M&A用語集
2019/10/20
財務デューデリーは財務デューデリジェンスとも呼ばれ、M&Aなどで買収する企業を選定する際やいくらで買収するのが適正かを決める際に行われる財務内容に関する調査、分析手法です。
過去の財務諸表(決算書)などを調査し、買収を予定する対象企業の財政状態や損益の状況、資金などについて多方面から詳細に調査、分析を行います。
資本金の額や資産や負債の額やその内訳、資金繰りの状態や収益力、財務管理において内部統制が行われていたかなど、財務の状態や透明性などを調査します。
丁寧に調査することにより、思わぬ簿外債務を引き継いでしまうリスクや粉飾決算など実態の財務状況とかけ離れた財務諸表になっていないかを早期に発見し、買収のリスク回避にもつながる重要な作業です。
財務デューデリジェンスが行われる目的として、次のようなケースが挙げられます。
M&A戦略の一環として、調査対象企業が自社のM&A戦略に適合した財務内容や企業価値を有しているかを事前に確かめる目的で行われます。
その結果、買収に適していると判断された際に財務デューデリーの内容を反映させて、いくらで買収すべきか企業価値の算定の参考材料にすることも可能です。
ストラクチャリング分析を行う目的で、利用されることも少なくありません。
買収を検討した際に意図していたストラクチャーでいいのか、それとも別の方策を立てるべきかの判断材料に利用されます。
M&A契約条件を細かく設定するうえでも、財務デューデリーは欠かせません。
買収契約において、どれを受け継ぎ、どれを受け継がずに排除すべきか、リスクを抑えて細かな条件を決めるために役立てられます。
M&A後の対策や方針、統合準備の目的にも活用されています。
資産や負債、商品やサービス、従業員などをトータルで引き継ぐ場合において、買収後に問題となる事項は財務デューデリーを通じて早期に発見し、買収後にどのように解決し、運営していけばいいのか対策を講じるためにも重要です。
このようにM&Aにおける買収企業の選定から価値の把握、買収契約におけるリスクの回避や買収後の計画や対策構築にいたるまで、M&Aのさまざまな場面で活用可能です。
買収対象会社の事業内容や経営の実態を明確にして把握することで、買収をする売手と買手の情報の非対称性をなくし、公正で安全な取引ができるようにできるメリットがあります。
M&Aというと買収側に力があり、買収される企業の立場が弱いイメージが持たれがちです。
もっとも、実際には情報の非対称性で、買収した側がデメリットを受けたり、リスクを抱えこんだりするケースも少なくありません。
「財務諸表には表れていなかった多額の簿外負債が実はあった」
「経営陣しか知らない情報が隠されていた」
など、当事者しか知らない情報をいかに事前に引き出し、公正で公平なM&A契約に結び付けるためにも財務デューデリジェンスが役立つのです。
企業経営における意思決定においては、事実を明らかにして正確に把握することが不可欠です。
違った内容のもとでは、いかに優れた分析力や意思決定力があっても、結果として誤った判断を下し、間違った意思決定をするリスクがあります。
企業の命運やその後の事業展開、経営状態にも大きく影響を与える企業買収や組織再編、経営統合の判断を下すには、企業の実態調査は不可欠です。
株主をはじめとする利害関係者にも納得してもらい、失敗のないM&Aを行うためにも、事前に十分な実態調査として、デューデリジェンスを行うことは欠かせません。
財務デューデリジェンスでは貸借対照表や損益計算書の表面的な内容をより掘り下げて、財務内容の実態を調査することが求められます。
厳しい会計基準を採用したり、知名度の高い監査法人がついていたりする大手企業でさえ、粉飾決算や脱税などの問題が起こっている中、財務管理のノウハウが乏しく、厳格な手続きが整備されていないケースも多い中小企業の買収にあたっても、とても重要な位置づけになります。
中には帳簿の記帳がいい加減であることや、経営者一人で業務の合間を縫って帳簿をつけているだけで、抜けが多いケースも少なくありません。
