M&A
2018/08/21
一般的に考えれば、自分の会社を最も高く評価してもらった会社に譲渡する、というのが当たり前のように感じます。
これが単純に物品や不動産であれば高く買ってもらえる人に売却するのが当たり前ですよね。
しかし、価格だけで決められないのがM&A(会社や事業の売却)なのです。
人や感情(経営者の想い)が絡んでくることで、単に企業価値を高く評価してくれた会社に決めることが幸せなのかどうか、経営者にとっては難しい選択を迫られます。
それでは、売手企業が買手企業を選ぶ際のポイントについて詳しくみていきましょう。
これまでのM&A業界では、売手と買手どちらが立場的に強いかと言えば、買手企業であったと言っても過言ではありません。
買手企業が投資を決断した場合にのみ、M&Aが成約するという点や救済的な側面も含めて、売手企業よりも買手企業の方が最終的な決済権限があるという意味からです。
しかし、近年のM&A業界では売り案件が不足していう現状から、売手企業が買手企業を選択することも多くなってきました。
それ程、現在のM&A業界は売り案件不足と言えます。
厳密に言えば、優良な売り案件(売手企業)が不足しているのです。
つまり、会社や事業に投資をしたい企業は多くいますが、投資する案件が不足しているという状況です。
よって、今までは買手企業にとって必要であった目利き力が、売手企業にも求められる時代になったきたのです。
では、具体的に買手企業を選ぶポイントとはどういったものがあるのでしょうか?
買い手候補の中から自社にとって、最も良い企業を選ぶことが売手企業の経営者には求められます。
その際の判断基準にはどういったものがあるのでしょうか?
3つのポイントに絞り解説したいと思います。
売手企業側の経営者(オーナー)にとってはいたってシンプルな考え方です。
企業価値を一番高く会社を評価してくれた企業に会社を譲渡するという考えです。
従業員や会社役員はどの様に感じるかは別として、創業者として創業者利益を確保すること自体は誰からも責められるものでもありません。
会社や事業を一番高く評価してくれた企業を譲渡先にするという考え方は一番シンプルで分かりやすい(基準が明確)考えです。
そうは言うものの会社や事業を売却した後のことも考えるのが経営者です。
その際に重要になってくるのが、企業文化です。
企業文化と一言で言ってしまえば簡単ですが、実際に買手企業の企業文化を把握することは、
売手企業にとっては非常に難しいことです。
買手企業の経営者と数回面談を重ねただけで相手企業の企業文化を把握することは困難です。
それは企業文化の違いを敏感に感じるのは、現場の従業員だからです。
そういった意味では企業文化の把握は非常に難しいことではありますが、会社を売却した後のことを考えるのであれば、重要視しなければならないポイントです。
可能な範囲で買手企業の企業文化を把握するポイントは下記の通りです。
①買手企業の経営者以外の従業員とも話をしてみる。
②取引先からの評判などを聞いてみる。
③インターネットなどから転職者情報など可能な範囲で買手企業を調べてみる。
④既にM&Aを経験したことがある買手企業の場合は、売却された企業の管理職の人間から話を聞いてみる
などです。
あくまでもこういった企業文化を把握するためも行動は、基本合意契約後になるかと思いますが、
ご不安であれば、決済前に上記のポイントで買手企業の企業文化を確認してみることをお勧めします。
これは企業文化にも通ずるところがあるかもしれませんが、売却後の会社の運営方針や会社を買収する目的については、事前にヒアリングをしておくことをお勧めします。
これは過去の案件であったことですが、売却後の方針と実際に売却した後の行動が違った、というケースがあることもしっかりと認識しておきましょう。
事実、売手側、買手側で交渉している場合は、双方相手方に良く思ってもらいたいがために、少なからず風呂敷を広げて話をする場合があります。
よって、売却後の方針などは、話半分程度での認識に留めておいた方が、売却後のギャップに苦しむことは少ないでしょう。
売手企業にとっては、買手企業の企業文化を理解した上で、売却後の方針についての話を聞いた方がより説得力があるはずです。
以上の3点を認識した上で、最終的には経営者として何を優先するのか?ということが求められます。
恐らく1つに絞ることはできないので、3つのポイントの優先順位を付けた上で、総合的に判断することが良いのではないでしょうか。
自社が望むべき選択肢がなかった場合はどうするのか?
売手側の経営者にとっては非常に悩ましいことです。
現状を踏まえた上で、
妥協をするのか?
もしくは、今回は断るのか?
最終的に決断するのは経営者です。
これまでも経験から言えることは、
「企業文化が違う企業への売却は、高い確率で売手企業の経営者は後悔する」
ということです。
「譲渡代金さえ貰えれば」と割り切れる経営者であれば問題はありません。
しかし、今後の会社のこと、新たなオーナーのもとで働く従業員のことを考えた場合は、企業文化が違う企業への売却はお勧めできません。
もちろん、会社の置かれている状況などもあるので、一概には言えないのも事実ですが…
これだけはご理解頂きたいことは、断るというのも選択肢としてあるということです。
会社売却だけが選択肢ではありません。
つまり、売手企業の経営者には買手企業を選ぶ目利き力が求められるのです。
近年のM&A市場では、売り案件が不足しています。
多くの買手企業が売手企業を探している状況です。
そういった意味では、現在のM&A業界は売手市場です。
その様な中で、売手企業には買手企業を選ぶ目利き力が求められています。
具体的に買手企業を選択すべきポイントは3つ
1.譲渡価格
2.企業文化
3.売却後の方針
です。
売手企業の経営者はこれらのポイントに優先順位をつけ、総合的に買手企業を選ぶようにしましょう。
また、企業文化が合わないと考える場合は、勇気をもって断る(選択しない)ということも重要です。
常に断ることもできるという選択肢を持っておくことが、冷静に買手企業を選択する上では重要なことかもしれません。
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