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株式の持ち分による株主の権利の違いとは?

2019/03/21

 

中小企業の場合、あまり株式の持ち分による株主の権利を意識することは多くないはずです。

 

 

多くの中小企業がオーナー=経営者というのが一般的だからです。

 

 

一方、最近は中小企業においてもM&Aが活発に行われるようになりました。

 

 

M&Aでは株式の割合とその割合による株主の権利が非常に重要になります。

 

 

今回は株主の割合に応じた株主の権利について詳しくお伝えさせて頂きます。

 

 

持ち分が多いほど強力な株主の権利

 

会社というと代表取締役など社長が一番偉いように思えます。

 

 

ですが、株式会社の場合には最も力を持つのは経営陣ではなく、出資をしている株主です。

 

 

資本金を出資した株主が株式会社のオーナーであり、経営陣は経営を託されているだけの人です。

そのため、株主総会で代表取締役や取締役を解任されることもあります。

 

 

実際に中小企業においても株主から代表取締役を解任され、取引銀行の口座変更も行われ代表者として会社経営ができずに会社が乗っ取られた事例もあります。

 

 

この株の争いは大企業や上場企業だけに起こる問題ではないのです。

 

 

もっとも、上場企業と中小企業では出資と経営の分離という株式会社特有の構造にも違いが生じます。

 

 

上場企業の場合、株式は株式市場で自由に売買することができ、持ち分が少ない多くの一般投資家がいるうえ、大きな持ち分を持つのは取引銀行であったり、グループ企業であったりすることが少なくありません。

 

 

一方、中小企業においては代表取締役社長自らが最も持ち分の多い出資者であることが多いです。

 

 

中小企業の場合は、オーナーと経営が分離されておらず、会社の方針や取り組みも代表者の一声や、経営陣のみで決められるのが基本です。

 

>>会社を売却する上で知っておくべき注意点とは?

 

中小企業における持ち分対策

 

中小企業においては創業者が多くを出資するのに加えて、一定の資本金を集めるために、親族や知人など信頼できる人や共同で事業を起こす仲間が一緒に出資を行うケースが少なくありません。

 

 

そのうえで上場を目指さず、株式譲渡の制限をすることを定款に定めることがほとんどです。

 

 

株主には代表者の解任をはじめ、さまざまな決議に参加する権利が会社法で定められています。

 

 

親族や知人、同じ思いを持つ共同経営者であれば、持ち分があっても、余計な口出しはしてこないでしょう。

 

 

一方、知らない人や敵対する人の手に株式が渡れば、経営に口を出されたり、会社が乗っ取られたり、思わぬ邪魔が入ることにもなりかねません。

 

 

そこで、株式譲渡には取締役会や株主総会の承諾が必要とし、思わぬ第三者が株主を取得しないような仕組みが構築されています。

 

 

会社法の改正により、株式会社の設立には1000万円が必要という最低資本金制度が撤廃された流れもあり、近年では、全ての権利を守るべく、創業社長が全ての株式を持つ一人会社やオーナー社長会社という形態も増えてきました。

 

 

一方で、事業の性質や取引先や金融機関の信頼を得るために、一定額の出資が必要で、譲渡制限をしながらも自分以外から出資を募るケースもあります。

 

 

極端な話になりますが、代表取締役の地位を有していても株式の持ち分が3割である人と、7割を出資した大口株主では、大口株主の方が発言力が強く、会社を思うようにすることが可能です。

 

 

また、一人会社以外においては、1割程度の株式保有者であっても、それなりの発言権が会社法で与えられているため、第三者の出資を募るときには、会社の安定経営などとの関係もあるので株式の割合には注意をしなくてはなりません。

 

 

持ち分に応じてどのような権利があるのか、以下で詳しくご紹介します。

 

1. 発行済株式の100%を一人で保有するケース

 

会社の新規事業の開始や重要な契約、会社の経営方針など全てを自分一人で決めることが可能です。

誰にも邪魔されたくないベンチャー企業や中小企業などの創業時に多く見られるケースです。

 

 

2. 発行済株式の2/3以上を保有するケース

 

株主総会の特別決議が一人でも可能です。

 

 

定款の変更や取締役の解任、合併や解散など非常に重要な議案への賛成ができる権利です。

 

 

第三者に2/3以上を保有されれば、代表取締役を解任されて、外部から社長が就任するなど会社を乗っ取られるリスクもありますので、自分の会社を守りたいのであれば、少なくとも2/3以上を保有するようにしなくてはなりません。

 

 

3. 発行済株式の1/2超を保有するケース

 

株主総会の普通決議が一人で可能です。

 

 

もっとも、より重要な議案を決議する特別決議は単独ではできませんので、中小企業のオーナー社長としてのパワーはやや弱まります。

 

 

一方で、第三者が口を出すには十分に機能できる持ち分数です。

 

4. 発行済株式の1/3以上を保有するケース

 

1/3以上を保有することで、特別決議を単独で阻止することが可能となります。

 

