M&A用語集
2019/10/07
EBITDAとはEarnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortizationの頭文字をとったもので、イービットディーエーやイービットダーという読み方になります。
企業価値の評価指標として利払い前・税引前・減価償却前利益などを算出するものですが、複数のパターンが存在するので注意が必要です。
代表的な計算パターンを下記にご紹介します。
目次
EBITDAとは、企業価値の評価指標になるもので、利払い前・税引前利益・減価償却前利益などを算出したものです。 EBITDAを算出すると、対象企業と同業他社や似ている企業の取引を比べられるようになり、企業にどれほどの収益力(キャッシュベース)があるのかを見定めることができます。
M&Aにおいて、買収する企業を比較したいときに使用されるEBITDAの算出はどのように行えば良いのでしょうか?
代表的な計算パターンは下記のとおりです。
EBITDA=税引前当期純利益 + 支払利息 + 減価償却費 + 特別損益
EBITDA=営業利益 + 減価償却費
EBITDA=経常利益 + 支払利息 + 減価償却費
営業利益は本業で儲けた分を意味し、売上総純利益から売上原価と販売費、一般管理費を差し引いて求められます。
一方経常利益とは、本業とは別の事業で得られた利益です。
これらの項目を用いてEBITDAを算出していきます。
共通点としては利益+減価償却費なのですが、統一された計算式を用いるわけではないため、どのような利益を基準に算出されているかに留意しなくてはなりません。
それでは具体的にEBITDAがどのようにM&Aの企業評価で活用されているか詳しく見ていきましょう。
EBITDAは、例えば銀行側が融資を決定する際の参考になったり、個人投資家が株式投資を行う際に投資先を選んだりするのに使われていますが、M&Aをする際に買収対象となる会社の価値を評価したいときにも用いられます。
統一された計算式がないにもかかわらず、有効な指標として用いられるのはなぜでしょうか。
メリットとして挙げられるのは、グローバルな評価基準として利用しやすい点です。
M&Aにおいては国内を問わず、海外の企業との間でも行われるケースは少なくありません。
この点、会計上の利益である純利益に関係する税率や、借入金利、減価償却費の会計基準は国によって異なるので、日本と同じ考え方として評価してしまうとズレが生じるリスクがあります。
EBITDAを使うと、こうした会計基準や税制の差異を最小限に抑えた評価が可能となります。
つまり、日本だけでなく海外企業の買収を検討している場合にも、EBITDAを活用すれば評価を比較しやすくなり、海外企業であってもM&Aを成功しやすくなるのです。
国際的な企業価値を比較したり評価したりする際に、積極的に活用したい指標です。
EBITDAは良い特徴ばかりではなく、デメリットの部分も持ち合わせています。
それが、設備投資・運転資本などが考慮されていない点です。
上記でご説明した計算方法には、税引前当期純利益や支払い利息、減価償却費、営業利益、経常利益などの項目は含まれているものの、設備投資や運転資本が加味されていないことが分かります。
以前、アメリカのワールドコムという企業が不正会計処理によって倒産してしまいました。
ワールドコムが行った不正会計処理は、通常費用処理されなくてはいけないレンタル料金を繰延資産計上しており、EBITDA計算の中で増加した減価償却費が足し戻されるという「倍率手法」の欠点をついたことで、問題となってしまったのです。
EBITDAの計算式で算出されるのは金利支払い前、税金支払い前、有形固定資産の減価償却費、および、のれん代といった無形固定資産の償却費控除前の利益です。
他人資本を含む資本に対し、どの程度のキャッシュフローが生み出されたかを簡易的にチェックできるのが便利です。
買収対象企業の資金の流れや、現金および現金等物の収支を把握できます。
この点、計算式でプラスされる減価償却費の計算法には定額法や定率法などがあるため、どれを採るかで計算される利益が変動してしまいます。
M&Aの評価方法としてだけでなく、グローバルに事業を展開している企業がライバル企業との競争力の差を評価したり、買収などを通じて海外に保有する複数の子会社間で収益力を比較したりしたいときにも有効です。
国ごとに異なる会計基準をはじめ、金利水準や税率の差などの影響を排除し、同じ評価基準で海外の競合他社との収益性や、グループ拠点の評価を比較・分析することができます。
また、設備投資額の大きな会社の収益性を評価する際にも役立ちます。
設備投資額が大きい会社の場合、減価償却費の計上により赤字となってしまうケースが少なくありません。
年度ごとの設備投資額の変動が減価償却費を通じて、営業利益のブレを生み出すこととなり、株主や市場の評価に影響を与えてしまうことがあります。
こうした影響を排除し、設備投資から得られた成果である利益が、しっかりと成長しているかを確認するのに役立ちます。
なお、EBITDAは投資対効果における効果の部分しか評価ができません。
効果を得るために必要な設備投資や運転資本の増加といった投資額は反映されていません。
設備投資や資本の増加は、会社が事業を継続していくために重要な指標です。
そのため、M&Aの評価においては、EBITDAだけの指標で会社が利益を生み出す力があるとは考えず、多彩な角度からチェックして総合的な評価を行うことが大切です。
EBITDAは企業の買収や合併などのM&Aにおける評価指標として、有効に活用できます。
企業価値評価の有効な指標として使われる指標の1つに、EV/EBITDA比率があります。
EV(時価総額からネットキャッシュを差し引いた企業価値)がEBITDAの何倍、つまり何年分にあたるかを分析できる指標です。
EBITDAは損益計算書上の営業利益にキャッシュ・フロー計算書の営業キャッシュ・フロー調整項目の減価償却費を加算して求めるのが基本です。
