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WBF(ホワイト・ベアーファミリー)の民事再生とコロナ禍における宿泊・旅館業界の課題



2020年6月30日、旅行会社のホワイト・ベアーファミリーと、親会社であるWBFホールディングスが民事再生法の適用を申請しました。負債総額は約351億円で新型コロナウイルス関連倒産として最大となりました。


現在、宿泊・旅館業界は非常に厳しい状況に陥っています。今回のWBFホールディングス民事再生の原因と、今後の宿泊・旅館業界がどうなっていくのかについて見ていきたいと思います。


WBFの民事再生の経緯



旅行会社のホワイト・ベアーファミリーと親会社のWBFホールディングスは、6月30日に大阪地裁に民事再生法の適用を申請しました。負債総額は2社合計で約351億円。新型コロナウイルスの影響で2020年3月以降のツアーのキャンセルが相次ぎ、経営悪化が原因と言われています。


ホワイト・ベアーファミリーは、1977年に創業しました。「ジオツアー」「しろくまツアー」の名称でインターネットを利用した旅行ツアーの企画や販売を手がけ、レンタカーの予約サイトや、高速バスの運営も行なっていました。北海道や沖縄などの国内旅行に強いほか、海外旅行を取り扱う「ハッピーホリデー」は、香港やバリなどアジア圏を得意としていたのです。


設立当初から安さを売りに学生などの若者を取り込み、その後もウェディングツアーやファミリー旅行などにターゲット層を拡大。日本各地に営業所を開設したのに加え、グループ会社を次々と設立することでWBFグループを形成していきました。さらに近年では、インバウンド客を取り込み、ホテル事業にも参入。急速に業態を拡大し、2019年3月には年間売上高207億4,000万円を計上していました。


しかし今年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で旅行事業・ホテル事業ともに売上が悪化。一部のホテルで休業を余儀なくされたことにより、グループ全体の収益も急激に悪化したのです。


さらに外出自粛の影響に伴い、春休みのツアーや卒業旅行などのキャンセルが相次いだことで受注が激減し、厳しい経営状況を強いられました。3月に入り金融機関に対して借入金の返済猶予を要請していたものの、新型コロナウイルスの収束の兆しが見えないまま、4月27日にグループ会社のWBF ホテル&リゾーツが大阪地裁へ民事再生法を申請。グループ全体でスポンサーを探すなどを経営の立て直しを図っていましたがうまくいかず、今回の民事再生法による再建を図ることとなったのです。


>>民事再生法の具体的な手続きの流れとは


星野リゾートによる支援



今回の負債額は、新型コロナウイルス関連の倒産では最大になりました。しかし星野リゾートがスポンサーに名乗りをあげ、ホワイト・ベアーファミリーなど3社を支援。今後も事業を継続し、再建を進める予定です。星野リゾートは、「都市観光ホテルの運営ノウハウを活かし、グローバルなホテルを目指すため、運営規模の拡大を目指す」と話しています。


星野リゾートは長野県に本社を置く総合リゾート運営会社で、1914年に創業した老舗の日本企業です。リゾートホテル「リゾナーレ」、ルーズなホテル「BEB」、ラグジュアリーホテル「星のや」といったブランドを多数展開しています。2020年には運営施設数が45施設に達する見込みです。1915年から続く軽井沢の老舗旅館である星野リゾートは、今や全国規模の一大リゾートグループになっているのです。


今後は星野リゾートの支援を受けながら相互の強みを活かした企業へと、どのように変化していくのか非常に楽しみです。


>>M&Aでシナジー効果を発揮するポイントとは


ホテル・旅館業界の現在



ホテル・旅館業界とは、施設の利用者に対する宿泊・飲食・挙式などのサービスを展開している業界です。集客は主に宿泊サイトや自社サイトを通じて行われています。ホテル・旅館業の事業者は、施設ごとにターゲット選定しているのが特徴。ビジネス用・家族向け・高級志向など明確なコンセプトを決め、それぞれのサービスを提供しています。


また宴会場の利用や素泊まりなどとの抱き合わせなど、利用者の細かなニーズに合わせて豊富なプランを提示している点も業界の特徴です。宿泊に係る市場規模は約3兆円。旺盛な宿泊需要にサービスの多様化が進んでいます。そして、ホテル・旅館などの宿泊施設は旅館業法により、旅館・ホテル・簡易宿所・下宿の4種類に分けられ、それぞれ基準が定められているのです。


近年、インターネット宿泊予約サイトからの予約が増加しています。経済産業省の EC(電子商取引)に関する市場調査によると、旅行サービスにおけるBtoC(一般消費者向け)のEC市場規模は、2018年3兆7,186億円となっており、2013~18年の年平均成長率は8.8%になっています。


従来は旅行代理店の販売力が強かったものの、インターネットが普及し、旅行代理店より手数料が安くなったことから、楽天トラベルやヤフートラベル、一休ドットコムなど宿泊予約サイトでの予約が増えているのです。


国内旅行消費額における宿泊費の推移は、以下の通りです。



旅行・観光消費動向調査によると、2018年の国内の宿泊部門における消費額は2兆9,062億円。施設の種類をみてみると、2018年時点ではホテルの割合が約58%ともっとも高く、続いて実家・知人宅16.9%、旅館15%となりました。


