M&A
2019/05/21
M&Aのおける売却する側の注意点とは?
経営者の方は事業を立ち上げる際、誰しもが成功を夢見てスタートするでしょう。
しかしながら世の中うまくいくことばかりではありません。
綿密に計画を立てても計画通りにいかないものですし、赤字続きで経営が行き詰まってしまうという話はよく聞くところです。
一時的に経営がうまくいっても長期的に見ればなかなか経営を維持するのは難しいことも多いです。
そんな時に有効なのが会社や事業の売却です。
事業に魅力があれば他の企業が名乗りを上げ、譲渡することもあります。
とはいえ、会社や事業を売却してお金を受け取ってそれで終わりというわけではありません。
売却にあたってはさまざまなリスクが伴います。
今回は事業承継の際に考えられる注意点について見ていきましょう。
会社を売却しようかどうか考えている中小企業の経営者は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
買手側からすれば会社を買収するというのはあくまでビジネスの一環です。
すべての買収企業が売却元の希望を叶えてくれるとは限りません。
買収された事業が、買収後に方針を転換されることもあります。
事業や会社が急成長したというのはよくある話です。
買収された後に、成功すればいいのですが、やはり失敗する可能性も十分ありえます。
そうなったとき不利益を被るのは、買収した企業だけではありません。
従業員も急激な職場環境の変化で退職を選択するかもしれません。
取引先も取引条件などが変わることで取引継続をしないという可能性もあります。
元経営者もそうなることは望んではいないでしょう。
売却する際の意向をくみ取ってくれたうえで結果として失敗するならまだしも、当初の話と全く違う形になり、不本意な形で事業がうまくいかなかった場合は、売却した経営者もやるせない気持ちになるでしょう。
ですから会社や事業を売却する際は、買手企業が事業をどう見ているかを見定める必要があります。
自分の事業のどこを気に入ってくれたのか、事業をどうやって改善していくつもりか、といったことをしっかりと聞き取りましょう。
納得のいく形で交渉を進めることで、売却後のリスクは取り除けます。
売却にあたっては金額面などさまざまな条件交渉する必要があります。
売却するとは言え、それ相応の評価を得た上で売却したいと考えるのが経営者でしょう。
とはいえ、会社を売却するにはどれくらいの価格が適正は経営者それぞれ違います。
それゆえ、買収企業から提示された価格に納得したうえで譲渡しましょう。
後になって、もっと高く売れたのではないかと後悔しても後戻りはできません。
事業の譲渡価格の相場について綿密な調査を行っておきましょう。
よって、買収企業との売却価格の交渉については慎重に話を進めるべきです。
交渉のポイントは売却側から少し高めの希望価格を提示し、他の企業からのオファーなどがあった際には、他の企業と比較しながら決める方がよく、即決しないのが交渉のポイントです。
自分だけでそうした交渉を行うのは難しそうだと判断したら、アドバイザーなどに相談するのも一つの手です。
会社の売却に詳しい人に相談したうえで希望価格などを決めておけば、満足のいく売却ができるようになります。
納得のいく額で売却ができるよう、丁寧な交渉を心がけましょう。
会社売却で最もリスクが高いのが、交渉が破談になってしまう場合です。
売却の交渉がうまくいかないパターンは大きく分けて二つ挙げられます。
一つは買収企業が他に魅力的な企業を見つけてしまったケース、そしてもう一つは売却する側が何らかの問題点が見つかり破断してしまうケースです。
買収企業が他の売却案件に目移りしてしまうというのは売手側としてはどうしようもありません。
買収する方も善意で交渉を行っているわけではなく、商機を捉えながら仕事を行っています。
交渉している事業に比べて、新しく見つけた事業の方がより利益につなげられそうだと感じたら交渉を打ち切るの可能性は十分にあります。
一見不条理に思えるかもしれませんが、売却企業は交渉においては弱い立場に置かれざるを得ません。
売却の話を進める際はスピーディーに交渉を行い、少しでも破談の可能性を避けることが必要です。
リスクを抑える方法としては基本合意契約の締結までは複数の買収企業と売却の話を進め、最も経営者の条件を満たす先と交渉を行うことです。
>>会社売却を決断してから譲渡が完了するまでの具体的な流れとは?