営業利益に実際には支出のない非キャッシュ費用としての減価償却費を足し戻して求めるため、簡便的な営業キャッシュ・フローの理解やキャッシュベースの利益を確認できます。
つまり、対象企業の1年間の営業キャッシュフローを把握することが可能となるのです。
負債を含む企業の完全買収コストの回収にかかる年数として、M&Aの判断資料に利用でき、値が小さいほど割安だと評価ができます。
EV/EBITDA比率は簡易買収倍率とも呼ばれ、株価の尺度の参考指標にも使われます。
倍率が高いほどEVは高くなるため、業種や会社の規模にもよりますが、だいたい6倍~7倍が買収の目安と言われているのです。
様々な企業で、連結キャッシュフロー計算書を公表しています。
今回は三菱重工の連結キャッシュフロー計算書を参考に、EBITDAを見ていきましょう。
三菱重工の2018年度の業績を見ると、営業活動によるキャッシュフローが404,924百万円、減価償却費は198,761百万円となっています。
つまり、EBITDAは603,685百万円であり、三菱重工の2018年度営業キャッシュフローが判明しました。
三菱重工はそもそも大手企業であるため、EBITDAが大きく割高と評価できるのも無理はありません。
他の類似企業と比べながら、EBITDAの数字が小さいほど割安と判断できます。
中小企業のM&Aにおいて企業価値を評価する際にもEBITDAを利用することがあります。
一般的には【EBITDA=営業利益 + 減価償却費】で企業の収益性を評価し、企業の安定性についてはBS(貸借対照表)の時価純資産を参考に評価をおこないます。
つまり、【収益性(PLの評価)+安定性(BSの評価)】が中小企業のM&Aにおける一般的な評価方法です。
一方、売手側としては、より高く売却したいという考えから収益性の評価、つまりEBITDAの算式に
【EBITDA=営業利益+減価償却費+役員報酬+その他業務に関係のない費用】を付け加えて計算をしているケースがあります。
【その他業務に関係のない経費】については、買手としても評価に加算されることは認められるケースは多いです。
しかしながら、役員報酬も評価に加算する場合は、買い手にとっても難しい判断となります。
買手側はもちろん投資金額を押さえて買収をしたいという考えがあることから役員報酬は加算せずに評価をしたいというのが本音でしょう。
売手側の考えとすれば、役員報酬は退任するので、その役員報酬分は買手の利益として考えられるので評価に入れてほしいと主張するでしょう。
買手側としては、役員が退任した後に別の従業員を入れる必要があり、その人物の報酬分を考慮した場合は、買手側の事業評価として役員報酬分の経費の加算は認められないと判断することになります。
つまり、売手側の経営者がどの程度、会社運営の業務に携わっていたか?
経営者が退いても会社の運営に支障が出ないのか?
この辺りが役員報酬を評価に加算するかどうかのポイントとなります。
よって、役員報酬額を加算するかどうかで企業価値は全く違った数値になるので、売手側、買手側で意見が分かれるところです。
M&Aにおいて、企業価値評価(バリュエーション)の方法はEBITDAだけではありません。
EBITDAは評価方法の中でもマーケットアプローチという手法の「類似会社比較法(マルチプル)」に分類されます。
他の企業評価方法とどのような違いがあるのか、解説していきます。
DCF法(割引キャッシュフロー法)とは、インカムアプローチに分類される手法で、将来生み出されるだろう将来キャッシュフローを割り引いて現在の株式価値を見極めるものです。
DCF法は将来的な企業価値を割り出すことができるため、定番の評価方法なのですが、かなり複雑な予測をしていかなくてはなりません。
その点、EBITDAは現在のキャッシュフローを簡単に算定できます。
マーケットアプローチ・インカムアプローチの他に、もう1つコストアプローチという手法があります。
コストアプローチには簿価純資産法と時価純資産法の2種類によって企業の純資産を元に企業価値の評価が行われます。
中でも時価純資産法は評価対象となる企業や事業の資産・負債をすべて時価換算し、純資産として評価する方法が一般的に使われています。
時価純資産法の注意点は、将来キャッシュフローは全く関係ないためM&Aで重要な要素となる「のれん」を考慮した評価にならない点です。
EBITDAの場合、減価償却費の中にのれん償却費も入っているため、きちんとのれんを考慮した上での評価となります。
EBITDAとはEarnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortizationの頭文字をとったもので、イービットディーエーやイービットダーと呼ばれます。
企業価値の評価指標として利払い前・税引前・減価償却前利益などを算出するものです。
中小企業のM&Aの場合には、
【EBITDA=営業利益+減価償却費+役員報酬+その他業務に関係のない費用】
を付け加えて計算をしているケースがあります。
しかしながら、役員報酬も評価に加算する場合は、買い手にとっても難しい判断となります。
買手側はもちろん投資金額を押さえて買収をしたいという考えがあることから役員報酬は加算せずに評価をしたいというのが本音でしょう。
売手側の考えとすれば、役員報酬は退任するので、その役員報酬分は買手の売上として考えられるので評価に入れてほしいと主張するでしょう。
買手側としては、役員が退任した後に別の従業員を入れる必要があり、その人物の報酬分を考慮した場合は、買手側の事業評価として役員報酬分の経費の加算は認められないと判断することになります。
企業評価は買手側、売手側で双方異なる見解を持っているのが一般的です。
買手はより安く、売手はより高くという考えがあるので、仕方がありません。
重要なのは、買い手にしろ、売手にしろ、根拠のある金額を相手側に提示し、双方が納得する金額や条件で合意をすることです。
そのためにも、まずは一般的な企業評価を知ることが重要です。
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