経営改善
2022/05/23
バックオフィス業務は企業の経営を支える重要な業務です。
優れたスキルを持つ人材が求められますが、未経験でも実務経験を積むことで企業を支える裏方として活躍できるようになります。
バックオフィス業務のレベルを高めれば、経費削減、経営力の向上など、さまざまなメリットを得られます。
ここでは、バックオフィス業務の種類や重要性から効率化するメリット、効率化に役立つツールまで詳しく解説します。
目次
バックオフィス業務とは、顧客とは直接的な関係を持たない企業の裏方としての業務のことです。
経理や財務といった企業のお金の流れを担当する業務、新卒採用や中途採用、人事評価などを担当する人事などがあります。
なお、バックオフィスの反対の概念となるフロントオフィスは、顧客と直接関係する営業職やカスタマーサポートなどを指します。
バックオフィス業務と一言でいっても、さまざまな種類があります。企業を支えるバックオフィス業務の種類とそれぞれの仕事内容について、詳しく見ていきましょう。
経理は、企業のお金の流れを記録する事務職です。
取引におけるお金の流れを記録し、経営者や関係各所へ報告します。
売上や仕入れ価格、売掛金、給与支払い、交通費の精算、資産の購入・売却の処理など、お金に関する業務を網羅的に担当するため、幅広い知識が必要です。
人事は、新卒採用や中途採用の募集や選考、内定者との連携といった採用業務、OJTやオンライン研修などによる社内研修、業績評価や能力評価などの制度の作成、人員配置などを担当します。
労務は、給与計算や福利厚生の管理、社会保険料の手続きなどを担当する業務です。
財務は、経理が作成した財務諸表や帳簿などから予算や資金を管理したり、資金調達や余剰資金の運用を行ったりします。
財務は、余剰資金の過剰な投資や高すぎる予算設定などの問題を改善し、お金の面で企業を支える業務です。
また、資金調達においては融資を受けるための金融機関との交渉、資産運用のための投資先の決定なども行います。
そのため、お金に関する専門知識だけではなく、計画性や行動力、交渉力なども必要です。
総務は、バックオフィス業務の中でも企業全体に関わるさまざまな業務を担当します。
例えば、代表電話への対応、代表メールへの問い合わせの対応、社内文書の作成、来客対応、備品管理などです。
また、企業規模が小さい場合は総務が人事や経理なども担当することがあります。
一般事務の仕事は、所属する部署への問い合わせ対応、顧客情報の入力、営業担当者との連携、見積書や請求書の作成、議事録や決算書類の作成などです。
また、備品発注やOA機器の管理、郵便物の管理なども行うことがありますが、総務が担当する場合もあるなど企業によって異なります。
バックオフィス業務は顧客と直接関わらないため、利益を生み出さない業務と思われがちです。
しかし、バックオフィス業務の質が低いと、優秀な人材の確保や適切な投資活動、資金調達、予算設定などができません。
バックオフィス業務ができているからこそ、フロントオフィス業務も成果を挙げることができます。
バックオフィス業務は、適切な方法で実施しなければ大きなトラブルが起きる場合があります。
課題を抽出し、1つずつ適切に対処しましょう。バックオフィス業務には、次のような課題があります。
バックオフィス業務では、専門知識やノウハウ、経験などが必要な場合が多く、特定の人物によって成り立っているケースも少なくありません。
例えば、担当者Aによって経理が成り立っている場合、そのAが退職してしまうと経理業務が立ちゆかなくなるでしょう。
これを業務の属人化といいます。業務の属人化を防ぐには、同レベルの人材を最低2人は確保したいところですが、なかなか採用が進まなかったり人材が育たなかったりして属人化が進みます。
十分なスキルを持つ人材を確保したくても、なかなか採用ができない場合があります。
中途採用と同時に新卒採用した従業員の育成を進めることで、十分なスキルを持つ人材を効率的に確保できます。
企業は従業員によって成り立っていますが、その従業員は定期的に入れ替わるため、高いレベルの人材は常に探すことが重要です。
バックオフィス業務はデジタル化が遅れがちで、紙の資料で管理していたり承認スキームが複雑化していたりします。
例えば、業務マニュアルが紙の資料だと、必要なときにすぐに参照できません。
デジタルデータであれば、求めている情報を検索すれば、そのページを瞬時に参照できます。
これを時間に換算すると、10~20分ほどの差が生じるでしょう。
このような問題がいくつも積み重なると、膨大な時間をロスすることになるため、バックオフィスの業務効率化は急務と言えます。
バックオフィス業務を効率化するメリットはコスト削減だけではありません。
