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「中小M&Aガイドライン」が中小企業のM&Aに与える影響とは

2020/09/01



2020年3月31日に、中小企業庁が「中小M&Aガイドライン」を公表しました。M&Aを検討している経営者のよくある悩みに基づいた内容となっています。ぜひ、確認してみてください。ここでは、中小M&Aガイドラインが策定された目的や概要、中小企業のM&Aに与える影響などについて詳しくご紹介します。




中小M&Aガイドラインとは



まずは、中小M&Aガイドラインが策定された目的と趣旨、概要についてみていきましょう。


趣旨と目的



中小M&Aガイドラインが策定された背景について詳しくみていきましょう。


ここ数年の中小企業のM&A市場では

・M&A業者の数が年々増加傾向にある

・M&A業者の選び方がわからないことがM&Aの実施率を低下させている

この問題を解決すべく、中小M&Aガイドラインが策定されました。具体的には、「M&Aの基本的な情報や手数料の目安など」を中小企業の経営者に伝えるとともに、M&A業者に対して「適切なM&Aの実施に必要な行動指針」を提示した内容となっています。


M&Aを実施する側とサポートする側の両方が共通の認識を持てるようになれば、M&Aの実績が増えることが予想されます。


概要について



中小M&Aガイドラインには、「後継者不在の中小企業向けの手引き」と「支援機関向けの基本事項」が記載されています。


画像引用:経済産業省『「中小M&Aガイドライン」について』2020年8月11日時点


実際のM&Aの事例を提示し、M&Aに対して「難しい」、「ハードルが高い」といったイメージを払拭することも掲げています。


>>M&Aアドバイザーの具体的な仕事は何でしょうか?


中小M&Aガイドラインのポイント



中小M&Aガイドラインを踏まえてM&Aを実施することで、契約・金銭トラブルやM&A業者選びの失敗などを未然に防げるでしょう。中小M&Aガイドラインに記載されている押さえておくべきポイントを詳しく解説します。


十分な事前準備



中小M&AガイドラインのP.26~には、中小M&Aに向けた事前準備について記載されています。中小M&Aにおいて準備すべきことは次のとおりです。


M&A業者や士業への相談



M&Aの実施には、各専門家のサポートが欠かせません。日々の業務を優先することで、M&Aを実施するベストなタイミングを逃すケースもあります。また、自ら得た知識だけでは、誤った判断をする恐れもあるでしょう。


そのため、M&A仲介業者やM&Aアドバイザー、税理士、公認会計士、中小企業診断士、金融機関、事業引継ぎ支援センターなどに相談することが大切です。


後継者がいないことを確認する



M&Aを実施するときは、後継者が不在なことを確認したうえで、家族や親族から了承を得ることが大切です。M&Aを進めている途中で後継者が現れると、プロジェクトを白紙に戻すことになるため、関係者各位に迷惑がかかります。


このような不備は従業員の士気にも関わるでしょう。事前に、「後継者になり得る人物」や「後継者になることを承諾した人物」がいないことを確認しましょう。後継者候補は、家族や親族、従業員などから選出します。一見、後継者になり得る人物でも、後継者になる気がなかったり従業員に受け入れられなかったりする場合があります。


後継者候補がいるのであれば、本当に後継者になれるのかどうかを考えましょう。


>>後継者がいない会社の選択肢とは


引退後の見通しとM&Aの条件



M&Aの実施後、経営者は退任します。その後、新たに事業を立ち上げるのか、アーリーリタイアで余生を楽しめるのかなど、今後の見通しを立てることが大切です。今後の見通しを立てることで、自然にM&Aの条件も決まってくるでしょう。


例えば、アーリーリタイアしたいのであれば、今後の生活費に困らないだけの金額で売却する必要があります。新たに事業を立ち上げる場合にも、立ち上げ資金になるだけの売却益を得たいところでしょう。


同時に、従業員の待遇などの条件も決めることが大切です。譲れない条件を決めておくことで、買い手との交渉がスムーズに進みやすくなります。


>>経営者としてハッピーリタイアするには?会社を高値で売却する方法


「見える化」と「磨き上げ」



中小企業のM&Aで成功には、自社を買いたいと思う買い手が必要です。そのためには、現状を「見える化」し、経営改善にて「磨き上げ」をしなければなりません。現状を把握できていなければ、適切に企業価値を算定できません。


