M&A
2018/06/04
会社を売却しようと検討したときに、重要になってくるのが、誰に相談、依頼するのかということです。
この「誰に」の選択と誤ったばかりにM&Aの失敗へとつながり、売却できたはずが廃業・倒産に追い込まれてしまった…という例が少なくありません。
あなたの会社にとってベストなM&Aアドバイザーを選択することが、M&A成功の大事な一歩となります。
この記事では、誰にお願いするのがよいのか、確認するべきポイントが何かを解説します。
目次
「そもそもM&Aは専門家に依頼しないといけないのか?」このような疑問がありませんか?
知り合いの経営者とM&Aをするから、わざわざ費用を払って外部に依頼しなくてもいいだろうと考えることがあるかもしれません。費用を節約するために、アドバイザーを入れずにできないかと考えることもあるでしょう。
しかし、M&Aは専門的な知識が必要です。
会社売却は、そう何度も経験するものではないので、用意する書類や慣れない手続きでも手を取られます。トラブルも起きかねませんし、不慣れな交渉や手続きでM&Aの失敗につながる危険性もあります。
費用はかかりますが専門家に依頼することで、トラブルを回避し、より高値で売却できる可能性も高まります。
では、具体的に誰に依頼するのがよいのか、銀行、税理士、M&A仲介業者、M&Aアドバイザーで比較してみましょう。
銀行ではM&Aを業務の一つとしています。そのため、しっかりとしたサポートが期待できます。
普段から付き合いのある銀行ですと、自社の方針や経営状況を把握しています。自社の情報を開示する手間が減り、スムーズに進められると考えられます。銀行は多くの会社とつながりがあることも魅力です。買手企業を多くの候補の中から、より自社に合った会社を選定してもらえます。
デメリットは費用が高額であることです。中小企業の会社の場合、負担が大きいでしょう。また、銀行は組織規模が大きいことでスピーディーな対応が難しいともいえます。
M&Aでは時に迅速な対応が必要です。その際にしっかり動いてもらえるかどうか確認しておきましょう。
M&Aに大きく関わってくる税関連のこと。その専門家である税理士にM&Aのサポートを依頼できます。日頃から付き合いのある顧問税理士であれば、自社の財務内容も理解しているので安心して依頼できます。
しかし、税理士ができる業務は限られています。M&Aの専門ではないので、M&Aのスケジュール管理や買手企業の選定、価格交渉など対応できない(専門としていない)ケースが少なくありません。
M&A仲介会社は、M&Aの仲介が本業です。さらに、M&Aを実施するために協力が必要な税理士や弁護士などとのネットワークを持っています。仲介会社によっては各士業が在籍していることもあります。そのため、しっかりとしたサポートが期待できます。
しかし、M&A仲介会社はより高値で売却するためのアドバイスは行いません。スムーズにM&Aが行われるようサポートすることが仕事なのです。
また、売手側、買手側の立場で見た場合、譲渡の成立を第一に考える仲介会社は、どうしても買手側にそった対応になることが多いです。
M&Aアドバイザーは、依頼主がより多くの利益を得られるようサポートしてくれます。自社に近いM&Aの経験が豊富だと、安心して任せられます。
ただし、M&Aアドバイザー選びを誤ると、交渉に失敗したり、M&Aの成立までに時間がかかったりするおそれがあるため、より慎重に選ぶことが大切です。
とにかく有名で実績が多い会社が良いと思い込んでいる中小企業の経営者の方は非常に多くいます。しかし、その選択が経営者にとって良い結果、良い選択であったかはまた別の話です。
ポイントをおさえて、自社に合ったM&Aアドバイザーを選びましょう。
ここで、M&Aアドバイザーの主な業務内容をご紹介します。M&Aアドバイザーに依頼すると、基本的に売却前から売却後のフォローまでしてくれます。
M&Aアドバイザーは、譲渡価格や条件、スケジュールなどの売却条件を決めるためにサポートしてくれます。
会社売却にあたって、自社の企業価値がどの程度あるのか、算定してくれます。
M&Aをするときは、さまざまな資料作成が必要です。買手企業に提出するための売手企業の会社概要などの資料や契約書の作成をM&Aアドバイザーが担ってくれます。
自社を売却するのに適した買手企業をM&Aアドバイザーは探してくれます。そして、どの企業に売却するか選ぶ際に提案やアドバイスをしてくれます。
そのため、自社に近いM&Aの経験が豊富だったり、情報を多く持っていたりするM&Aアドバイザーを選ぶことが重要です。