企業の経営力、人材育成力にも影響を与えます。
バックオフィス業務を効率化すべき理由について詳しく見ていきましょう。
バックオフィスの業務効率化は、従業員のモチベーションアップや離職率の低下、情報漏えいのリスク低下などに繋がります。
これらは結果的に企業の収益性や安定性の向上にも繋がるでしょう。
例えば、経理・財務においてお金の流れの把握、及び適切な予算設定ができれば、注力すべき事業に必要なコストを投入し、事業拡大の可能性が高められます。
バックオフィス業務は目立たない反面、企業の経営力に大きな影響を及ぼすのです。
バックオフィス業務を効率化すれば、1時間あたりの生産性が向上します。
同時に、新人教育にかける時間も確保しやすくなり、高いスキルを持つ人材の育成を促すことができます。
高いスキルを持つ人材が育てば、業務の属人化や繁忙期における人材不足などの防止に繋がるでしょう。
バックオフィス業務の効率化を目的にデジタル化を進めれば、結果的に経費削減ができます。
1つの業務にかかる時間が短縮できれば、より多くの業務を担当できるようになります。
必要な人員数も少なくなるため、人件費の削減やオフィス家賃の節約に繋がるのです。
また、ペーパーレス化ができれば印刷代や書類の保管費用などのコストも削減できます。
バックオフィス業務を見直そうにも、何から始めればよいかわからない管理者・経営者は多いでしょう。
次のポイントを押さえてバックオフィス業務の見直してください。
手作業で行う必要がない業務をツールで効率化する方法があります。
例えば、電卓で計算していたものをExcelの関数を使用すれば、正確かつスピーディーに計算できます。
また、関係者との連絡をメールではなくチャットツールに切り替えるだけでも、業務効率化が高まるでしょう。
ちなみにチャットツールは無料で導入できるため、高い経費削減効果を得られます。
他の業務においても無料ツールで効率化できる場合があります。
2022年に改正された電子帳簿保存法により、事前承認なしで決算書類や取引関係の書類を電子保存できるようになりました。
そのため、従来よりもペーパーレス化を推進しやすくなっています。
紙で管理していた情報をデータで管理することで、印刷代を削減できます。
また、データで管理している書類への捺印を電子印鑑で済ませれば、業務効率をさらに高められるでしょう。
バックオフィス業務は重要な業務ではありますが、必ずしも社内で行うべきとは限りません。
例えば、契約書や見積書の作成はアウトソーシングしても問題ない業務です。
一方、予算の設定や新卒採用などは気軽にアウトソーシングできる業務ではないでしょう。
バックオフィス業務の中でもアウトソーシングできる業務とできない業務を明確化し、アウトソーシングをうまく活用してみてください。
バックオフィス業務を効率化する際は、ツールやサービスの利用が欠かせません。
主に次のようなツール・サービスを使うことになるでしょう。
RPA(Robotic Process Automation)は、処理手順をあらかじめ登録することで、複数のシステムやツールと連携して実行できるシステムです。
例えば、社内書類のチェック、データ分析といった定型的な作業を登録すれば、全て自動で行ってくれます。
システムに任せることで人為的なミスが減り、業務効率化にも繋がります。
クラウドソーシングとは、業務を発注したい企業(個人)と仕事を受注したい個人を繋げるサービスです。
経理や財務などの経験が豊富な人材も登録しているため、自社に適した外注先が見つかる可能性があります。
ただし、受注側のプロフィールが真実かどうかを確認するために、履歴書や職務経歴書の提出や面接選考などは行った方がよいでしょう。
電子契約システムとは、インターネット上のやり取りで契約を締結するシステムです。
指定のメールアドレスに電子契約書のURLが送付され、そのリンク先で署名と捺印をします。
そして、双方がデータで契約書をダウンロードして保管する流れです。
契約書の送付や返送の手間と時間を大幅に軽減できるうえに、契約書を紛失するリスクも抑えられます。
バックオフィス業務は企業の収益性や安定性、人材力に影響を及ぼします。
業務効率化を進めつつ高いレベルの人材を多く確保することで、バックオフィス業務を強化できるでしょう。
業務効率化したいときは、ペーパーレス化やコスト削減を目標にツールやサービスを利用することがポイントです。
今回、解説したバックオフィス業務の課題や業務効率化の重要性、お役立ちツール・サービスなどをぜひ参考に、業務効率化を進めてみてください。
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