財務戦略
2023/01/04
経理と言えば、会社のお金に関わる仕事と認識しているものの、具体的な仕事内容について今ひとつ理解できないという方は多いのではないでしょうか。
経理は、会社の売上管理から請求書の発行、社会保険料や源泉徴収税の計算などまで、さまざまな業務を担当します。
本記事では、経理の仕事内容や会計・財務との違い、1日・月ごと・年ごとのスケジュールなどについて詳しく解説します。
目次
経理とは、会社のお金や取引の流れなどを管理する事務系の職種です。
会社の取引における金銭の記録によってお金の流れを管理し、最終的に会社の状況を経営者や利害関係者に報告します。
日々の売上や仕訳の処理、売掛金管理、社会保険料の計算・支払など、その業務は多岐にわたります。
それでは、経理と会計、財務の違いについて詳しくみていきましょう。
会計は、会計情報を経営者や役員などに伝える「管理会計」、株主や債権者などに会計情報を伝える「財務会計」に分類されます。
いずれも、決算書によって会計報告を行うため、経理が作成する帳簿書類が必要になります。
つまり、会計の仕事の1つに経理があるのですが、企業によっては会計と経理を明確に区別し、それぞれ異なる従業員が担当します。
財務は、金融機関からの借り入れや株式発行による資金調達など、経営者に近い立場で資金管理・運用する仕事です。
企業によっては財務に担当者を設けずに経営者が担当することもあります。財務の仕事を行うには、経理が作成する帳簿書類が必要です。
経理の仕事内容は売上管理や売掛金管理、社会保険料の計算・支払などさまざまです。
それぞれの仕事内容についてチェックしていきましょう。
売上管理とは、売上目標の達成に向けて日々の売上を記録し、達成率や売上総額を算出・管理することです。
1日・1週間・1ヶ月・1年などの時間軸で集計・分析し、過去の売上げ管理との比較も行います。
売上管理は経理の仕事内容の1つであるものの、各部署と強く連携しなければならないため、各部署のリーダーが担当する傾向があります。
売掛金の管理とは、売掛金の残高を把握し、漏れなく回収することです。
売掛金を回収できなければ資金がショートし、倒産に追い込まれるケースも少なくありません。
そのため、売掛金の管理は重要な仕事と言えるでしょう。
請求書は、取引先企業・個人に対して金銭の振り込みを請求する書類です。
請求書の内容に基づいて振り込まれたら、領収書を発行します。
これらは、確かに請求したこと・支払われたことを証明する書類のため、厳格に保管しなければなりません。
会社の現金や預金のほか、受け取った小切手や手形の管理も経理の仕事です。
インターネットバンキングや通帳などで口座残高を確認し、入出金の履歴を追います。
小切手・手形は適切な方法で現金化し、その記録も残さなければなりません。
従業員の経費精算と仕訳も経理の仕事です。
経費が発生した日付や用途、支払先、金額などの詳細情報を従業員から受け取り、精算・仕訳します。
領収書やレシートがなければ経費として精算できないため、確実に提出するように促すことも経理の役割です。
月次決算とは、1ヶ月ごとに行う決算業務です。
ただし、年次決済とは違い、月次決算を行うことは義務ではありません。
年次決済は、年1回行う決算業務で、決算書を作成して財務諸表を公告することが義務づけられています。
年末調整とは、源泉徴収した所得税額を計算し、正確な所得税を確定する作業です。
源泉徴収では、所得の10.21%を所得税として徴収するのですが、それでは実際に納めるべき額に過不足が生じます。
1月1日~12月31日までに発生した所得税を正しく計算し、不足がある場合は徴収、過払いがあれば還付します。
社会保険料とは、健康保険と厚生年金保険、雇用保険、労災保険、介護保険の被保険者が納めるべき保険料のことです。
労災保険以外にかかる保険料は、企業と折半します。
社会保険料は、給与などの平均額を区分した等級表に標準報酬月額を当てはめて確認します。
源泉徴収とは、給与や賞与から所得税を天引きする作業です。