買手企業の候補が決まったら、M&Aアドバイザーが買手企業に提案しにいきます。
M&Aアドバイザーは譲渡価格や条件などの交渉をしてくれます。
関連記事→会社を売却する方法とは?注意点やかかる税金を解説
M&Aアドバイザーを依頼する会社を選ぶポイント4つについてそれぞれ見ていきましょう。
M&Aアドバイザーの多くが、得意な業種か会社規模(売り上げ規模)があります。その得意とするものを自社との間でミスマッチがあると、M&Aがスムーズにいかない恐れが出てきます。
医療や飲食、宿泊業など、特定の業種が得意なM&Aアドバイザーがいます。業種に特化していると、その業界についてくわしいことから、優良な買手企業の情報を多く持っているといえるでしょう。
つまり、自社の業種とは違う業種を専門としている場合は避けたほうがよいといえます。
得意な会社規模もあります。こちらもミスマッチがあると、売却までに時間がかかってしまいます。
得意な会社規模を判断するには、会社売却が成功したときの最低報酬額を確認すると分かりやすいです。
例えば、最低報酬額を1,000万円以上に設定している場合は、主に売上規模15億以上の企業と取引していると想定できます。最低報酬額が150万だと、売上規模が3,000万~1億円程度といえます。
このように最低報酬額で、自社に近い会社規模を得意としているかどうかを判断しましょう。
自社と業種や会社規模がマッチするM&Aアドバイザーを、さらに選別するポイントをお伝えします。
経営者の方は、会社や事業の売却を検討した段階で、M&Aが頭に浮かぶことが多いかもしれません。しかし、M&Aという選択が正しい選択かどうかは別の話です。
会社の業績が厳しいことを税理士に相談したところ、知り合いの弁護士を紹介されたけれど、その結果会社を潰してしまった(破産をした)ということはよくある話です。
「本当にその選択で良かったのか?」
「会社や事業の売却をすれば、会社は潰さなくてもよかったのではないか?」
後から悔やんでも、会社は元には戻りません。しかし、そういった事例はよく目にするのが事実です。
この事例と同じように、M&Aを取扱っている会社へ相談に行けば、当たり前のように、M&Aでの会社や事業の売却を提案されます。それが、自社にとってベストな選択ではなかったとしてもです。
つまり、どこに相談に行くかで、会社の未来は大きく変わります。まずは、M&A以外にも複数の選択肢を提供してくれるアドバイザリー会社への相談をおすすめします。
もしくは、M&Aを取扱っている会社の中でも2~3社程面談をし、多くの選択肢を提供してくれる会社へ依頼することが、良い結果につながるといえるでしょう。
もし、自社が地方にある場合は、どのエリアのM&Aアドバイザーに依頼するかでM&Aの結果は大きく違います。
買手側企業は圧倒的に東京(関東圏)が多いです。もちろん地方にありますが、企業の選択肢が圧倒的に多いのです。
では、地方でも東京の企業にお願いすればよいのかというと、すべてがそうだとは言い切れません。何かあったときにすぐに対応できるという意味では、近くのアドバイザーにお願いするのも一つの方法です。
そのため、地元と大都市(東京・大阪・名古屋・福岡)に近いアドバイザーの最低2社は話を聞いて自社の状況にあった会社を選択することをおすすめします。
M&Aアドバイザーとの相性はM&Aを成功させる上で非常に重要です。
2~3社と面談をしていろいろと質問した結果、すんなり「このM&Aアドバイザーに依頼しよう」と思えたならば、相性が良いといえます。
基本的にM&Aは売手と買手が直接交渉することはありません。
M&Aアドバイザーを通して相手方と交渉するのが基本です。交渉の際に、売手側経営者の考えをしっかりと買手側に伝えられないと最終的な条件交渉で満足のいく交渉結果を得られない場合もあります。
そのため、意思疎通に違和感がなく、きちんとコミュニケーションが取れることが大切です。相性が悪いと、なかなかこちらの考えをくみ取ってもらえないということが起こるかもしれません。
紹介したポイントをおさえながら、M&Aアドバイザーを選ぶ手順をまとめます。会社の未来のための大切な選択ですので、一つひとつじっくり取り組みましょう。
①会社規模、業種、エリアなどから依頼先候補をリストアップする
②ホームページを確認し、会社売却の方針など共感を得られる会社を探す
③リストアップした会社担当者と面談を行う
④依頼するM&Aアドバイザーを決定、依頼
会社売却や事業譲渡を検討してから、売却依頼をするM&Aアドバイザー候補を2~3社程選定した後のステップとして面談があります。
