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M&A全般

第二会社方式による事業再生スキーム

~安易な債権放棄のための第二会社方式はリスクが高い

しっかりとした知識を得た上で取り組みをしましょう~

第二会社方式とは、再生型M&Aにおけるスキームの1つです。

1つの会社で採算が取れている部門【GOOD】と不採算の部門【BAD】に分け、採算が取れているGOODの部門を新たに新設した会社に移転する再生手法です。

債権者との関係や適正な譲渡対価の算出など、第二会社方式を利用するにあたっての注意点はいくつもあります。

第二会社方式を安易な債権放棄の手段として採用することは、大きなリスクがあることは理解しておきましょう。

その様な点からも、第二会社方式での事業譲渡や事業再生はリスクが大きいので専門家へしっかりと相談することをお勧めします。

今回は第二会社方式を採用するメリット/デメリットを含めた第二会社方式を実行する上での注意点についてお伝えします。

再生型M&A

企業の経営が振るわず財務状況が悪化してきたとき、将来的に事業の継続を断念し破産や倒産をするか、それとも事業再生によって破産や倒産を回避するのか、経営者は重大な選択を迫られることになります。

事業の継続を目指す場合、中小企業に多く用いられるスキームが再生型M&Aです。

これは法的整理手続きが行われる中で実施されるM&Aのことで、採算性の期待できない事業を切り捨てて、収益性のある有料事業部門だけを残して事業再生を図る手法です。

再生型M&Aには企業の法人格を残したままでスポンサー企業の子会社として再建を目指す「事業再生方式」、優良事業だけをスポンサー企業に移して一部門として再生を図る「事業譲渡方式」、優良部門だけを別の法人に移して赤字部門については債権者の協力を得ながら再建を目指す「会社分割方式」、優良部門だけを別会社(第二会社)へ移し不採算部門は特別清算手続きによって法人格を消滅させる「第二会社方式」の4つがあります。

>>廃業や倒産の危機を回避する方法とは?

第二会社方式の概要

第二会社方式は再生型M&Aの1つのスキームです。

現在黒字が出ている事業や将来黒字化が期待できる事業については新設あるいは既存の法人に承継させ、不採算事業は法的整理により切り捨てます。

ちなみに、不採算部門が残った既存法人を「BAD(バッド)」、逆に採算部門を事業承継させた新設法人を「GOOD(グット)」といいます。

実務としては、「GOOD」と「BAD」に分けて、「BAD」は譲渡後、法的整理を含めて処理されます。

第二会社方式は多額の債務を抱えていて企業全体の財務状況が悪化している一方で事業単体でみれば収益性のある事業部門を有している企業に用いられるのが一般的です。

これまでは事業再生に協力してくれるスポンサー企業が見つからない場合に行われていましたが、最近ではスポンサー型の第二会社方式も増えてきています。

ちなみにスポンサー型の第二会社方式はスポンサーから金融支援を受けられるため、分割後の資金繰りが安定するというメリットがあります。

>>M&Aを活用した事業再生の方法とは?

第二会社方式のメリット

第二会社方式には他の再生型M&Aにはないメリットがいくつかあります。

1. 債務免除益を損金として計上できる

事業再生にあたって債権者から債務免除を受けた場合、債務者側は借金を返す必要がなくなったわけですから、事実上収益を得たことになります。

この収益に対する課税が債務免除益です。

GOODを新設法人へ移した場合は不採算事業を承継した旧会社に納税義務が発生します。

しかしながら、回収できない債権は旧会社において損金として計上することが可能です。

ほとんどの企業では損金により債務免除益を相殺することができるため、債権者はたとえ債権を回収できなくても財務上の損金として処理できるメリットがあります。

2. 想定外の不良債権リスクを減らすことができる

第二会社方式による再生型M&Aを実施した後に偶発債務や簿外債務により想定外の債務リスクを被る可能性も否定できません。

このような想定外のリスクについてもBAD会社へ事業承継・移転することによりGOOD会社側はリスクを遮断することができます。

3. スポンサー企業が付きやすくなる

上記2項目からもわかるように、優良部門を承継したGOOD会社は税制面で優遇されるだけでなく、リスクを切り離すこともできます。

そのため、支援するスポンサー企業や金融機関からは非常に魅力的な存在であり、よりスピーディーな再生が可能になります。

第二会社方式よる再生型M&Aの具体的なスキームとは

第二会社方式による再生型M&Aを実行する上での具体的なスキームにはどういったものがあるのでしょうか?