そして、磨き上げなければ希望譲渡価額で売却できないでしょう。経営改善については、M&A業者や士業のサポートを受けながら、計画的に進めることが大切です。



FA(アドバイザリー)と仲介の比較検討



M&Aを実施する際には、仲介業者やFAの比較検討が必要です。業務形態や業務範囲、契約期間や報酬体系、実績などに注目しましょう。そのうえで、業者から十分な説明を受けつつ、積極的に質問をして不明点を解消することが大切です。


仲介業者とFAの違いについては次のとおりです。


セカンドオピニオンの重要性



仲介業者やFAを選定するときは、必要に応じて他の支援機関にセカンドオピニオンすることが大切です。1社からのみ説明を受けると、何が本当で何が誤りなのか理解できません。セカンドオピニオンによって視野が広がることで、より適切な選択が可能になります。


契約を締結してからでは、機密保持の観点から支援機関がセカンドオピニオンを認めないケースがあります。相談すれば、セカンドオピニオンを認める場合もありますが、基本的には契約締結前にセカンドオピニオンをして慎重に業者を選ぶことが大切です。


支援機関の基本姿勢



中小M&AガイドラインのP.51には、支援機関の基本姿勢について記載があります。M&A業者は、依頼主の利益を最大化すべく、適切なサポートを行うことが大切です。その結果、中小M&Aの促進に繋がり、10年後や20年後の後継者不足による廃業を未然に防げるでしょう。


M&A業者は、重要な判断を依頼主に求める際に、十分かつわかりやすい説明を心がける必要があります。そして、依頼主の同意を得たうえで進めることが基本です。


M&Aを取扱う会社の行動指針



中小M&Aの透明性と公正性を確保すべく、M&A業者の行動指針が中小M&AガイドラインのP.52で定められています。例えば、意思決定においては、依頼主だけで判断するのではなく、実践的な提案を行うことで意思判断を支援すべきとの見方を示しています。


重要なメリットとデメリットを明確に説明しつつ、企業情報を適切に取り扱うことが求められます。また、バリュエーション(企業価値評価・事業価値評価)の実施においては、評価を行う人物や企業によって結果が異なることや、具体的な評価方法について伝えることが大切です。


上記のほか、基本合意の締結やデューデリジェンス、最終契約の締結、クロージングからクロージング後まで、行動指針が定められています。全てに共通することは、「手続きのミスや説明不足、自社の利益を優先した対応などによって、依頼主の利益を損ねてはいけない」といった内容です。


専門家の役割



中小M&AガイドラインのP.51には、専門家の役割について記載されています。M&A業者は、買い手と売り手を繋げる仲介業務や手続きのサポート、スケジュール管理などを行います。金融機関は、取引先企業の経営状況を把握しているため、必要であれば積極的にM&Aを提案することが求められます。


そのほか、商工団体は身近な相談役として、状況に応じて適切な支援機関を紹介するなどのサポートを行うことが重要です。そして、税理士や弁護士などの士業は、契約書の内容の確認や納税に関するアドバイスなどを行います。


適正な報酬の在り方



M&A業者へ支払う報酬体系には、着手金や月額報酬、中間金、成功報酬などがあります。報酬体系に法的拘束力はありません。そのため、依頼主としては報酬が業務内容に見合っているかどうか確認し、納得したうえで契約を締結する必要があります。


そのためには、報酬の算定方法や発生時期などの確認が必要です。また、事業引継ぎ支援センターなどへ報酬に関するセカンドオピニオンをしてもよいでしょう。


>>会社売却をする際の手数料の相場はどのくらいでしょうか?


中小M&Aガイドラインが中小企業のM&Aに与える影響とは



中小M&Aガイドラインが策定されたことで、依頼側は業者の対応や報酬が適切か判断しやすくなりました。また、業者の対応に違和感を覚えたときは、ガイドラインを参照することでトラブルを未然に防げる可能性があります。


M&A業者側は、ガイドラインの内容に基づいて業務を遂行することで、結果的に依頼主から信頼を得られ、利益獲得へと繋がります。ガイドラインによってM&Aが促進されることで、日本が抱える後継者問題の解消に近づくでしょう。


まとめ



中小M&Aガイドラインには、M&Aのスキームや報酬の考え方、各専門家の役割などが詳しく記載されています。トラブルを防ぎ、利益を最大化するためにもガイドラインを参考にすることが大切です。業者の打ち合わせでガイドラインを使用すれば、より円滑にM&Aを実施できるでしょう。



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