ホテルは増加傾向である一方、旅館では淘汰が進む



厚生労働省の「保健・衛生行政業務報告」によると、ホテル・旅館の客室数は1960年代以降増加傾向にありましたが、1999年に頭打ちになりました。その後154~159万室の横ばいで推移。内訳をみてみると、1980年代後半から旅館の客室数が減少に転じる一方、ホテルの客室数は年々増加傾向にあり、2009年度にホテルが旅館を上回りました。


1980年代から不動産や鉄道系企業のホテル業界参入などに加え、旅行の形態が団体から少人数や個人に変化したことが影響しています。個人や少人数の旅行客を狙った安い宿泊特化型ホテルが増加した一方、団体旅行客が主要顧客であった旅館の淘汰が進んだと考えられるのです。


宿泊施設の稼働率は季節によって変動が激しく、正月や夏休みのほか、ゴールデンウィークなどの大型連休に連動して稼働率が上昇する傾向にあります。ただ都市部では、ビジネス需要が見込めるシティホテルやビジネスホテルの定員稼働率が年間を通して50~80%で推移し、比較的高い水準にあります。


一方、レジャー目的で利用されるリゾートホテルでは稼働率の変動が激しく、繁忙期の確実な利益確保と、閑散期の稼働率向上が課題になっているのです。旅館については、繁忙期でも40%未満、閑散期では20~30%台と低水準で推移しています。


ホテル・旅館業界におけるコロナの影響



2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により、ホテル・旅館業界は大きく経営環境が悪化しました。日本政策金融公庫が実施した調査では、新型コロナウイルスの影響で約半数の企業が「売上50%以上減少」となり、とくにホテル・旅館業は半数以上が「売上80%減」と大打撃を受けているのです。調査は2020年6月中旬に実施され、3,138社から回答を受けました。


新型コロナウイルスについて、「影響があり今後も続く見通し」との回答は全体で88.7%。しかし、ホテル・旅館業は99.5%と際立っていました。ホテル・旅館業の事業への影響については、「売上減少」が98.9%、「休業」が78.6%となっています。


ホテル・旅館業の売上減少幅も大きく、「80%以上減少」が54.6%と半数を超え、「50%以上減少」が全体の約9割を占めます。そして、外部からの借入金などで運転資金の補てんを行っているところが61.5%もありました。


宿泊・旅館業界におけるコロナの影響は大きく、倒産件数も増えています。新型コロナウイルスの感染拡大による倒産の発生累計件数は、以下の通りです。


>>レナウンの民事再生がアパレル業界に与える影響とは


出典:帝国データバンク




新型コロナウイルス関連倒産は、全国で436件(8月14日現在)。業種別でみると、「飲食店」60件、「ホテル・旅館」49件、「アパレル・雑貨小売店」29件など、ホテル・旅館は倒産件数の上位に位置しています。外出自粛を受け、飲食店やホテル・旅館を中心に倒産が増加しているのです。


これらの業界は、もともと消費税の増税や人手不足などで業績が厳しい状況でした。そこに新型コロナウイルスの感染拡大による経営環境の悪化で、事業継続を断念せざるを得ないケースが大半を占めているのです。「ウィズコロナ時代」の新しい生活様式に適用したビジネスモデルを構築するのは簡単ではなく、今後も倒産や廃業が増える可能性があります。


>>エターナルアミューズメントの自己破産から学ぶ教訓とは


ホテル・旅館業界の今後の課題とM&A



ホテル・旅館事業では、インバウンド需要の高まりや、2018年6月に施行された「住宅宿泊事業法」により、M&Aが盛んに行われていました。買い手は事業領域の拡大や差別化を図るため、また経営の効率化・ブランド価値の向上などを目的としてホテル・旅館業を行う企業を買収していました。主な買い手は、国内外の投資ファンドや大手の同業者、異業種などです。


一方の売り手は、業績不振や資金不足などを売却の理由にあげています。ホテル・旅行業が好調の時期でも市場の流れに対応できず、第三者への売却を選択していたのです。しかし、2020年のコロナ禍によって多くの事業者が経営不振に陥る中、今後は倒産や事業売却を考える事業者は増えていくことでしょう。


▶ホテル事業を買収するポイント



ホテル事業を買収するポイントは、業態(シティホテル/ビジネスホテル/旅館/カプセルホテル/レジャーホテルなど)、立地、部屋数、稼働率、買収後の施設への追加投資額です。


評価額は同業他社と新規参入企業によって大きく異なります。

その点では、専門のアドバイザーの意見を踏まえて買手企業を探すことをお勧めします。


まとめ



WBF ホールディングスは6月30日に大阪地裁に民事再生法の適用を申請。旅行会社のホワイト・ベアーファミリーと合わせて負債総額は約351億円となりました。新型コロナウイルスの影響で2020年3月以降のツアーのキャンセルが相次ぎ、経営環境が悪化したからです。


星野リゾートがスポンサーに名乗りをあげ、今後も事業を継続して再建を進める予定ですが、厳しい状況は続くでしょう。新型コロナウイルスの影響は大きく、ほとんどの旅行・宿泊事業者で経営環境が悪化しています。新型コロナウイルスの感染拡大に収束がみられない中、今後も厳しい経営環境は続くでしょう。





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