の安定化を図るなどです。
売上の安定性は売却先からすれば投資リスクを減らすことに繋がるので、売却先からは評価されるビジネスモデルと言えます。
収益のビジネスモデルを変更し、安定した売上構造にする準備しておくことは買手企業から評価される上で非常に重要です。
「会社の強みは何ですか?」とご質問を受けた際に、自信を持って「当社の強みはこれです!」と言える経営者も少ないです。
なかなか自信を持って
「これが当社の強みです」
と言える経営者も少ないのが現状です。
「まぁ…」
「しいて言えば…」
という声はよく聞きます。
ここで言う会社の強みとは、
ある分野、この地域では、当社が一番だと自社の顧客にアピールできるものを指します。
経営者の方に対して、
「売上がある=取引先や顧客が御社を選んで購入してくれている」ということです。
仮に現時点で明確に自社の強みを言えない場合は、
お客様や取引先に聞いてみることも1つの方法です。
「なぜ当社と取引して頂けているのですか?」
「なぜ当社の商品を購入しているのですか?」
その答えがきっと御社の「強み」です。
その強みを明確に売却先へアピールできるか、アピールできないかで売却先からの評価は全く違います。
今明確に言えないのであれば、取引先やお客様に聞いてみてください。
お客様があなたの会社の強みを一番よく知っているはずです。
自分の会社の強みを知るための準備を日々の営業活動などから行っておけば、いざという時に自信をもって買手企業へ伝えられるでしょう。
取引先については、一般的に1社~3社の取引先との売上シェアが80%以上あると会社の評価は下がる可能性があります。
理由は、そのうちどこかの取引先との契約が切れた場合のリスクがあまりにも高いからです。
売却を検討している企業が特殊な1社と取引をしているなら売却先から評価されることもありますが、それは稀なケースです。
現時点で数社の取引先に依存している売上構成であれば、他の企業との取引拡大も検討しましょう。
1社に対する売上構成も25~30%以下に抑えるように、売上構成の変更準備をしましょう。
人材については、企業内の年齢構成、バランスは売却先も見ます。
理想はバランスよく配分している企業は評価されます。
従業員の年齢50歳以上が多いというのは、買手企業側からすれば、企業統合後を考えるとリスクとして見なす場合もあります。
逆に若い従業員ばかりの場合は離職のリスクもあるので、やはりバランスが重要です。
また、勤続年数も買手企業は評価します。
従業員の勤続年数は、長い方が一般的に評価されます。
それだけ従業員にとって職場環境が良いと見られるからです。
人材の問題は、会社売却をする、しないを問わず、企業として取り組むべき課題です。
特に中小企業の場合は、人材不足に悩む企業が多く存在します。
日頃から人材については準備をし、企業継続のためにも人材確保の努力をしておく必要があります。
企業の組織は、業務フローや役割分担が各部門で明確になっているかに買手企業は着目します。
中小企業の場合、全てオーナー社長(経営者)が業務の決裁権限を持ち、経営者がいないと会社の運営が難しいという場合も多いです。
経営者が万が一売却後に退職した場合は買手企業からすればリスクが非常に高いと判断します。
理想の企業組織は、経営者がいなくても企業として運営が可能である状況が良いと言われています。
全てが経営者に依存している企業の特徴は、部下に仕事を任せない特徴があります。
準備としては、まずは経営者の業務内容の整理から着手します。
必ず経営者が行わなければならない業務とそうでない業務を仕訳します。
経営者が必ず行わなければならない業務以外は他の従業員へ移します。
最初は心配やストレス、多くの問題が起こるかもしれませんが、次第にその問題やストレスも解消されます。
結果として、経営者が今まで行っていた業務時間が減り、より経営者としての営業活動や企業のブランドイメージ構築の活動などを行う時間の確保が可能になるのです。
そうすることで自然と会社の価値も自然と上がります。
この会社の組織化(経営者の業務の分配)は、売却先からの評価を高めるだけでなく、企業評価自体を高める効果もありますので、是非取り組んでください。
管理ができている企業と管理ができていない企業では買手企業から見られるイメージは大きく異なります。
