M&A(会社売却)をM&A仲介会社やM&Aアドバイザリー会社に依頼すると、依頼した会社と依頼主の間でFA契約書※を締結します。
※FA契約書=ファイナンシャルアドバイザリー契約書
殆どの経営者の方は契約書の内容を見たことがないと思いますので、簡単に説明させて頂きます。
基本的には、依頼主からの業務委託契約書です。
依頼主から依頼企業へM&Aのアドバイス、買手先の紹介、その他M&Aに係る交渉の支援、契約書等の作成支援などが含まれています。
M&Aの報酬に関しても記載されており、着手金の有無、中間金の有無※、成功報酬(レーマン方式)や最低報酬額などが明記されています。
※中間金とは基本合意契約を締結時に報酬が発生するなど
この辺りの内容は報酬額の大小は問題はあれ、M&Aを依頼する上で必要な内容であると考えます。
FA契約書の中に専任専属という内容が含まれているケースがあります。
この専任専属とは、例えば売却の依頼を当社にした場合は、他社には依頼しないでくださいということです。
つまり、一度FA契約書を締結したら基本的には、いかなる場合も他社からの案件取扱いを実質認めないということです。
具体的には、仮に依頼した経営者が自ら買手企業を見つけてきた場合、もしくは知り合いから紹介を受けて譲渡が成立した場合でも、当初の取り決めをした手数料の支払いを求めてくる事が実際にありました。
実際に買手を見つけるなどの業務や依頼企業の状況に関係なく契約の履行を求めてくるケースもあります。
それが原因で商談が破談になったという事例も現にあります。
つまり、依頼主の意向に関わらず、自社との契約履行(利益)を優先した行動と見られても仕方がありません。
これは担当者や企業がどうということではなく、M&A業界の収益モデルの問題です。
それが1つの手数料を確実に得るための専任専属の契約と言えるでしょう。
もちろん専任専属のメリットもあります。
具体的には、既に譲渡を検討している企業がある場合などは
専任専属の案件の方が安心して案件自体をスケジューリングなどができる点や
時間をかけて案件の精査ができるなどのメリットがあります。
一方、直ぐに譲渡先が見つからなかった場合はどうでしょうか?
依頼を受けた企業も無数に買手候補がいる訳ではありません。
ある一定期間を(目安としては3ヶ月程度)過ぎた場合は、
手持ちの買手企業へは一通り案内が終わっている状況です
その期間を過ぎても専任専属契約が継続していることは依頼主にとってはデメリットでしかありません。
そもそも売却物件=必ず譲渡できるという発想のもと、つまり、優良案件のみ取り扱うことを前提としているFA契約書の内容になっているのです。
それが中小企業すべてに当てはまる内容かどうかは非常に難しいところです。
よって、FA契約を締結する際には下記の点に十分に注意して問題があれば変更依頼をすることも重要です。
FA契約を締結する際の注意点
報酬金額の設定 着手金、中間報酬の有無
最低報酬の金額
専任専属契約の有無
契約解除についての取り決め
この点は必ず確認しましょう。
特に契約解除について、
依頼主からは基本的に解除できない内容になっている場合もありますので、その辺りも十分確認しておいてください。
また、最低報酬額についても、自社の売買代金がどの程度なのかによって適正な金額があります。
このFA契約の内容を見れば、M&A仲介会社がどういう立場で依頼主を支援しているのかが分かります。
つまり、本来あるべき姿としてのアドバイザリー業務、支援業務を
全ての企業に対して遂行していれば何ら問題はないはずです。
しかし、収益を上げ続けなければならない収益モデルが故にこの様な矛盾が生じているというのが現実なのです。
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