経営改善
2019/08/13
黒字倒産をする原因は、ずばり「資金繰り」と「キャシュフロー」の悪化です。
・ 利益は出ているが資金繰りが回らなかった。
・ 黒字なのにフリーキャッシュフローがマイナスになっている。
こういった理由で黒字倒産は起こっているのです。
なぜ、黒字なのに資金繰りが厳しくなるのか?
その理由を見ていきましょう。
目次
赤字経営が続いた結果、銀行から借入が増え、新たな借り入れができず返済しきれない借金が積みあがった結果、債務超過の状態に陥り倒産という流れは、誰でも容易に理解できるところです。
それに対して、黒字経営なのになぜか倒産してしまう企業もあります。
経営にあたってはずっと黒字決算が続いているのに、なぜかいきなり倒産してしまうのは、一見すると不可解にも見え、誰もが「なぜなのか?」と疑問を抱くことでしょう。
けれど、これにはきちんとした理由があります。
何年もの間、赤字が続いているというのに、会社は一向に倒産せずに存続している会社もあります。
赤字なのに倒産せず、黒字なのに倒産することの最大の理由は、「資金繰り」にあります。
さらに言えば、会社がどの程度の資金を持っているかにかかっていると言ってもいいでしょう。
会社は事業を起こすにあたって資本金を用意し、これを元手にして事業を運営しています。
設立当初は資本金と日本政策金融公庫などからの、創業融資を元手に事業をしています。
会社が大きくなるにつれて、従業員が増えたり、新規出店による設備投資が増えていくものです。
多くの中小企業が、このように人材や設備投資から売上の拡大、そして新たな投資を行うサイクルで企業を大きくしていきます。
その中で、利益による資金だけでなく銀行からの融資などをうまく利用しながら、更なる売上や利益の増加を目指していくことが企業活動と言えます。
もちろんその過程で利益も出ているので、決算書上の営業利益は黒字です。
しかしながら、黒字経営で利益を上げているものの、企業経営における支出(借入の負担や設備投資など)も多いとなると、資金繰りにおいて問題が生じる可能性があり、これが黒字なのに倒産するに最も多い理由と言えます。
会社の経営は順調で黒字経営が続いているものの、支払いのためのお金は利益によって賄っているという自己資本金の少ない会社の場合、資金繰りのタイミングのずれが原因で黒字倒産に至ることが多いのが特徴です。
企業経営においては、まず仕入れが発生し、品物が売れたときやサービス利用によって収益を得ます。
ここで注意すべきは、この利益金が発生するのは常に事業を行うために必要な支払いの後だということです。
黒字で収入が多いうちは、金融機関からの融資などを利用し仕入れをしたり、サービス提供や広告宣伝に資金を使ったりしたとしても、しばらくするとそれを上回る収入が入ってきます。
これでうまく資金繰りができ、会社は黒字を続けていくわけですが、このサイクルが一度つまずいて歯車が狂い出すと、たちまち資金繰りが困難になってしまうのは明らかです。
例えば、手形で取引をしている業種の場合、支払いから収入までの間にタイムラグが生じることにより、支払いのタイミングにお金がなく、不渡りを出してしまえば、金融機関からの信用は一気に失墜しますので、その後は融資先も見つからなくなってしまうでしょう。
金融機関の融資で資金繰りの大半を賄っていた場合、肝心の融資が止まってしまったとなると、利益を生み出していた商品製造やサービス提供そのものができなくなり、黒字だったのに倒産してしまったということになるのです。
企業運営における利益金の収入は、仕入れを行った1~2ヶ月程度遅れて入ってくるというのが通常の流れとして一般的です。
つまり、利益金を仕入れに使うには、早くて1ヶ月、長ければ3ヶ月待たないと企業活動における回転資金がないという状態になります。
利益金を運転資金に使えるようになるまでの間のお金を融資に頼る場合、いかに資金繰りに行き詰まることなくお金を回していけるかを考えることが最も重要です。
これがいわゆるお金の流れを掴むことで、キャッシュフローの把握とも呼ばれます。
業績はぐんぐんうなぎのぼりで右肩上がり、利益もどんどん増えているからと仕入れを増やしていくと、支出も右肩上がりに増えていきます。
結果的に資金は増えず、内部留保金も貯まらないにも関わらず、財務上は好調に見えることから、リスクに気づきにくいのです。
仕入れは売り上げを生むために先立って行いますので、業績好調だからと仕入れを増やしたところ、急に売れ行きが悪くなり、在庫を抱えたりサービス料者が減ったりすると、当然のことながら数ヶ月先に入ってくるはずだった利益金は少なくなります。
一方で仕入れは増やしていますので、その分だけ支払い額が増加し、見込み違いが発生するわけです。
これだけの利益が入ると見込んで仕入れを行ったのに、支払えるだけの利益が入って来なかったことによって、一気に資金ショートのリスクが高まります。
日ごろからキャッシュフローに目を配り、仮に売れ行きが鈍ったとしても数ヶ月は自己資金でやっていけるような財務状況にしておきましょう。
黒字倒産を回避するためには資金繰りの安定が最も重要です。
ここでは資金繰りの安定させる方法と安定した経営及び成長を続けていくためのポイントについてお伝えさせて頂きます。
資金繰りを安定させる最初の一歩は資金繰り表の作成です。
中小企業の多くの会社が資金繰り表を作成していません。
毎月の収支は試算表で確認していると言われる中小企業の経営者もいるかと思います。
ここで1つお伝えしておきたいことは「試算表」と「資金繰り表」は全く違ったものです。
試算表はあくまでも月次の損益の結果であり、資金繰りはお金の流れを見るものです。
そもそもの目的が違うのです。
なぜ資金繰り表が大事なのか?