この面談の際に必ず確認しておいたほうがよい事項が、以下の5つです。
・得意な分野
・年間の実績件数
・自社の売却の可能性と譲渡価格に対する考え
・買手候補の有無
・報酬
この5つの質問を行った上で、依頼するM&Aアドバイザーを決定することをおすすめします。
何となく会社の未来を任せてしまうのか、しっかりと熟考した上で会社の未来を任せるのか、この面談はあなたの会社の未来に大きな影響を及ぼします。
それほど、「どのM&Aアドバイザーに依頼するのか?」ということは、会社の売却や事業の譲渡に大きな影響を与えるのです。
では、確認すべき5つの点について、それぞれ個別に見ていきましょう。
依頼するM&Aアドバイザー会社によって得意分野などの特徴があります。事業承継案件が得意な会社もあれば、業種に特化している会社もあります。
中小企業のM&Aといっても、その企業規模はさまざまです。2~3社ほど面談をする中で、M&Aアドバイザリー会社がどの分野に強みがあるのかかをしっかりと確認しておきましょう。
自身の事業内容や悩みの解決方法が得意分野のM&Aアドバイザーに依頼したほうが、成功の確率は確実に高まります。
M&Aの場合、実績件数は非常に重要です。
実績が少ないM&Aアドバイザーに依頼をするのか、実績の多いM&Aアドバイザーに依頼するのか。この違いで会社の売却や事業の譲渡が成功するかどうかに大きな影響を与えます。また、成功したとしても、売却後の満足度などまったく違う結果になることが多くあります。
実績と同じようにどのような案件を経験してきたかも非常に重要です。
現在、自社が抱えている問題を解決した実績が何件あるのか?
直近での実例はどういったものがあるのか?
このような内容を会話の中で質問してみることをおすすめします。
面談の際に、M&Aアドバイザーに決算書など財務数値を開示する場合は、自社の企業価値と売却の可能性について聞いてみてください。
また、財務数値を見せたときにどういった質問をしてくるかも、その方がどれだけ実績を積んできたか、確認する良い機会となります。
要点をとらえて、意味のある質問をしてくるM&Aアドバイザーは、きっと自社にとって良いM&Aアドバイザーであるはずです。
また、自社の価格についても聞いておいたほうがよいでしょう。仮に希望金額と算出された譲渡金額に差がある場合に、M&Aアドバイザーがどういったアドバイスや対応をしてくれるのかは非常に重要です。
希望価格と算出された譲渡価格に差がある場合、M&Aが成約する確率は大きく下がってしまいます。
現時点での買手候補がいるかどうかの確認も必須です。会社や事業の売却を急いでいるのであれば、ある程度実績がある買手のほうがスムーズに話が進むからです。
そういった意味でも自社の事業内容でのM&A実績があるか、買手候補はいるかについて確認が必要です。
もし、現時点で買手候補が少ない場合は、どういった形で買手候補を探してくるのかというのも確認しておいたほうがよいでしょう。
報酬に関しては、着手金の有無、成功報酬の額、どのタイミングで費用が発生するのかなど確認しておくことが必要です。依頼をする上で、何かしらの費用が発生するという覚悟は持っておいてください。
あくまでもこれは考え方ですが、着手金が発生するM&Aアドバイザーに依頼したいが、金銭的な面で仕方なく成功報酬型のM&Aアドバイザーに依頼しようと考える経営者の方も多くいます。
どちらにもメリット、デメリットがあるかと思いますが、「この人(この会社)に依頼したい」と思うのであれば、たとえ費用が発生しても依頼することがおすすめです。
着手金をもらうということは、それだけ責任を持った仕事をしてくれる裏付けといえます。きっと売却後の条件、満足度など費用をお支払いした以上の結果が返ってくるはずです。
関連記事→M&Aにおける成功報酬型とリテイナー報酬型のメリット・デメリット
会社売却や事業譲渡を検討する上で、誰に依頼するかは非常に重要なことです。ご紹介してきた選ぶときのポイントや依頼前に確認すべきことをしっかりおさえるようにしましょう。
選ぶときのポイントは以下のとおりです。
M&Aを依頼する前に確認すべきこと5つ
1.得意な分野
2.年間の実績件数と内容
3.自社の売却の可能性と譲渡価格に対する考え
4.買手候補の有無
5.報酬
ポイントをおさえて選ぶことで、会社売却への成功につながります。会社の未来のためにも、M&Aアドバイザー依頼前からじっくり取り組んでみてください。
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