交渉破断のもう一つのパターンが情報の漏洩です。
交渉過程が外部に筒抜けになってしまえば、交渉先の企業からの心証は悪くなってしまいます。
仮に些細な情報であったとしても、内密に進めている交渉を他人に打ち明けてしまうような人間は、重要な情報を漏らしてしまうと見られるでしょう。
とはいえ、すべての情報を非公開にするというのもなかなか難しい話です。
なにより会社の従業員には売却する旨をしっかりと伝えなくてはいけません。
内密に話を進めてきておいて、いきなり明日売却すると伝えられたら従業員はパニックに陥ってしまうでしょう。
中には経営者の決定に不信感を抱き事業から離れてしまう人間もいるかもしれません。
そうなると、余計に交渉破談が起る可能性が高まります。
買収企業は事業の魅力だけでなく、従業員に魅力を感じて買収に興味をもったかもしれません。
情報漏洩のリスクを避けつつ、従業員に売却を伝えるためにはタイミングが重要です。
基本的には、基本合意契約から最終合意契約の間にキーマンとなる従業員には話をしておきましょう。
もしくは最終合意契約からクロージング(決済)までの間に行うことがお勧めです。
すべての買収企業が純粋な目論見で交渉を行うとは限りません。
中には交渉を進めるだけ進めておいて、重要な情報を手に入れたら交渉を破談にしてしまう企業もあります。
そうすることで事業のノウハウを奪ったり、盗んだ技術を転用したりすることができてしまうのです。
ここ最近でも買手企業側を訴えるような事例もニュースになっていました。
こうした技術漏洩を防ぐためには、交渉にあたっては必要最低限の情報開示で済ますことが大切です。
自社がどんな事業を手掛けており、こうした実績をこれまでに生んでいると説明する分には問題ありません。
しかしながら、事業を成り立たせるためにはこうした技術を導入しているという根幹の部分にかかわることは、最終合意契約締結までは開示しないようにすることで情報漏洩を防ぎましょう。
もちろん交渉の際に疑心暗鬼になってしまっては、かえってチャンスを逃すことになりかねません。
この辺りは交渉を進める上で、買収企業の理解を得て進めていくことが必要です。
アドバイザーの協力のも、情報の取扱いに注意した上で、交渉を進めていきましょう。
株式譲渡で買収する場合は負債も含めて全てを引き継がなくてはいけません。
事業譲渡の場合は、事業に付随するすべての資産や契約、人材のみを譲渡するので、賃貸借契約の引き継ぎや許認可の引き継ぎなど、書類上の引き継ぎだけでも膨大な数に上ります。
そして、なによりも考えなくてはいけないのが従業員の雇用の切り替えです。
もし引き取ってくれる先の企業がすべての従業員の雇用を保証してくれるとなれば話は早いです。
とはいえ、売却前から相当な従業員を雇っていたとすれば、全員の雇用が確保されるとは限りません。
買手企業の中には、交渉の過程で従業員の選択をする企業もあります。
その場合は、退職希望を募ったり、再就職先を斡旋するなどをし、トラブルは防ぎましょう。
もっとも、考えるべき問題はそれだけではありません。
仮に従業員が新しい企業に勤められるとなっても、仕事に対する意欲がそのまま引き継がれるとは限らないからです。
売却前にやっていた仕事とは別の仕事を任されてしまったがために意欲を失い、そのまま退職してしまったという例も少なくありません。
買手企業からすれば、買収した企業の従業員の退職は大きな損失です。
こうしたことを防ぐためには、やはり事前の情報共有が欠かせません。
この社員はこれまで会社ではこのような仕事を行っていたので、買収後も同じ仕事を任せてほしいという希望を買収先の企業に伝えておきましょう。
それだけでなく、従業員一人一人とミーティングを行ったうえで新しい企業ではどんなことをやりたいかという意見を聞いておけば軋轢も少なくなります。
全ては事前の準備が重要です。
リスクから目を背けずに売却を進めましょう。
ここまで書いてきたこと以外にも会社売却に伴うリスクはあります。
重要なのはそれらの危険性を直視し、しっかりとした対策を立て準備をすることです。
特に買手企業の選定や従業員への対処は事前の準備でリスクは回避できます。
会社売却で成功するためには事前の準備と成功への手順があります。
M&Aでの売却を成功させたい経営者の方はこちらをご覧ください。
ご相談は無料です。お気軽にお声かけください。
Copyright© 2021 MAIN.co.ltd. All Rights Reserved.