第二会社方式では、「事業譲渡」もしくは「会社分割」の方法を用います。

それでは、具体的に2つの手法について見ていきましょう。

1. 事業譲渡

事業譲渡とは、会社の事業の一部もしくは、すべて事業を、その対象事業に関係する資産、従業員、取引先などと一緒に別の会社へ譲渡することを言います。

この際、負債については引継ぎの対象からは外れます。

譲渡を受けた会社は、その譲渡対価として、相手方に譲渡代金を支払います。

第二会社方式における「事業譲渡」の場合、利益の出ている事業を新設した会社へ譲渡し、その対価となる譲渡代金を新会社から旧会社へ支払ます

不採算事業や債務が残っている旧会社は、支払われた譲渡代金で、私的整理、もしくは法的整理等のどちらかの処理が良いか判断します。

>>株式譲渡と事業譲渡での借入金の取扱いの違いとは?

2. 会社分割

会社分割とは、事業に関する権利義務の全部または、一部を別の会社に包括的に承継させる方法を言います。

会社分割の場合は、事業譲渡スキームよりも手続きが煩雑になります。

まずは、利益の出ている事業に関わる資産及び負債も含めて受け皿となる新設会社を設立します。

その後、新設会社へ譲渡する事業を旧会社から包括的に承継させ、対価として、旧会社の株主(出資者)へ新設会社の株式を譲渡します。

親切会社の株式を譲り受けた株主は、対価として旧会社へ譲渡代金を支払います

不採算事業や債務が残っている旧会社は、支払われた譲渡代金で、私的整理、もしくは法的整理等のどちらかの処理が良いか判断します。

一般的に、中小零細企業では、事業譲渡型の第二会社方式が採用されます。

大企業や中小企業においてもある程度の規模がある会社は会社分割型の第二会社方式が採用されます。

これは、ある一定規模になると事業譲渡の手続きが煩雑になってしまうという事業譲渡を実行する上でのデメリットが関係しているからです。

第二会社方式の問題点

このように第二会社方式は非常にメリットが大きい再生手法ですが、一方で以下のような問題点もあります。

1. 営業上の許認可の取得・承継にかかるコストや時間

第二会社方式によって新しく法人を設立した場合、その新設会社が事業を恥じ得るために許認可を取得、あるいは承継する必要があります。

その際に必要なコストが高額であれば事業計画の見直しが必要になりますし、時間がかかる場合にはその分空白期間が長くなってしまいます。

2. 不動産など資産の移転に伴う税負担

第二会社を新しく設立して不動産を移転した場合、資産と負債の価額に差額があると「のれん」が認められ、長期間にわたって償却する必要が出てきます。

また、不動産の移転には登録免許税や不動産取得税がかかります。

3. 会社分割か事業譲渡かの判断が難しい

第二会社方式には会社分割と事業譲渡の2つの方法がありますが、どちらの方法を選ぶのかも重要です。

会社分割の場合は包括承継となるので消費財がかからないなど税制面で優遇があるだけでなく、手続きも比較的簡単です。

その代わり、簿外債務まで引き継ぐことになりますのでリスクも高くなります。

一方、事業譲渡の場合は個別承継となるので税制面の優遇がなく許認可の取得など手続きも煩雑になりますが、簿外債務を継承しないことでリスクを軽減できます。

4. 資金調達及び資金繰りの問題

第二会社法方式をする際の成功のポイントは、当面の資金の確保です。

基本的に新設会社への銀行からの調達は困難と考えておいた方がいいでしょう。

金融機関は基本的に安易な債権放棄はしません。

第二会社方式の場合、旧会社の法的整理を実行するにあたり、債権者である銀行に負債の負担を強いることになります。

銀行の立場からすれば、第二会社方式による新設会社も旧会社も基本的には一体と見なしている場合が多いことが融資に消極的になるのです。

中小企業における第二会社方式による事業再生の注意点とは

第二会社方式による再生型M&Aのポイントは「詐害行為」、「適正価格での譲渡」、「資金繰り」です。