それは今後6カ月から1年程度のお金の流れを事前に把握しておく必要があるからです。
多くの中小企業の経営者の方は、月末の資金が足りないということを早くて1ヶ月前、遅くて10日か15日くらいに気づいて急いで資金対策に動く傾向があります。
それでは遅すぎますよね。
遅くて1ヶ月前、できれば3ヵ月程度先の資金の状況は把握して行動を起こさなければいけません。
仮に資金が不足する場合は銀行へ融資のお願いにいくことになると思いますが、銀行に融資をお願いしても、流石に10日やそこらで融資が出ることはありません。
最低1ヶ月前に相談をすれば月末までには間に合うはずです。
そういった意味でも資金繰り表はしっかりと作っておきましょう。
業績がいいとついつい無理をして事業拡大をしたくなる経営者の方も多いのではないでしょうか?
しかし、無理な設備投資による過大な融資を受けたことによる返済負担の増加や急激な成長に人材教育が追い付かず従業員の不正やトラブルにより会社が一気に崩壊してしまったという事例は数多くあります。
無理な投資や無理な成長は控えた方がいいでしょう。
身の丈にあった経営を行い着実に成長していく経営方針の方が企業としては長く継続していくでしょう。
そのためにも事業計画の作成は行っておいた方が良いでしょう。
最低でも3年程度の事業計画の作成は行っておきましょう。
事業計画を作成することで、今後の設備投資や人材への投資にどの程度費用がかかり、その投資がどの程度売上向上に貢献するのかを数値として把握することが可能になります。
しっかりとした事業計画を作成することで、無理な投資はなくなり資金繰りを圧迫することなく企業成長が可能になるはずです。
資金繰り表、事業計画書が作成できれば、いつ資金が足りなくなるのか?いつ資金が必要になるのかがおおよそ把握することができます。
資金需要が把握できれば、必要な時に銀行に融資のお願いをしにいけばいいのです。
資金繰り表や事業計画書があれば、余裕をもって銀行と融資について話し合いが可能となります。
例えば、保証協会付融資はいつ頃折り返しを受けるか?日本政策金融公庫の融資はいつ頃折り返しを受けようか?プロパー融資の可能性はないのか?
そういった話を各金融機関と行い、必要な時期、必要なタイミングで適切な銀行融資を受けることが安定した企業経営に繋がります。
また、短期継続融資を利用して安定資金を確保するということも選択肢の1つかもしれません。
安定した資金を元手に企業を今以上に成長させたいと考える経営者もいるかと思います。
そんな経営者に対してはM&Aで大企業の傘下に入り、経営者は企業成長のみに集中し、資金等は親会社に補填してもらうという方法もあります。
最近は中小企業においてもM&Aが活発に行われています。
ベンチャー企業であっても、自社に魅力的な事業を持っていれば、買手企業から支援してもらえることも可能です。自社のみでの成長にとらわれることなく、どこかと手を組んでスピード感をもった企業成長を目指すというのもいいかもしれません。
黒字倒産の大きな原因は「資金繰りの悪化」です。
資金繰りが悪化する原因は、過大な設備投資や企業の急成長に資金がついてこないことです。
こういった原因で黒字倒産をせず、安定した企業経営を行うために下記の4つについてしっかりと準備、検討していきましょう。
1. 資金繰り表の作成
2. 事業計画書の作成
3. 計画的な銀行融資
4. M&Aという選択肢の検討
こういったことを準備しておけば黒字倒産の回避は可能です。
黒字倒産は急激に成長している経営者が陥りやすい問題です。
しっかりとした対策をしておけば回避できる問題です。
ご相談は無料です。お気軽にお声かけください。
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