特に経営が悪化して買収の対象になったようなケースでは、財務管理が適正に行われておらず、経営陣でさえ把握しきれていない負債が隠れている場合もあります。
また、銀行取引や取引先との信頼を得るために、資産があるように見せかけているケースも中小企業には少なからず見られるのが実情です。
そのため、対象企業の財務リスクと貸借対照表の実態を明らかにすることが重要です。
各種債権の評価をはじめ、負債が全て網羅されているか、資産は実在しているのかや、固定資産の回収可能性にはじまり、保証債務や偶発債務がないか、財務に大きな影響を与える契約内容が会計処理に反映されているか、買収のリスクとなる多額の簿外債務がないかを調査して明確化していきます。
貸借対照表とともに、損益計算書の実態把握も重要です。
企業価値を評価するうえでは現時点での企業価値だけでなく、将来の収益力まで見通しての評価が求められます。
正常な収益力を表す財務諸表である損益計算書をしっかりと分析し、将来にわたって継続可能な収益力があるか、異常な損益や非継続的な損益などがないかをリサーチと詳細な分析をしなくてはなりません。
具体的なデューデリジェンス方法としては、ベースとなる損益計算書から次のような項目を調整していくことで、実態を把握することができます。
誤った会計処理をしている場合や正式な方法ではない会計処理がなされていないかを綿密に調査したうえで、誤りの修正や本来あるべき会計処理への修正や異常な損益の除外を行います。
将来に向けて取引先や顧客の喪失の影響を分析して修正を加えるほか、将来の取引条件の変更影響や将来のグループ会社間取引における価格変更の影響など、将来的な側面で修正を加える作業も必要です。
中小企業のM&Aにおいて財務ディユーデリーは必須と言えます。
中小企業のM&Aの現場において買手企業は譲渡代金があまり高額ではない場合や投資費用を押さえたいという目的で財務ディユーデリーを行わないケースがあります。
これは極めて買収リスクが高いM&Aと言えます。
中小企業の場合は上場企業と違い適正な監査を受けていない場合が多いです。
財務諸表も簿価で計上されているケースが多く時価での評価がされていない場合がほとんどです。
投資費用を抑えるために財務デューデリーをせずに、買収後に問題が発覚しもっと大きな費用の支払いやM&A自体が失敗に終わり多額の費用を失ってしまったという事例は数多くあります。
どの部分までデューデリーをするかは買手企業次第ではありますが、最低限の財務デューデリーは必ず行うようにしましょう。
それが買収後のリスクを回避する最も有効な方法です。
財務デューデリーは財務デューデリジェンスとも呼ばれ、M&Aなどで買収する企業を選定する際やいくらで買収するのが適正かを決める際に行われる財務内容に関する調査、分析手法です。
過去の財務諸表(決算書)などを調査し、買収を予定する対象企業の財政状態や損益の状況、資金などについて多方面から詳細に調査、分析を行います。
買収対象会社の事業内容や経営の実態を明確にして把握することで、買収をする売手と買手の情報の非対称性をなくし、公正で安全な取引ができるようにできるメリットがあります。
財務デューデリジェンスでは貸借対照表や損益計算書の表面的な内容をより掘り下げて、財務内容の実態を調査することが求められます。
厳しい会計基準を採用したり、知名度の高い監査法人がついていたりする大手企業でさえ、粉飾決算や脱税などの問題が起こっている中、財務管理のノウハウが乏しく、厳格な手続きが整備されていないケースも多い中小企業の買収にあたっても、とても重要な位置づけになります。
特に経営が悪化して買収の対象になったようなケースや中小企業のM&Aの場合では、財務管理が適正に行われておらず、経営陣でさえ把握しきれていない負債が隠れている場合もあります。
そういった点からも、買収額が高額ではなくても最低限の財務デューデリーは行うようにしましょう。
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