1. 詐害行為について

第二会社方式による中小企業の再生において、最も注意しなければいけないことは、詐害行為による譲渡の取消です。

基本的に第二会社方式を採用するにあたって債権者の理解が必要です。

債権者の同意なく行った、第二会社方式による分割及び事業譲渡はリスクが高いです。

仮に詐害行為が認められた場合は、債権者は旧会社の債務の請求を事業を引き継いだ新会社に請求できるという判例も出ています。

2. 適正価格での譲渡

第二会社方式を実行にあたり、採算が取れている部門の譲渡に関しては注意が必要です。

特に法的整理で旧会社を私的整理もしくは法的整理での処理する場合は、譲渡価格が妥当かどうかが問題となります。

最終的な判断は破産管財人が行うことになりますが、譲渡価格が通常の価格よりも著しく低く譲渡された場合などは破産管財人から指摘を受ける場合もあります。

こういったリスクを回避するために、事前に公認会計士などから事業価格の査定してもらっておきましょう。

適正な価格での譲渡のエビデンスとなります。

他にも第三者へ譲渡した場合の価格査定を事前に取得しておくことで、適正な価格であることを第三者に対して証明することができます。

3. 資金繰りについて

第二会社方式では、譲渡した新設会社の当面の資金繰りの手当ては必須ででしょう。

金融支援をしてくれるスポンサー企業がいない場合、採算がとれている部門の収入のみで資金繰りが行えるかがポイントです。

基本的に金融機関からの借入はできないことが前提ですので、事業収入のみで資金繰りを行う必要があります。

そういった観点から、自力での第二会社方式による事業再生は難易度が高く、リスクも高いと言えるでしょう。

基本的にはスポンサー企業が金融支援する第二会社方式を採用するか、単純な第三者への事業譲渡による再生型M&Aを検討することが中小企業においては良いでしょう。

どちらにしろ、第二会社方式を採用するにしろ、単純な第三者への事業譲渡を実行するしろ、しっかりとした知識のある専門家へ相談することをお勧めします。

まとめ

第二会社方式とは、再生型M&Aにおけるスキームの1つです。

1つの会社で採算が取れている部門【GOOD】と不採算の部門【BAD】に分け、採算が取れているGOODの部門を新たに新設した会社に移転する再生手法です。

第二会社方式による再生のポイントは「詐害行為」、「適正価格での譲渡」、「資金繰り」です。

1. 詐害行為について

第二会社方式による中小企業の再生において、最も注意しなければいけないことは、詐害行為による譲渡の取消です。

基本的に第二会社方式を採用するにあたって債権者の理解が必要です。

仮に詐害行為が認められた場合は、債権者は旧会社の債務の請求を事業を引き継いだ新会社に請求できるという判例も出ています。

2. 適正価格での譲渡

第二会社方式を実行するにあたり、採算が取れている部門の譲渡に関しては注意が必要です。

特に法的整理で旧会社を私的整理もしくは法的整理での処理する場合は、譲渡価格が妥当かどうかが問題となります。

最終的な判断は破産管財人が行うことになりますが、譲渡価格が通常の価格よりも著しく低く譲渡された場合などは破産管財人から指摘を受ける場合もあります。

3. 資金繰りについて

第二会社方式では、譲渡した新設会社の当面の資金繰りの手当ては必須ででしょう。

金融支援をしてくれるスポンサー企業がいない場合、採算がとれている部門の収入のみで資金繰りが行えるかがポイントです。

基本的に銀行からの借入はできないことが前提ですので、事業収入のみで資金繰りを行う必要があります。

安易に第二会社方式による再生を選択することはリスクでしかありません。

法的なリスクの回避、税務上のリスク回避、債権者の同意など、経験のある専門家に相談の上、取組をされることをお勧めします。


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