 

事業のスムーズな運営のために定款を変更したい、今後のために合併や事業譲渡などを行いたいといった際に、反対されてしまうリスクがあります。

 

 

中小企業の社長が全てを自分で決めていきたいと考えるのであれば、第三者に1/3以上を保有されないよう気をつけなければなりません。

 

5. 発行済株式の3%以上を保有するケース

 

株主総会の招集や帳簿の閲覧が可能です。

 

 

会社に損害を与えたり、トラブルが起きたりした際に緊急で株主総会を招集し、経営面のチェックを行える帳簿を発行済株式の3%以上を保有する株主の求めに応じて公開しなくてはなりません。

 

 

財務会計に詳しい株主であれば、会社の経営に口を出しかねないので脅威です。

 

6. 発行済株式の1%以上を保有するケース

 

株主総会において、議案提出権が認められます。

 

 

わずか1%といっても、議案の提出ができる力を持つので要注意です。

 

中小企業のM&Aの場合は

 

中小企業のM&Aの場合、100%の株式譲渡が一般的です。

よほどのことがない限り、51%の取得で良いという買手企業はいません。

 

 

もちろん、業務/資本提携というレベルで株式の33.3%以下の取得はありますが、

 

 

1/3以上を保有することで、得られる特別決議を単独で阻止する権利を売手側企業に残すことを買手企業は望みません。

 

 

事業のスムーズな運営のために定款を変更したい、今後のために合併や事業譲渡などを行いたいといった際に、反対されてしまうリスクを売手企業に持たせることは、今後の会社運営のリスクと考えるからです。

 

 

近年中小企業のM&Aで増えているのは、業務/資本提携からのか株式の一部を買手企業に持ってもらい数年かけて100%の株式を売却するという方法です。

 

 

この場合、双方で企業文化の相違や相性が良くないと判断した場合は、売手企業側で株式を買い戻しができたり、買手企業にとってもM&Aによる当初想定されたシナジー効果が発揮できない場合に、業務/資本提携で関係を維持するなど、リスク回避の方法として売手企業、買手企業に利用されている方法です。

 

 

こういった一定期間をかけての株式譲渡の場合は、特に株式の割合と株主としての権利を理解した上で、譲渡交渉を進めていくことが重要です。

 

>>会社売却の方法と具体的な進め方とは?

 

まとめ

 

以下、株式の割合による株主の権利です。

 

 

中小企業のM&Aの場合は、一般的には株式100%の取得がほとんどですが、会社の状況や、売却後の経営者としての関わりなども考慮して一部株式を売却した経営者に持たせるというのも1つの方法です。

 

 

その際には下記の割合に注意して株式を持たせるようにしましょう。

 

1. 発行済株式の100%を一人で保有するケース

 

会社の新規事業の開始や重要な契約、会社の経営方針など全てを自分一人で決めることが可能です。

誰にも邪魔されたくないベンチャー企業や中小企業などの創業時に多く見られるケースです。

 

 

2. 発行済株式の2/3以上を保有するケース

 

株主総会の特別決議が一人でも可能です。

 

 

定款の変更や取締役の解任、合併や解散など非常に重要な議案への賛成ができる権利です。

 

 

第三者に2/3以上を保有されれば、代表取締役を解任されて、外部から社長が就任するなど会社を乗っ取られるリスクもありますので、自分の会社を守りたいのであれば、少なくとも2/3以上を保有するようにしなくてはなりません。

 

 

3. 発行済株式の1/2超を保有するケース

 

株主総会の普通決議が一人で可能です。

 

 

もっとも、より重要な議案を決議する特別決議は単独ではできませんので、中小企業のオーナー社長としてのパワーはやや弱まります。

 

 

一方で、第三者が口を出すには十分に機能できる持ち分数です。

 

 

4. 発行済株式の1/3以上を保有するケース

 

1/3以上を保有することで、特別決議を単独で阻止することが可能となります。

 

 

事業のスムーズな運営のために定款を変更したい、今後のために合併や事業譲渡などを行いたいといった際に、反対されてしまうリスクがあります。

 

 

中小企業の社長が全てを自分で決めていきたいと考えるのであれば、第三者に1/3以上を保有されないよう気をつけなければなりません。

 

 

5. 発行済株式の3%以上を保有するケース

 

株主総会の招集や帳簿の閲覧が可能です。

 

 

会社に損害を与えたり、トラブルが起きたりした際に緊急で株主総会を招集し、経営面のチェックを行える帳簿を発行済株式の3%以上を保有する株主の求めに応じて公開しなくてはなりません。

 

 

財務会計に詳しい株主であれば、会社の経営に口を出しかねないので脅威です。

 

 

6. 発行済株式の1%以上を保有するケース

 

株主総会において、議案提出権が認められます。

 

 

わずか1%といっても、議案の提出ができる力を持つので要注意です。

 

 

>>M&Aを成功させるための準備と進め方とは(M&A成功へのステップ)

 

 


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