預かった所得税を会社が税務署へ納付します。従業員10人未満の企業は年2回払いで対応可能ですが、それ以上の規模の場合は毎月対応しなければなりません。
そのほか、法人税や消費税などの計算・納付も経理の仕事です。
消費税は、2023年10月から開始するインボイス制度への対応も必要なため、経理の負担はさらに増えることが見込まれます。
会社規模によって経理の仕事内容が異なります。全ての企業に当てはまるわけではありませんが、次のようなケースが多いでしょう。
大企業は、売上から取引数、従業員数まで、さまざまな事項における規模が大きいため、複数人で業務を分けて担当しています。
例えば、財務担当、決算担当、社会保険料の計算担当などです。
どの業務を割り振られても対応できるように、新人の頃から定期的に担当業務を変更し、教育する企業が多いでしょう。
中小企業の規模はさまざまですが、大企業に迫る規模の場合は複数人で分業します。
従業員数が少ない場合は、1人で全ての業務を請け負うこともありますが、人件費を削減するために会計事務所へアウトソーシングする企業も多いです。
小規模事業者、個人事業主は、代表者が経理を担当していることが多いでしょう。
会計事務所にアウトソーシングしている業者も存在しますが、売上規模が小さいために、コストカットを目的に自ら経理を行う業者が多いのではないでしょうか。
経理の仕事の種類が多いため、何から手をつければよいかイメージできない方もいるでしょう。
そこで、経理のスケジュールについて、1年間・1ヶ月・1日にわけて詳しく紹介します。
経理の年間スケジュールは次のとおりです。
4月……決算整理
5月……年次決算
6月……税務申告
7月……賞与計算・振込、支払届の提出、労働保険の年度更新、社会保険料の算定基礎届の提出
8月……通常業務
9月……通常業務
10月……通常業務
11月……中間税務申告
12月……賞与計算と振込、支払届の提出、年末調整
1月……給与支払報告書、法定調書、償却資産税申告書の提出
2月……給与支払報告書、償却資産申告書、法定調書の提出
3月……実地棚卸、年次決算(決算準備、棚卸)
経理の月間のスケジュールは次のとおりです。
前半 | 後半 |
請求・回収・入金確認 住民税や源泉所得税の納付 |
帳簿管理 給与計算 仕入れ代金などの整理・入金 |
最後に、経理の1日のスケジュールをみていきましょう。
9:00……出勤、メールチェック
9:30……売上入金のチェック、通帳記帳
11:00……取引伝票の起票および整理
12:00……昼休憩
13:00……経費精算・仕訳、現金小口確認
15:00……会計ソフトへの入力
17:00……書類のファイリング
18:00……退勤
経理を必要とする企業は、年商1億円以上で経営者が経理業務を担当している企業です。
年商1億円ともなれば、従業員や取引先の数も多く、経営しながら経理まで担当することは難しいでしょう。
また、会社規模は小さくても、これから大きくしていきたいと考えている、また成長スピードが速い会社も経理担当者を早期に確保すべきです。
さらに、銀行取引や資金調達の幅を広げたい場合も、経理担当者がいた方が経営者の負担を減らせるでしょう。
経理担当者を雇用するには、採用だけで数十万円、20~30万円程度の給与を支払う必要があるため、経営状況によっては雇用が難しいのではないでしょうか。
そのような場合は、経理業務をアウトソーシングするとよいでしょう。
必要最小限のコストで経理業務をプロに任せることができます。
経理の仕事はその種類が多く、短期間で習得することは難しいでしょう。
また、経営者が経理を担当している場合、会社の成長とともに対応が難しくなることが懸念されます。
経理業務の負担が大きい場合は、雇用するかアウトソーシングを選択します。
今回、解説した内容を参考に経理の仕事の種類、スケジュールなどを確認し、適切な経理業務を行うための準備を整えましょう。
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