管理体制は、財務的な管理体制と人材の管理体制と2つの部門に分かれます。
財務的な管理体制は会社や事業を売却する前の評価に影響し、人材の管理体制は会社や事業を売却した後の評価に影響します。
財務面での管理体制評価は、決算書や提出される資料の信ぴょう性に影響を与えます。
管理できていれば、売手側から提出される資料の信ぴょう性も高まり、買手企業からは評価されます。
今後の事業計画などの数値根拠も達成の可能性を含め前向きにとらえてもらえるでしょう。
日頃の管理面がしっかりしていれば、企業の提出する資料は信頼できる買手企業からは判断されるのです。
一方、財務面での管理体制が構築できていない企業は、提出される資料などの信ぴょう性が低いと買手企業から思われます。
例えば、直近の試算表を依頼されたが、3カ月前の試算表さえ提出できない状況や、取引先の管理や建設業であれば工事台帳などがしっかりと管理できていないなど、買手企業から評価されることはありません。
むしろマイナスの評価となりますので、売却前から管理体制の構築をしておきましょう。
そもそも経営を行う上で、過去の振り返りを行う際に試算表は必要です。
売却する、しないに関わらず、経営を行う上で、最低翌月15日までには試算表が完成する管理体制の構築をしましょう。
人材の管理体制は会社売却後の評価に影響します。
人材の管理は、経営者以外で人材の管理(指揮命令)ができる体制かどうかを買手企業は評価します。
これは、近年の人材不足の影響もあります。
買手企業はM&Aで事業や会社を買収したとしても、任せる人間が社内にいない(十分ではない)場合があります。
特に中小企業の場合はなおのことです。
買収したいが、任せる人間がいないため買収を断念したケースや、遠方のため管理者を派遣することができず(買収した会社に任せられる人間がいなかった)に買収を断念したケースは数多くあります。
つまり、売却先も人材不足なので、買収後先に管理を任せられる人材がいることは、会社や事業を売却する上で非常に重要な要素となります。
その意味では、前述した【企業の組織化】と【人材の管理体制】の2つは買手企業にとっても、買収後の企業運営に大きな影響があるため構築できていれば評価は非常に高くなります。
一般的にはあまり言われていませんが、経営課題が明確な方が売却の可能性は上がります。
それは何故でしょうか?
キーワードは【シナジー効果】です。
買手企業が売手企業を評価する場合、現在の価値+今後の買収プレミアム(買収後のシナジー効果)を加味した金額で譲渡代金を算出します。
現在の会社の経営課題とその改善方法を、相手方に正確に伝えられれば、買収プレミアムの金額は大きく変わってきます。
買手企業に買収した後にどこに手を加えれば業績が改善するのか、どういったシナジー効果を生むことができるのか、
・自社の置かれている市場分析
・経営課題
・売上/利益向上への施策
この辺りを伝える準備をした上で、買手企業との面談に臨みましょう。
この経営課題が売却前に明確になっていることで、買手企業へのアプローチも変わってきます。
経営課題解決のリソースを持っている売却先へアプローチすることで、譲渡価格が高まる可能性があるのです。
会社売却で成功するための具体的な準備はしっかり行いましょう。
具体的に下記の7つの準備を重点的に行います。
①ビジネスモデル
②会社としての強みの明確化
③取引先の売上構成
④人材構成のバランス
⑤企業の組織化
⑥管理体制の構築
すべての項目を買手企業が譲渡価格を算定するために注意深く見ています。
仮に現時点では売却先が見つからない状況だとしても、上記の点を改善していくことで売却できる可能性は確実に上がります。
すぐに会社売却を検討していない企業にとっても、上記の準備を行うことで企業経営は必ず改善し、企業価値が高まることで、先々の選択肢はきっと広がるはずです。
是非、今のうちから準備や改善に取り組みましょう。
M&Aを成功に導くステップがあるのをご存じですか?
しっかりと準備を行い、成功への確実なステップを踏むことでM&A成功の可能性は更に高まります。
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